測ってないけど体感1分27秒【島小②#37】/離島の小学校編Season2 37
2004年の仕事始めは一輪車大会でした。
本土で子どもたちを迎える、いつもの行事から年明けの一日が動き出します。
そのあと島へ戻り、いつもの仕事が再び動き出しました。
1 年明けの始動、一輪車大会へ
年明け最初の仕事は、少し変わった形で始まりました。
冬休み中の日曜日ではありましたが、毎年恒例の一輪車大会に参加するための出勤です。
とはいえ、島へ渡るのではなく、本土側で子どもたちを迎える役目です。
この大会は1月の第1日曜日に開催されるもので、島の小学生たちにとっては大きな行事の一つです。
一昨年は団体戦優勝、昨年は個人戦で優勝・準優勝と好成績が続いていました。
迎える今年は、期待と同時に少しの不安もありました。
団体戦は5人1組ですが、今年のメンバーは6年生3人と3年生2人のぎりぎりの構成です。
この人数で出場すると、来年度以降はしばらく団体戦に出られなくなる事情もあり、まさに“今年が最後”の挑戦でもありました。
子どもたちは10時発の船でやってきます。
港へ迎えに向かいながら、その小さなチームの戦いを思い描いていました。
2 あと一歩の悔しさと、それでも残る手応え
大会の結果は、正直に言えば思い通りにはいきませんでした。
それぞれの子どもたちはよく頑張り、あと一歩で1次予選通過という場面が続きます。
各組1位か2位でなければ次に進めない厳しい条件の中で、その「あと一歩」が届きませんでした。
しかし、その中で光る走りもありました。
6年生の男の子が、1次予選と準決勝をともに1位で通過し、堂々と決勝へ進出します。
結果は4位。あと1人で入賞という位置でしたが、その背中には確かな成長が見えていました。
リレーはさらに厳しい戦いでした。
5人ちょうどの編成に加え、そのうち2人は3年生です。
結果は組4位。
力の差は否めませんでしたが、それでも最後まで走り切った姿は印象的でした。
来年は人数的に団体戦への出場自体が難しくなります。
それでも、競技を終えた子どもたちの表情はどこか晴れやかでした。
結果以上に、「やり切った」という実感が残っていたのだと思います。
3 島の仲間と囲む、少し特別な新年会
その夜は、島の教職員と育休中の先生も含めた新年会が開かれました。
普段は日直勤務の関係で全員がそろうことは難しいのですが、この日は日曜日ということもあり、久しぶりに顔ぶれがそろいます。
一輪車大会の打ち上げも兼ねた、にぎやかな集まりでした。
会場はなんとスッポン料理の店。
名前は聞いたことがあっても、実際に食べるのは初めての経験です。
最初に並んだのは刺身で、レバーを含めさまざまな部位が皿に盛られていました。
恐る恐る口に運びましたが、臭みはなく、思ったよりも食べやすい味でした。
続いて出てきた血酒も、見た目とは裏腹に普通のお酒の味で、少し拍子抜けしたほどです。
唐揚げ、そしてメインのスッポン鍋へと料理は続きます。
鍋には肉と甲羅周辺のコラーゲンたっぷりの部位が入り、最後は雑炊で締めくくられました。
この雑炊がまた格別で、甘みと濃厚さが体に染み渡るようでした。
心なしか体が温まり、元気が湧いてくるような感覚もありました。
産後の先生も笑いながら「母乳が出すぎて困るかも知れません。」と冗談で話していて、その場もどっと和やかな空気に包まれます。
当時はそんなやり取りも自然に交わされていて、島で働く仲間同士の距離の近さと、気兼ねのない関係性を感じるひとときでした。
4 島へ戻る日常と、小さな命への気がかり
数日後、3学期始業式前日、久しぶりに島へ戻りました。
日直以来、約12日ぶりの上陸です。
船を降りると、以前サザエやトコブシを分けてくださった方の家へ向かい、ささやかなお礼を手渡しました。
こうしたやり取りも、この島での暮らしの一部になっていました。
宿舎に荷物を置くと、そのまま学校へ向かいます。
職員室の自分の机の上には、JR四国コミュニケーションウェアのイントラバケッツⅡと、わいわいレコーダーの箱が置かれてありました。
バケッツのほうは以前の勤務校でも使ったことがある校内ネットワークの共有ソフトで、わいわいのほうは画面上で模造紙のように意見を書き込みながら学びを共有できるソフトです。
いろいろと評判を聞いていて、ぜひ活用してみたいと思っていたものでした。
しかし、それよりも先に気になったのは水槽のアワビたちでした。
案の定、エサがなくなっています。
漁協で管理されているものは問題ないのでしょうが、学校までは手が回らなかったのでしょう。
急いで自転車で港まで向かい、海草を調達して戻ります。
年末年始の空白の中でも、小さな命は待ってはくれません。
5 夜の呼び出し、1分27秒の現場対応
その日の夜、宿舎で夕食を終え、ひと息ついた頃に携帯電話が鳴りました。
学校に残っていた養護教諭の先生からです。
この時間の電話は、たいていパソコン関係のトラブルです。
そして今回も例外ではありませんでした。
プリンタで印刷ができないとのこと。
電話で聞いていてもらちがあかないので、学校へ見に行くことにしました。
寒いので走って行って、1分27秒。
たぶん・・・。
計っていないので正確ではありませんが(笑)。

確認してみると、原因はプリンタの設定そのものが消えてしまっていることでした。
こうなると、ドライバの再インストールしかありません。
CDを探し出し、プリンタを接続したまま設定をやり直すと、無事に印刷できるようになりました。
電話でいろいろ状況を聞いても、やはりよくわかりません。
こういうときは、実際に見てみるのが一番です。
とにかく、すぐに復旧してよかったと、ほっと一息つきました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回に続く・・・
前回の話👇
◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇
約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。
そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。
▶ 離島の小学校編Season1〜教室とくらしの物語 マガジン
このシリーズでは、当時の日記をもとに、島での仕事の大変さと、その中にあるささやかな温かさを綴っていきます。
2年目2003年の、Season2(2年目)3学期のお話です。
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。
離島の小学校編Season2👇👇👇
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