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第2回 本気の学びは一度止まる ~子どもたちと「やってみたい」の火をもう一度~

小学生が、和菓子を企画して、本当に売る!?
教室に広がる甘い香りに心が躍ったのは最初だけ。情報は集まったのに、なぜか心が動かない・・・プロジェクトは停滞します。でもそこから、子どもたちは“本気”を見つけていきました。

これは、学びが動き出す瞬間を追った、ある教室の物語です。
今から約25年前の2001年(平成13年)度の実践です。

第2回舞台裏(解説編はこちら)👇


1. 教室に広がる甘い香りと本物体験


子どもたちは、日本の伝統的なお菓子「和菓子」について、もっと知りたい、調べてみたいという思いを膨らませていました。そんな中、ある保護者が和菓子屋を営んでいたのです。さっそくお願いして教室に来ていただくことにしました。

その日、教室にはふんわりとあんこの甘い香りが漂っていました。ご主人はパソコンも使いこなし、スライドショーを用いながら、和菓子の歴史や用途、四季との関係、そして和菓子が実はとてもヘルシーな食べ物であることなど、丁寧に解説してくださいました。

その後、いよいよ実習へ。子どもたちは2色団子作りに挑戦しました。プロの手つきで餡を美しくまとわせていく姿に、「さすが職人だ…」と感嘆の声が上がります。いざ自分たちが作る段になると、教えてもらったコツを実践するのはなかなか難しく、四苦八苦していました。それでも、子どもたちにとってはとても楽しい経験で、和菓子に対する親しみが一気に高まったようでした。

職人技の手つきに感嘆の声が・・・

ここで、このプロジェクトのゴール・・・「地域にちなんだオリジナル和菓子の開発」が、子どもたちの中でようやくリアルな目標として浮かび上がったのです。まもなく夏休み。興味の熱が冷めないうちに、自由研究として和菓子をテーマに新聞をまとめ、休み明けに発表会を行うことになりました。


2. 情報は集まった、でも心が動かない


夏休み明け、子どもたちは新聞形式で自由研究を発表しました。和菓子の種類や歴史、材料、道具、季節ごとの違い、自作レシピ、特産物とのコラボ案、地元スーパーの和菓子棚の調査など、情報量は豊富で、資料の完成度も高いものでした。

ところが、発表会が進むにつれ、教室にはある“違和感”が漂い始めました。発表の時間は長くなり、途中から子どもたちの集中力も途切れがちに。「なぜ和菓子を作りたいのか」「何を伝えたいのか」「自分がやってみたいことは何か」・・・そうした熱意が感じられなかったのです。

集中力の切れた発表会

私たちは気づきました。情報は集まっているのに、心が動いていない。子どもたちは、自分たちの学びを“自分ごと”として捉えきれていなかったのです。

ゴールは見えているのに、そこへ向かうルートが見えない。まるで霧の中に立ちすくむような、プロジェクトの“停滞”が始まりました。


3. 止まった波動エンジンが動き出すとき


プロジェクトを再始動させるため、院生と私は作戦を練りました。まず、地域活性化に取り組む商工会議所の方をゲストティーチャーに招くことにしました。自分たちも地域活性化のイベントを企画していることを話してくださり,同じように地域を元気にしようとしている子どもたちの取り組みに、賞賛の言葉と力強いエールを送っていただきました。教室にポジティブな空気が徐々に広がっていきました。

さらに、プロジェクトアドバイザーとして和菓子屋のご主人にも再度協力を依頼しました。その助言は、まさに「起動スイッチ」になるものでした。

  • まず、自分たちの思いを大切にすること。 なぜこの商品を作るのか。どんな和菓子にしたいのか。明確な目的と見通しを持つこと。

  • 次に、消費者目線を知ること。 ニーズを調べ、今どんなスイーツが人気かリサーチすること。

  • そして、大人にはできない発想を恐れないこと。 「いちご大福」のように、常識を超えた組み合わせこそがヒットにつながると。

子どもたちは、その言葉のひとつひとつに食い入るように耳を傾けていました。何とかしようと自分ごとになっている様子が伝わってきました。私は、その姿に心が熱くなりました。ふと頭に浮かんだのは、宇宙戦艦ヤマトの“波動エンジン”が再起動する印象的な場面です。それまで沈黙していたエンジンが、少しずつ音を上げながら再び動き出す・・・まさに、そんな瞬間が教室に訪れたのです。

止まっていたエンジンが再び光を放つ――子どもたちの学びも、ここから再起動。
(※画像はAIによるイメージ生成)

子どもたちの“波動エンジン”は、ついに動き始めました。不安や迷いを乗り越え、自分の言葉で人に問いかけ、自分たちの足でまちを歩く・・・。次なる舞台は、いよいよ町の中。子どもたちの目に、どんなヒントが飛び込んでくるのでしょうか。

彼らの“本気の探究”は、まだ始まったばかりです。


▶︎ 第3話に続く

舞台裏解説編マガジンはこちら👇👇


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