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島の子が育つとき──心をつなぐ学びの季節【島小#20】/離島の小学校編 20

海に囲まれた小さな島の学校では、行事ひとつひとつが子どもたちの成長の場になります。
地域の人とふれあい、努力を積み重ね、仲間と心を通わせる中で、島の子どもたちは確かに育っています。
その姿を支えながら、私たち教師もまた「育てる」という意味を問い直す季節です。

校外行事が子どもたちを育てる(前回は・・・)👇


離島で勤務することとなった1教師の奮闘記です。
今から約20年以上前の2002年(平成14年)11月頃のお話です。
※注:本文中の一部地名や固有名詞等は仮名(かめい)にしています。

私が赴任したのは,こんな島です。👇👇


1. 五音と七音が結ぶ、世代のリズム

来週に行われる敬老会を前に、学校は少し慌ただしさを増していました。
この会は、お年寄りの前で学習発表をしたり、昔の遊びや知恵を教えてもらったりする交流行事です。

6年生の発表は、国語の単元「現代に生きる五音、七音」を発展させた内容にしました。
歌の歌詞や詩、標語、短歌、俳句などを調べ、五音七音に区切ってリズムの美しさを伝えるというものです。
子どもたちは発表ソフト「発表名人」で資料を作り、デジタルボードに映して朗読します。
まだ準備の途中でしたが、五音と七音の響きに耳を傾けながら練習する姿に、学びの深まりを感じました。

放課後には、老人会の会長さんが学校を訪ねてくださり、当日の流れを打ち合わせました。
交流コーナーでは紙鉄砲をする予定で、児童会の6年生3名はそのゲームの準備や会場設営に追われています。
やることは山積みですが、子どもたちは少し誇らしげに動き回っていました。

そして迎えた当日。
6年生は、堂々とした声で自作の俳句を発表し、五音七音の世界を会場いっぱいに響かせました。
会場ではお年寄りの方々がうなずきながら聴き入り、温かい拍手が湧きました。
紙鉄砲の音が弾け、笑い声が重なり合ううちに、世代を超えた空気が生まれていきました。
すべてを終えたあと、児童会の子どもたちが「楽しかった!」と口々に話す姿を見て、私も胸の中でそっと拍手を送りました。


2. 汗と笑顔の向こうに、努力の花が咲く

敬老会の余韻も冷めやらぬうちに、次は体操検定会の練習に向かって本格的に取り組みました。
市の小学校の行事です。
体育の時間や放課後を使って少しずつ練習していますが、放課後は会議や事務仕事も多く、なかなか十分な時間が取れません。

それでも子どもたちはやる気いっぱいで、昼休みから鉄棒の練習を始めました。
限られた時間の中で、少しでも上達してくれればと願いながら、毎日見守りました。

そして当日。
朝いちばんの船に乗り、本土の会場へ向かいました。
私は引率のほかに、跳び箱の検定員を務めることになっていました。
主審・副審あわせて3人で判定し、紅白の旗を上げ下げします。
さらに記録係と選手係も兼ねていて、約100人分の名前を一人ずつ呼び上げなければなりません。

「○○小学校、○○さん!」

普段は少人数の島で静かに過ごしているせいか、これだけ大声を出したのは久しぶりでした。
のどが少し痛くなりながらも、審査を終えたときの爽快感は格別でした。
他校の審判の先生に「最近これだけしゃべったことはないので」と思わず笑って言い訳しました。(笑)


無事に検定会が終わり、帰りの船でゆられながら海を見ていました。
子どもたちの頑張りが誇らしく、胸の中にあたたかい波が広がっていくようでした。
明日は人権教育の発表。
港に着くとそのまま学校へ直行し、発表資料の仕上げに取りかかりました。


3. 子どもたちの心をつなぐ、島の連携教育

次の日には,人権教育研究会の校内での原稿検討会がありました。
この研究会は,島内の保育所・小学校・中学校が連携して、人権意識を育てる取組を発表する大切な場です。 今回は「保小中のつながり」をテーマに、私が問題提起の発表を担当することになっていました。

研究会前日も宿舎に戻ってから学校へ出向き、原稿を何とか仕上げました。
本当は夜釣りに行くつもりだったアオリイカ釣りもパス。
ちょうど雨が降ってきたので、「まあ、よかったかな」とつぶやきながら、眠い目をこすってパソコンに向かいました。
睡眠時間を削って書き上げた分、少しホッとしました。

そして迎えた当日。
午後から人権教育研究会が開かれました。
保育所も中学校も歩いて行ける距離にあり、まさに島全体が一つの学区です。
5時間目には人権主事のもう一人の先生による全校児童ロールプレイの公開授業が行われました。
異なる発達段階の子どもたちが一緒に考えることの難しさと面白さを、あらためて感じました。

ロールプレイの様子

研究協議では、私が小中連携の提案発表をしました。
前任地では六つの小学校から一つの中学校へ進学する形でしたが、この島は「一小一中」。
どうしても人間関係が固定化しやすくなります。
しかしそれをマイナスにとらえるのではなく、互いの顔が見える関係だからこそできる連携を大切にしたい・・・そんな思いを込めて話しました。

会の終わりには活発な意見が飛び交い、充実した時間になりました。
準備は大変でしたが、とてもいい勉強になりました。


4. 島の学び、心を育てて

こうして振り返ってみると、この数週間の行事は、すべてが子どもたちの力を育てる舞台だったように思います。
敬老会では、地域のお年寄りとふれあい、思いやりや感謝の気持ちを育てました。
体操検定会では、目標に向かってコツコツ努力する姿勢を学びました。
そして人権教育研究会では、互いの違いを認め合い、心を通わせることの大切さを考えました。

島という限られた環境の中でも、子どもたちは確かに成長しています。
その姿を支えるのが、私たち教師の役目です。
海の向こうへ送り出す日までに、地域を愛し、人を思い、自分を信じて進む力をつけてほしい・・・。

そう願いながら、保小中の教師たちは今日も子どもたちと真摯に向き合っていました。

▶離島の小学校編21へ続く・・・

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