【島総①魚#01】 潮風の教室、総合がはじまる/vol.2 おさかな天国編 離島の総合的な学習①
離島での生活や学校の様子をお伝えしてきましたが、いよいよここからは総合的な学習の実践についてのお話です。(もちろん離島の小学校編もまだまだ続きます。)
前任校での和菓子プロジェクトを終えた私は、新しい環境の中で、今度は自分の力で子どもたちとともに総合的な学習の時間を進めていこうと考えていました。
前任校での総合的な学習「和菓子プロジェクト」本編(マガジン)👇
勤務する離島はこんな島です👇👇
1.潮風の教室で始まった、新しい総合的な学習
2002年度(平成14年度)。
全国の小学校で総合的な学習の時間が本格的に始まった年、私は青波島(仮名)の小学校に赴任しました。
前年、前任校で「和菓子プロジェクト」を実施し、子どもたちが本物に出会い、大きく成長する姿を目にしていました。
だからこそ、この島の子どもたちにも、自分に自信を持ち、大きく羽ばたいてほしいと願っていました。
この学校では、総合的な学習の時間はすでに「黒潮タイム」という名前で開始しており、今年度は年間105時間(週3時間)のうち、75時間を5・6年生6人で実施することになっていました。
全校児童はわずか9人で、残りの3人は1・2年生。生活科の学習をしていました。
教員は校長・教頭・教諭2名(うち1人が私)と小中兼務の養護教諭1名。
1・2年と5・6年の2学級複式が基本で、教頭先生が5年生の主要教科や学級活動を担当してくださっていました。
総合的な学習の時間は5・6年合同、体育や音楽は全校で行っていました。
2.見えない地図を手に、探し始めた“学び”
赴任した当初は、正直なところ地域のことも学校のこともよくわからず、どのような素材があるのか、どんな人との出会いが待っているのか、すべてが手探りでした。
しかも、これまで経験したことのないような環境の変化も重なり、最初のうちは戸惑うばかりでした。
それでも少しずつ子どもたちの様子や地域の雰囲気が見えてくると、この島ならではの学びをつくりたいという思いが湧いてきました。
「せっかくの少人数で、地域の魅力がたくさんある環境なのだから、もっと体験的で、世界が広がるような総合にしたい」と考えるようになったのです。
3.キーワードは「発見」と「発信」──1年の構想が動き出す
前年度までの記録を見てみると、子どもたちがそれぞれ好きなテーマを選び、図書や制限付きのインターネットで調べてまとめるといった活動が中心でした。
けれど当時は子ども向けの情報サイトなどほとんどなく、難しい漢字が並ぶページを書き写すだけになってしまうことも多かったようです。
総合的な学習の時間の始まりの頃は、どの学校でもこうした「個人の調べ学習」が中心だったように思います。
私は、知識を個人が調べて終わるだけではなく、協働的に自分たちの発見を外へ発信し、交流へとつなげる学びを目指しました。
デジタルカメラやプレゼンソフト「はっぴょう名人」など、ICTを学びの中で活用していくことも考えていました。
それは操作スキルを覚えるためではなく、「使わざるを得ない学び」の中で自然と身につけていくためです。

そうした思いを込めて考えていると、1年の大まかな構想が少しずつ形になっていきました。
キーワードは、「発見」と「発信」です。
まず1学期は、身近な人に向けて島の魅力を紹介する活動から始めます。
2学期は、子どもたちの大好きな魚を切り口に地域の知恵や暮らしに迫り、学びの輪を広げていきます。
そして3学期には、それまでの学びをまとめ、形として残す活動へとつなげていく──そんな1年の道筋を思い描いていました。
こうして、「発見!発信!ふるさと青波島」と題した今年度の黒潮タイムが動き出そうとしていました。
そしてまず私は、「島を知ること」から始めようと、子どもたちと一緒に歩き出しました。
4.島じゅうが教室だった──探検が拓いた学びの扉
4月の授業では、私自身が地域を知る意味も込めて、子どもたちと一緒に島の探検へ出かけました。
手にしたデジカメは、子どもたちにとってはまだ少し敷居が高い道具でしたが、「先生、撮っていい?」と次々にファインダーをのぞき込み、目に入った風景を夢中で切り取っていきます。
連絡船の待合室,旅館の看板、港に並ぶ漁船、波止場で網を直すおじいさんの姿──。 普段は見慣れた景色も、「写真に撮る」という行為を通すと、新しい発見の連続でした。
学校から歩いて西へ10分ほどの橋を渡り、無人島のグラウンドへ足を伸ばすと、潮風がぐんと強く吹き抜けます。
また,東側の山道をしばらく登ると、ふいに現れた古びた石垣や船を係留した跡のような場所に、子どもたちの目が輝きました。
「ここ、昔の港だったのかな?」
「だれが使ってたんだろう?」
思わず飛び出す言葉の数々に、この“探検”が単なる遠足ではなく、学びの入り口になっていることを感じました。

こうして少しずつ地域への興味と問いが芽生え始め、「これを誰かに伝えたい」という気持ちが子どもたちの中にも広がってきたように感じました。
この島の総合的な学習は、こうして小さな一歩から動き始めました。
次回は、子どもたちが“発信する相手”を意識しながら、情報を集めていく姿を中心にお届けします。
👉 離島の総合的な学習①おさかな天国#02へ続く👇👇
今回の解説編01はこちら👇👇
「スピンオフ和菓子プロジェクトの舞台裏マガジン」(※更新中)👇
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