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コロナの春、校長の船出。 【総校①#01】/ 校長の挑戦―総合の力を信じて 第1章

前の学校を送り出されてから、ほんの数日後。 柑橘の香りがただよう山あいの小学校に、校長として赴任しました。 コロナ禍の春、静かな校舎で、新しい春の風を感じていました

今から約5年前,2020年度コロナ禍での総合的な学習の時間を核とした学校経営の実践です。 全3章のうちの第1章(2020年度)4月のことです。

※注 今回も本文中の一部地名や商品名等は必要があれば,仮名(かめい)にしています。

前回の話#00👇


1.柑橘の香りに包まれて・・・新しい学校への一歩

4月1日。 校長として赴任した柑川(かんがわ)小学校(仮名)。

その名の通り、山の柑橘畑を流れる川のように、穏やかな空気が流れる学校でした。

教頭先生も同じく異動で、しかも以前、南駒津浜小学校(仮名)で一緒に働いたことのある方。
しかも、この町のご出身でもありました。

「これは心強い。」 そう思ったことを今でも覚えています。

その日は小雨。
朝7時20分に着くと、まだ誰も来ていませんでした。
玄関の鍵も預かっておらず、しばらく校舎の前で雨音を聞いていました。

7時40分、最初に出勤された職員が来てくださり、ようやく校舎に入ることができました。


2.チームの空気を感じた朝

8時10分から、校長室で一人ずつ面接を行いました。
全ての教職員と直接言葉を交わしながら、表情や雰囲気から新しい学校の空気を感じ取っていきました。

初対面の先生も多く、最初は少し緊張した面持ちでしたが、「どのようなことが得意ですか?」「今年やってみたいことは?」と話を重ねるうちに、お互いの距離が少しずつ近づいていくのを感じました。

中には、「先生がうちの学校に来られると聞いて、うれしかったんです」と言ってくださる方もおられ、新しい職場で迎え入れられるありがたさをしみじみと感じました。

9時からは、新しい組織での職員会。
窓越しに見える山の桜が、静かに咲き始めていました。

職員室の空気はどこか引き締まりつつも、前向きな明るさがありました。
この学校の持つ穏やかさと、職員一人ひとりの誠実さがにじみ出ていました。

「このチームならきっとやっていける。」 そう感じた瞬間でした。


3.所信表明・・・「感動体験を通して自信を育てる学校へ」

会の冒頭で、次のように話しました。

「コロナ禍で先行きが見えないこれからの時代、これまでのやり方では通用しません。 今こそ教職員の叡智を結集し、この難局を乗り切っていきましょう。」

子どもたちに夢や挑戦する気持ちを持たせるには、 まず教師自身がチームワークを発揮し、同じ方向を向いて歩むことが大切です。

そして、私は続けてこう話しました。

「日々の授業や行事の中で、新しい発見や“わかった”という喜び、 “できた”という達成感を味わうことが、子どもたちの自信につながります。 子どもたちの感動体験をしっかり支えていきましょう。」

その上で、私は所信として、「感動体験を通して自己肯定感を高める学校づくり」を掲げました。

日本の若者は、他国と比べて「自己肯定感」が低いという調査結果があります。
本校の児童も例外ではありません。
「自分のことが好き」と積極的に答えた子は、わずか四分の一ほど。

けれども、地域には豊かな人・もの・文化が息づいており、 学校支援協議会を中心に、地域と学校をつなぐ仕組みもすでに整っています。

この環境を最大限に生かし、 地域の教育資源を活用した「感動体験」こそ、 子どもたちが自分を信じる力を育てると私は考えました。

これまで総合的な学習の時間を通して見てきた子どもたちの成長を、 この学校でも再び実現したい・・・。

それが、着任初日の私の原点でした。


4.コロナの春、つながる昼食会

職員会では、新年度に向けての体制づくりが進んでいきました。
長く続いた臨時休校もようやく終わり、「4月8日には全員が登校できる」という希望が見えてきた頃でした。

教職員の表情にも、ようやく明るさが戻ってきたように感じました。

春休み中には再度、職員会議が開かれました。
その日の昼休みには、ささやかな歓迎の昼食会が開かれ、 私と教頭先生,それから異動してきた先生方を迎えてくださったのです。

例年なら夜に懇親会を開くところですが、コロナ禍という状況を踏まえ、昼食を共にする形に変更することになりました。
その際、最初に「どうしましょうか」と相談を受けたのは、校長である私でした。


5.「再び休校です」・・・息をのんだ夜

そして迎えた始業式の前日。

夕方、学校の電話が鳴りました。
町内の校長が教育委員会に集まるようにとの連絡でした。

会議で告げられたのは、 県知事が国の緊急事態宣言を受け、 4月8日から10日までを登校期間とし、11日(土)から再び臨時休校とする方針

わずか3日間の再開。

その知らせを聞いた瞬間、 「赴任早々、またコロナに振り回されるのか」と思わず息をのみました。

それでも、 「この状況だからこそ、学校の力を信じよう」 ・・・そう心に言い聞かせました。

校長としての挑戦は、まさにここから始まったのです。

次回に続く・・・👇

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