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島にいる今を、ちゃんと味わいたい【島小②#36】/離島の小学校編Season2 36

2003年の冬。船で行き来する日々の中で、学期は終わり、冬休みに入っていきます。
けれど、学校も暮らしも、きれいに区切れるわけではありません。
島で過ごす時間の中にある、そんな感覚を書きとめました。

1.土曜日の朝、島を出る船の中で

土曜日の朝、いつものように5時30分に目を覚ましました。
外はまだ真っ暗で、島の朝はゆっくりとしか明けていきません。
6時半頃に宿舎を出て、歩いて5分ほどの乗り場へ向かいますが、少し早めに着くのもいつものことです。

島でしか買えない往復切符を手に、船員さんにあいさつをしながら船に乗り込みます。
土曜日の朝の1便には、保育所や小中学校の先生方に加えて、島の人たちも乗り合わせます。

1年半も過ごしていると、顔見知りばかりになりました。
特別に約束をしているわけでもないのに、自然と会話が始まり、気がつけば同じ時間を共有しています。
緊張することもなく、すっかりこの流れの中に自分がいることを感じます。

7時、ちょうど日の出の頃に船は港を出ます。
ゆったりとした空気の中で交わされるあいさつや何気ない会話、その場にいる誰もが同じリズムでこの時間を過ごしている感覚がありました。
島を出るこの30分の航海には、同じ場所で暮らす者同士の、静かなつながりのような一体感が流れていました。


2.終業式前夜、つながるまでの長い夜

つかの間の自宅での休息を終え、2学期最後の日を翌日に控え、日曜日の夕方の便で島に戻っていました。
港に着く頃には、もう次の日の段取りが頭に浮かんでいました。

その夜は、23時からパソコンのダイヤルアップリダイヤルを始めました。
島の固定電話のアナログ回線は気まぐれです。
何度も接続を試みるうちに時間だけが過ぎていき、ようやくつながったのは日付が変わった0時30分でした。
静かな夜の中で、回線がつながるまでの時間が長く感じられます。

翌日は終業式で、牛乳パックを再生してくれる会社へ運ぶため、3便で島を出る予定になっています。
次に島へ来るのは、4日後の日直当番の日になります。


3.終業式の余韻と、牛乳パックの旅立ち

終業式が終わりました。
式のあと、学級活動で冬休みのくらしや課題について話をし、11時過ぎには子どもたちは下校していきました。

ただ、26日の日直の日には、一輪車大会の練習で子どもたちが全員やって来る予定です。
だから、どこか「これで終わった」という感じにはなりきれませんでした。

その日は、教頭先生が日直として学校に残ってくださることになっていました。
そのため、ほかの教員は3便で島を出ることになり、私もその便に合わせて、牛乳パックを連絡船に載せて持って行くことにしました。

毎日の給食で出た牛乳パックを洗い、はさみで切り、きちんと重ねて段ボール箱に入れていたものが、かなりの数になっていました。
あらかじめ船まで運んでおき、3便に積み込みます。

本土に渡ってから、牛乳パックを再生工場へ運びました。
工場には、再生紙の束が山積みになっていました。

こうして牛乳パックを運び終え、2学期もひとまず終了ということになりました。
とはいえ、どうしてもやらなければならない仕事はまだ抱えています。
今年もマイタウンマップコンクールに総合的な学習の時間の活動のまとめを出品するつもりです。

冬休みに目処がつくように、もう少し、がんばらなくてはなりません。


4.静かな学校と、冬休みの日直

数日後、日直当番で学校に来てみると、職員室にエアコンが設置されていました。
これで来年の夏の当番はずいぶん楽になりそうです。

暖房も兼ねているため、25度に設定して運転してみましたが、部屋が広いせいか、思ったほどは効いていないように感じました。
それでも、これまでとは違う空気が流れているのは確かでした。
校長室や保健室にも設置されたようです。

冬休み中の学校ですが、この日は一輪車大会の練習に子どもたちがやって来ていました。
中学生も部活動で来ていて、一緒に一輪車に乗って練習してもらいました。
この中学生は、昨年、個人戦で1位と2位になった子たちですから、子どもたちにとってはよい目安になります。

子どもたちが帰ったあとの学校は、再び静かさを取り戻します。
午後はメールで集めていたアンケートの集計を進めていました。
気がつけば時間は過ぎ、学校を出たのは20時を回っていました。


5.島からの贈り物と、この場所で生きる時間

島を出る朝、お願いしてあった貝を受け取って帰ることになりました。
トコブシとサザエです。

実家の母に頼まれて、数日前から島の方に声をかけておいたものですが、受け取った袋はずっしりとした重みがありました。
おそらく前日に潜って採ってきてくださったのだと思います。

サザエは、これまでに見たことのないような大きさでした。
トコブシ、いわゆるナガレコもさっそく煮付けにしてみると、とてもやわらかく、味わい深いものでした。
12月1日から解禁になったばかりで、ちょうど今がその時期です。

島につとめている今だからこそできることって、とても大事なのかなと思います。
こういう時間や、この場所でしか味わえないものを、もっと満喫していきたいなと、あらためて思いました。


ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回に続く・・・👇

前回の話👇

◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇

約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。

そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。
▶ 離島の小学校編Season1〜教室とくらしの物語 マガジン

このシリーズでは、当時の日記をもとに、島での仕事の大変さと、その中にあるささやかな温かさを綴っていきます。

2年目2003年の、Season2(2年目)2学期のお話です。

※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。

離島の小学校編Season2👇👇👇

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