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終わらない会議と通信期限へのカウントダウン【島ICT#21】/離島のデジタルデバイド編② 2年目の記録

前回は、市の部会に出席し、島の環境を理解している人との会話や、島外でなければできない作業の現実を伝えた。
今回は、その続きとして、新規導入をめぐる会議と、その裏で進んでいく時間を書き留めておく。

前回のデジタルデバイド編👇

本シリーズの背景(初めて読まれる方へ)
今から20年以上前の2002年4月。
連絡船が頼りの離島の小学校に、一人の教師が赴任した。
島では、家庭でも学校でも、インターネットは日常的に使えるものではなかった。

本土でADSLが普及し始める一方、島内のデジタルデバイドは広がっていた。
小学校では、隣の中学校から分岐した衛星回線を使い、インターネットとメールが可能になっていたが、利用には多くの制約があった。
👉 つながらない島から始まった挑戦/離島のデジタルデバイド編

そうした環境の中で、教師は総合的な学習の時間を通して、学びを島の外へ、そして島の人たちへ届けようとした。
ICTは目的ではなく、あくまで手段だった。

1年目には、島の魚を紹介するデジタル図鑑を制作し、その成果を島の人たちにも届けるため、連絡船の待合室にPCを設置した。
その後、学校の通信環境を支えてきた衛星通信システムが、残り1年で終了することが分かる。

今年度は、念願の学校ホームページを開設したが、その更新にも苦労があった。
これは、島での2年目。 システム終了へのカウントダウンが進む2003年度の記録である。


1.学校に入る新しさと、島の現実

市内の学校のパソコンが、新規導入されることになった。
この動きが、そのまま島全体のICT環境改善につながるわけではない。
ただ、これまで前任校から廃棄されたものを譲り受け、使ってきた中古パソコンが入れ替わることになったため、この節目は記録しておこうと思った。

新年度に入り、市の情報部会では継続的に話し合いが重ねられてきた。
そしてこの日は、市のコンピュータ導入に向けた、最後になるはずの会合だった。
議題は、本体や周辺機器の最終確認、そして最大の焦点であるソフト導入の検討である。


2.決め方が先にある導入

市内全校で統一して導入するソフトを、複数候補の中から1つに絞る。
それが今回の前提だった。
候補に挙がっているソフトはいずれも特徴があり、細かく見れば用途も微妙に異なる。

理想を言えば、目的に応じて複数導入するのが一番である。
だが予算の制約があり、選択肢は最初から1つしかなかった。
さらに、候補の中には、参加者の多くが実際に触ったことのないソフトもあった。

そのため、各社によるデモンストレーションを見てから決定したい、という意見が出た。
結果としてその案が通り、最終決定は次の会合に持ち越されることになった。

この導入に関する会合は、これで3回目になる。
5年間更新されない環境を選ぶという前提から考えれば、時間をかけること自体は不自然ではない。
一方で、デモを見たうえで選ぶ必要があるのであれば、その工程をどの時点で組み込むのかという点は、もう少し早く共有されていてもよかったのではないか。
そう感じながら、会場を後にした。


3.プレゼンの午後と、結論への手応え

6月18日。
この日は朝から島を出て、午前中は県南で総合的な学習の時間の教材研究として、水産研究所の施設を訪れた。

午後は市役所へ移動し、ソフト会社3社によるプレゼンテーションを受けた。
各社30分ずつの説明のあと、市内各校から集まった視聴覚担当の教員で意見交換が行われた。

当初はアンケートを持ち帰り、後日FAXで回答する流れが示されていた。
このままだと、まだまだ会合が続いていき、いくら時間があっても足りないのではないか。
そう危惧した。

そこで、この日までに積み重ねてきた議論を考えると、ここである程度の方向性を共有しておく必要があると感じ、その旨を私から提案した。
時間はすでに17時を過ぎていたが、それぞれのソフトについて意見を述べ合い、参考として採決を取ることになった。

その結果は、予想以上にはっきりしたものだった。
もちろん、その場で正式決定というわけではなく、翌週に最終選考委員会で話し合って決めることになる。
ただし、この結果が尊重されることは、誰の目にも明らかだった。
会場を出たときには、18時を過ぎていた。


4.任せるという判断

自分は最終選考委員に名前を連ねていた。
だが、翌週の会合に出席するのは現実的に厳しかった。
その会に出席すると、島へ戻るのは翌日の連絡船になる。
学校訪問が予定されている日でもあり、教育委員会の先生方と同じ船で島に帰ることになってしまう。

無理をしてまで出席する必要はないと判断した。

ほぼ結論は見えている。
それなら、あとは任せてもよいのではないか。
そう判断し、後日の最終決定会は欠席することにした。

断りの連絡を入れたあと、少し肩の力が抜けた。
市では導入の議論が進み、学校には新しい機器やソフトが入ることになる。
校内の環境は、確かに一歩前へ進む。

だが、それで島全体の通信事情が変わるわけではない。
学校の中だけが更新されても、島のデジタルデバイドは、依然としてそこに残る。
島の学校で制限がありながらも、頼りにしてきた衛星通信の使用期限までの時間は、誰の判断とも関係なく、着実に減り続けていた。


次回に続く・・・👇

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