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漏らすなと言われた夜、島で叫んだ【島総①#11】/vol2 お魚天国青波島編/離島の総合的な学習① 

図鑑を仕上げ、コンクールに出品してからの一か月は、静かに、けれど慌ただしく過ぎていきました。
学校では持久走大会、家では家族の体調不良、私は2005年の教室を考える会に向かいながら、日常は次の出来事へと流れていきました。
結果が気にならなかったわけではありません。
ただ、島の学校の毎日は、それを待つほどゆっくりではありませんでした。
そんな折、宿舎の画面に現れた一通のメールが、空気を一変させます。

本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)

これは,県内で唯一の離島にある小学校に赴任した1年目、今から約20年以上前も2002年(平成14年)度に行った総合的な学習の時間の実践記録です。
交通も通信も限られた島で、私は総合的な学習の時間に「おさかな天国」と名づけた実践に取り組みました。

島の海で捕れる魚介類を調べ、島の人に話を聞き、子どもたちは試行錯誤しながらデジタル図鑑づくりを進めていきます。
この総合編では、その総合的な学習の時間に関する出来事や子どもたちの姿、その場その場で行った判断や選択を、当時の時間の流れに沿って描いています。
▶ おさかな天国(マガジン離島の総合的な学習の時間①)

なお、授業構成の意図や迷い、教師としての判断の背景等については、別途「解説編」として整理しています。
なるほど!総合的な学習マガジン(離島の小学校編)おさかな天国

※本文中の地名・学校名・人名等は仮名を使用しています。


1 一通の件名に手が止まった

離島の小学校に赴任して一年目が終わろうとしていました。
総合的な学習の時間で取り組んできた「おさかな天国青波島 海辺のデジタル図鑑」をマイタウン・マップコンクールに応募して、約一か月が過ぎていました。

2月7日の夜、宿舎でメールを開きました。
当時は携帯料金を少しでも節約するため、まず件名だけを先に読み込むのがいつものやり方でした。
いつかの連絡メール、メーリングリストの投稿、少しの広告メール。
その並びの中に、ふと目に留まる一通がありました。

「第9回マイタウンマップコンクール入賞のお知らせ」

一瞬、手が止まりました。
慌てて本文を開くと、差出人はマイタウン・マップコンクール実行委員会事務局でした。

「あなたの応募された『おさかな天国青波島 海辺のデジタル図鑑』は、農林水産大臣賞に内定しました。おめでとうございます。」

そのあとには、今後のスケジュールとともに、公式発表は2月20日予定であること、それまでは特別な関係者以外には外部に漏らさないように、という注意書きが続いていました。

読み終えた瞬間、宿舎で思わず声が出ました。
「やったー。」

多分、近くの部屋の先生方がびっくりするくらいのトーンだったと思います。


2 発表までの慌ただしい日々

翌日、子どもたちをはじめ、小中学校の先生方、校長先生には報告しました。
漁協や町会長さんなど、これまでお世話になってきた方々にも、事前にお知らせしました。

公式発表までの間は、著作権の確認や表彰式出席の手配など、慌ただしい日が続きました。
最終的には、6年生児童3名も表彰式に出席することになりました。

公式発表前日2月19日には、主催団体の一つであるサンケイ新聞社の方が、連絡船に乗って、わざわざ取材に訪れました。
ところが、公式発表当日20日は悪天候のため連絡船が止まり、地元新聞社などが取材に来る予定は中止になってしまいました。
当時は地元新聞社のシェアが圧倒的で、全県的に多くの読者を抱えていたのです。
仕方なく電話での取材となり、写真がほしいということで、デジカメで撮った写真をメールに添付して送りました。

最初、子どもたちはあまり実感が湧いていない様子でした。
けれど、周囲が大騒ぎするうちに、
「自分たちは大変なことをしたのかもしれない」
と思い始めたようでした。
この出来事は、間違いなく子どもたちの自信になったと思います。

一方で、島の人たちがこの作品を自由に見られないことは、ずっと心に引っかかっていました。
その思いが、そのとき進めていたプロジェクトI(アイ)1年目の実現へ向けた追い込みにつながっていくことになります。


3 校長先生の一押しで

公式発表の翌日21日、受賞報告として、6年生3名の児童を連れて、市教育長さん、市長さんを表敬訪問することになりました。
この段取りをしてくださったのは校長先生でした。
校長先生もちょうど出張があり、同じ連絡船に乗って行きました。

約束の時間まで少しあったので昼食をとり、その後、市役所へ向かいました。
その日はサンケイ新聞に取材記事が載っているということで、駅やコンビニ、新聞販売店を回りましたが、どこにも置いてありませんでした。
結局、ようやく市役所で見つけ、コピーを取らせてもらいました。

校長先生の話では、表敬訪問を申し入れた際、スポーツ関係は前例があるが、文化的な内容ではこれまで例がないと言われたそうです。
それでも校長先生が強く押してくださり、実現した訪問でした。


4 緊張の中の一日

市長さん、教育長さんとの懇談の場には、すでにマスコミが集まっていました。
地元民放一社、地元新聞社一社、全国紙地方支局一社。

子どもたちは初めての経験に、終始緊張していました。
懇談を終えたあと、三社からインタビューを受けました。

市長室訪問取材の様子(当時の写真からイラスト化)

私は、子どもたちにとって良い経験になればという軽い気持ちでしたが、後で校長先生は「結構大変だったなあ」と苦笑していました。

民放の方に放映予定を聞くと、その日の夕方のニュースとのことでした。
子どもたちには、帰って家族に話すように伝えました。
私も放映を見ました。
画面には、緊張した表情の子どもたちが大きく映っていました。
これは、保護者の方々も喜ばれただろうなと思いました。

表敬訪問など、私一人では思いつきもしませんでした。
校長先生のおかげで、子どもたちにとって忘れられない一日になりました。


今回の解説編👉 名前だけが先に届いた賞【な総島魚#11】/なるほど!総合的な学習(離島の小学校編)/おさかな天国編

▶次回へ続く・・・👇

「離島の総合的な学習①お魚天国青波島編マガジン」👇

文中に出てくる「マガジン和菓子プロジェクト連載のまとめ」こちらもよければ👇👇

「プロジェクトI」を綴った「離島デジタルデバイド挑戦」のマガジン👇👇👇

「離島の小学校編 ── 教室とくらしの物語」マガジン,赴任した島の様子がわかります👇👇👇


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