会えない時間が、ワクワク育てるのさ【ふエ#29】/ ふりかえりエッセイ 29
「会えない時間が愛育てるのさ」。
昔の歌にあったこのフレーズを、ふと思い出した。
誰かに会えない時間の話ではなく、まだ始まっていない時間が気持ちを育てていく、そんな感覚が自分の中にも確かにある。
今回の「わくわくする瞬間」というお題を前にして、私はそのことを思い返していた。
ワクワクは「始まる前」にある
計画していることが実現されることを想像するときって何だかワクワクしないだろうか?
この想像、つまりイメージしているときこそがワクワクなんだと思う。
もちろん、実際に計画通りに始まり、物事が進んでいるときも楽しい。
ただ、それはワクワクというより、楽しさや充実感に近い感覚で、少し質が違う気がしている。
旅の前に高まっていく気持ち
例えば、旅行の計画やイベントの日程が決まったときである。
日が近づくにつれて、そのボルテージは確実に上がっていく。
それは、これまでの日常とは大きく違う時間がやって来るという期待感なのだと思う。

このワクワク感は、直前になるほど膨らんでいく。
であれば、飛行機のチケットや列車の予約、宿泊先を押さえたときもワクワクするが、やはり一番は当日の出発前だ。
前日に荷物を確認しているとき、朝起きて最後の準備をしているとき、そして旅の始まりの空港へ向かう道中。
これから始まる時間を思うだけで、気持ちは自然と高まっていく。
振り返ってみると続いていたワクワク
私はGoogle Calendarに予定を記録しているので、ここ5年ほどの「ワクワクしていた出来事」を振り返ってみた。
ちょうど、5年前の2021年2月には、夜中の2時に新潟県の長岡に向かって車で出発している。
4WDのSUVにスタッドレスタイヤを履かせるため、12月のうちからカーショップに通い、準備を進めていた。
結果的に期間中は天候に恵まれ、道路脇に雪は積もっていたものの、本格的な雪道を走ることはなかった。
せっかくなので、駐車場脇に除けられた雪の中を、わざわざ走ってみたりもしたが・・・。(笑)
振り返ると、目的地に着くまでの準備も含めて、ワクワクした時間はずっと続いていたのだと思う。

北海道や沖縄、箱根や東京など、他にもいろいろな場所へ出かけた。
飛行機が滑走路を走り、離陸する瞬間のワクワク感は、何度経験しても特別だ。
いや、空港の手荷物検査を通過するときでさえ、思い返せば、これから始まる時間を実感して気持ちが高まっていた。
さらに、そのずっと前の行き先を決め、交通機関やレンタカーの動線、宿泊先を自分で組み立てていく時間は手間もかかるが、その分ワクワクは確実に増幅していた。
ワクワクが途切れたとき
一方で、コロナ禍では、予定していたことが中止になる経験も重なった。
ワクワクしていた分、その落差は大きく、気持ちが沈んだことも少なくない。
忘れもしない、ちょうど2022年の今頃は、感染による欠席者の連絡が増え始め、総合的な学習の時間の成果として予定されていた、地元ローカル局のテレビ出演が中止になった。
子どもたちも私たちも楽しみにしていた企画だっただけに、本当に残念だった。(これは後日、総合的な学習の時間編で連載時に出てきます。)
また、県警に勤める知り合いの協力で、白バイ隊員が来校し、児童にさまざまな体験をさせてくれる計画もあったが、感染状況を考え断念せざるを得なかった。
その後、コロナ禍が落ち着いてからも、旅行を計画するたびに、台風で飛行機が飛ばなかったらどうしようと、つい考えてしまうことはあった。
それでも、大きなトラブルに見舞われることなく、予定通り出かけることができたのは、今思えば本当にラッキーだった。
ワクワクにもいろいろな形がある
ワクワクは、前々から決まっている予定にも宿る。
新しい車の納車日などは、その典型だ。
1年以上前の噂が出た段階で予約を入れ、発売が正式に決まってから注文し、その後県内の割り当て順が決まり、結果的に6ヶ月ほどで納車されることになった。
その日を待つ時間そのものが、確かにワクワクしていた。
飲み会も同じで、特別に強く意識しているわけではないのに、日が近づくと「もうすぐだな」と思うようになる。
すると、その日の朝からの仕事にも自然と力が入り(笑)、今日1日頑張れば楽しい時間が待っていると思える。
最近ではゴルフもそうで、スコアを良くしたいという気持ちと同時に、コースに出る日を待つワクワクがある。
練習はするものの、実際のスコアは本番のコースに出てみないと分からないからこそ、その日を迎えるまでの時間が楽しい。

一方で、ワクワクと不安がはっきり同居しているものもある。
マラソンがその代表で、当日走ること自体は楽しみだが、果たして完走できるのかという不安も常にある。
それでも、スタートラインに立つときの気持ちは、やはりワクワクしている。
仕事で学校訪問をする際も同じだ。
その日、その学校でどんな学びがあるのだろうかという期待感がある一方で、こちらの話がうまく伝わるだろうか、先生方の役に立てるだろうかという不安もある。
それでも、訪問を終えた後に残る充実感は大きく、あのワクワクがあったからこそ得られたものだと、あとから思うことが多い。
これから先のワクワクへ
今後の連載では、総合的な学習の時間の取組を描いていく予定である。
単元構想や活動について、「これは面白いかもしれない」と思いついた瞬間、私は強くワクワクする。
もしこれが実現したら、子どもたちはどんな表情を見せるだろうか、どんな驚きや楽しさが生まれるだろうかと、自然と想像が膨らんでいく。
その「わくわくする瞬間」が嬉しくてたまらない。
ワクワクは、始まる前にこそ最も濃く存在する。
会えない時間と、育てる時間。
その気持ちを抱えながら、これからも新しい時間に向かって歩いていきたいし、その先で生まれた出来事を、連載の中で伝えていきたいと思っている。
会えない時間が、ワクワク育てるのさ【ふエ#29】 完
最後まで読んでいただき,ありがとうございました。
わくわくと言えば、こんな実践もありました。
よければ、ご覧になってください。
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