島にいることを選んだ、数日間 【島小②#13】/離島の小学校編Season2 13
この頃、島を離れる日が続いていました。
新しく導入されるソフトの選考会や打ち合わせが重なり、気がつけば、学校よりも島の外にいる時間のほうが長くなっていたように思います。
どれも学校にとって無関係ではない仕事です。
けれど、船に乗る回数が増えるほど、島の時間から少しずつ離れていく感覚もありました。
そんな出張続きの日々のあと、久しぶりに島へ戻ってきました。
「さて、落ち着こう」と思った、その日は、思っていた以上に容赦がありませんでした。
前回の導入会議が続く話👇
◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)
今から約20年以上前、2002年(平成14年)4月、県で唯一の離島にある小学校に赴任しました。
車も信号もなく、連絡船は1日3往復が命綱の島でした。
海の荒れる日は、移動そのものが大きな出来事になります。
島の仕事や暮らしは、天候と船の都合に大きく左右されていました。
少ない職員で学校を回し、小中の宿舎で生活をともにする日々が続きました。 予定通りにいかないことが、特別ではなく日常です。
また、島にはインターネット接続はなく、デジタルデバイドは広がっていくばかりでした。(※離島のデジタルデバイド編参照)
そんな中でも,総合的な学習の時間で子どもたちに自信をもたせてやりたいと考え,取り組んできました。(※離島の総合的な学習の時間編①参照)
そんな背景となるこの島での小学校編では、授業や行事だけでなく、島ならではの工夫や出来事、ここでしか味わえない体験の数々を、小さな学校と暮らしの記録として綴っていきます。
いよいよ2年目2003年の、Season2(2年目)6月終わりのお話です。
離島の小学校編Season1(1年目の記録)マガジンはこちら
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。
1.戻ってきたら、いきなりプール
さすがに出張続きの日から島に戻ってきたその日は、「やっと帰ってきたー」という感傷に浸る間もなく水泳の授業でした。
しばらく学校を空けていたツケは覚悟していましたが、再開初日が全校体育というのは、なかなか容赦がありません。
天気はあまり良くなかったのですが、6年生を除いて水泳ができていなかったので、子どもたちは久しぶりのプールを心待ちにしていました。
特に1年生にとっては、初めての大きなプールです。
結局、私も一緒に水に入って指導することになりました。

全校で行う体育は、年齢も体格も経験もばらばらなので、毎回気を遣います。
それでも、水に入って指導を始めると、いつもの調子に戻っていました。
2.忙しさの正体と、行かないという選択
子どもたちと他愛のない話をしながら過ごす時間は、やはりいいものです。
授業の遅れをなんとか取り戻し、放課後はたまった校務を片づけていました。
気がつけば21時を過ぎ、宿舎に戻る頃にはすっかり夜でした。
島に戻ってきて、時計を見る余裕もありませんでした。
今週は市と県の教育委員会の学校訪問も予定されています。
そこで、今週に入っていた出張はすべて見送ることにしました。
火曜日のソフトの最終決定会と、金曜日の県の小教研総合部会事務局としての研修部会です。
重要ではありますが、今は「島にいる」ことを優先しようと思いました。
たまには、行かない勇気も必要です。
3.島にいると、仕事が前に進む
翌日は7月の行事予定づくりに追われました。
学期末が近づくと、行事が一気に押し寄せてきます。
今年度の全町運動会は、小学校が当番校です。
計画を立て、運営委員会に出す資料を準備しなければなりません。
それに加えて、夏期休業中の出張や募集に関する文書も増えてきました。
教務として、日直当番の割り振りを含めた夏休みの予定表を作る時期でもあります。
出張を取りやめたおかげで、この日は授業も校務もずいぶん片づきました。
調理員さんからハモの湯引きをいただき、晩ご飯の心配まで省けたのは、思わぬおまけでした。
4.船で帰る人に、郵便を託す
市と県の教育委員会による学校訪問がありました。
公開授業の参観と施設設備の視察、帳簿の点検という、毎年恒例の一日です。
公開授業では、キーボード検定に取り組む様子を見ていただきました。
記録カードを使いながら、一歩ずつ積み重ねているところに、関心を持って見ていただけたようでした。
空いた時間に、欠席したソフト選定会の結果も聞いてみました。
予想どおり、前回までの流れどおりに決まったとのことでした。
まあ、そんなものです。
午後、訪問の先生方は15時の船で帰られます。
その直前になって、必着の郵便物があることに気づきました。
島にもポストも郵便局もありますが、確実に本土に投函した方が早く届きます。
結局、教育委員会の方にお願いして、船で持ち帰って投函していただくことになりました。

こうして、文書は私より先に島を出ていきました。
私は港で、それを見送ることになりました。
5.変わらないようで、少しずつ
校内研修では、音楽の授業を取り上げました。
この学校では音楽も全校で行うため、1年生から6年生までが同じ授業を受けます。
7人の子どもたちが2グループに分かれ、伴奏の音を探す活動でした。
一人ひとりの特徴はよく見えるのですが、少人数ゆえに組み合わせが固定されがちになります。
授業研究会では、音楽の指導だけでなく、子どもたちにつけたい力の話になりました。
これまでの離島という環境の中で身についてきたものを変えていくのは、やはり簡単ではありません。
だからこそ、総合的な学習やICTに取り組んでいます。
夏の生徒指導の発表で何が語れるかは、正直まだ分かりません。
それでも、島に腰を据え、日常を積み重ねていくこと。
この数日間は、その意味をあらためて思い出す時間だった気がします。
※ 次回に続く👇
離島の小学校編Season2(2年目2003年度)はこちら👇👇
離島の小学校編Season1(赴任1年目2002年度)はこちら👇👇👇
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