見出し画像

雷鳴のあとで【島学#10】/離島の小学校三年目の学び編 10

2004年6月末。

落雷による停電にひやりとしたかと思えば、子どもたちは保育所との交流会に向けて準備を進めていた。
梅雨の終わりと夏の始まりが入り混じる、そんな頃の記録である。

1.雷が落ちた日

6月下旬の島は、梅雨の終わりらしい不安定な空模様が続いていた。

その日も朝から雷が鳴り、突然激しい雨が降り出したかと思えば、しばらくすると空が明るくなる。そんな落ち着かない天気だった。

梅雨の終わり頃は雷が多い。

この日もかなり大きな音がしていたので、どこか近くに落ちたのだろうと思っていた。

本当なら、こういう日は早めにパソコンの電源を落としておくべきだった。
しかし、その時はそこまで考えが及ばなかった。

ちょうど3校時が終わる頃だった。
突然、学校全体の電気が消えた。
停電である。

職員室のパソコンは一斉に沈黙し、チャイムも止まった。
幸い停電は5分ほどで復旧したが、その間にも小さな騒ぎが起きていた。

教頭先生は、ちょうど関西のテレビ番組制作会社から取材の電話を受けている最中だった。
ところが停電すると、FAXも留守番電話も子機付き電話機も使えなくなる。

調理員さんは、「ご飯が炊けんようになる」と慌てていた。
それぞれが、それぞれの場所で停電と向き合っていたのである。

しかし、一番大きな被害を受けたのは自分のパソコンだった。
復旧後も起動途中で止まってしまう。
何度再起動しても同じだった。

「いよいよだめかもしれないな」

そう思いながら何度目かの起動を試したところ、奇跡的に立ち上がった。
慌てて必要なデータをサーバーへ退避させる。

ひとまず助かったものの、いつ動かなくなってもおかしくない状態だった。


2.子どもたちがつくる交流会

そんな騒ぎの合間にも、学校の行事は待ってくれない。

翌日に予定されている保育所との交流会へ向けて、子どもたちは準備を進めていた。
プレゼントづくり。
進行の確認。
ゲームのリハーサル。
時間は決して十分ではなかったが、ほとんどのことを子どもたち自身の力で進めていた。

こちらは所々で助言するだけである。
交流会で使うビンゴカードも、子どもたちが「かいけつ表グラフ」を使って自分たちで作ったものだった。

翌日。
保育所の子どもたちを迎えて交流会が始まった。
ビンゴゲームの説明をする子。
進行役を務める子。
手作りゼリーを手渡す子。
みんな、それぞれの役割をきちんと果たしていた。

前日までの準備の様子を見ていたからこそ、その姿がうれしかった。


3.島の外へ届く

交流会が終わった頃、電力会社の広報誌が学校へ届いた。
昨年の夏に取材を受けた内容が、7月号に掲載されたのである。
島で取り組んだ総合的な学習の実践が紹介されていた。

たくさん送っていただいたので、保護者の方々にも配布することにした。

そういえば、この頃は市内の水泳検定に関するデータ整理の仕事も進めていた。
体育部会の担当として各校へメールを送り、資料を集める。

もっとも、2学期の陸上関係は別の先生に引き継ぐ予定だった。
4年生担任の自分の学級からは大会参加児童もいない。

体育部会の仕事も、そろそろ一区切りになりそうだった。


4.ついに交換

7月に入ると、ついにその時がやって来た。

停電の日から不安定だった職員室の自分のパソコンが、とうとう正常に起動しなくなったのである。
何度立ち上げ直しても途中で止まる。
もう限界だった。
結局、ノートパソコンへ環境を移し替えることになった。
サーバーに退避させていたデータを戻し、必要なソフトを入れ直す。

さらに職員室のプリンタ設定もやり直した。
A3対応インクジェットプリンタ。
A4カラーレーザープリンタ。
どちらもネットワーク経由の少し特殊な設定だったが、これまで何度も設定してきたので何とかなる。

気がつけば、その作業だけで1日が終わっていた。

そんな頃、大学院時代の師匠(指導教授)が主催する夏のセミナーの案内も届いた。
今年は会場が変わり、市内開催になるらしい。

昨年は2本も発表させてもらったが、今年は参加者としてゆっくり聞こうかと思っている。

もっとも、その2日後にはその師匠を講師に迎え、県総合部会の夏季研修会を予定していた。
ワークショップ中心の研修にしたいと考えていたので、セミナーそのものが絶好の勉強の機会になる。

ノートパソコンの設定を終えた机の前で、そんな夏の予定を思い浮かべていた


次回に続く・・・

前回の話👇👇

◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇

約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。
そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。

この話は、離島の小学校勤務2004年度当時の日記をもとに、島の学校編では収まらないプロジェクトや情報教育、外部との関わり等について描いていきます。
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。

マガジン離島の小学校三年目の学び編👇👇

離島の小学校編Season3マガジン👇👇👇


いいなと思ったら応援しよう!

熱中探究教室 応援いただいたお気持ちは、子どもたちの学びを物語として発信し続ける力となり、教育の現場で役立つヒントへとつなげていきます。

この記事が参加している募集