ウミウシ出現と140校の返事 大作戦は続く【島総②#18】/vol3 アワビいっぱい編/離島の総合的な学習②
2003年12月、2学期末の慌ただしい時期、教室から送り出したアンケートに全国から返事が届き始める一方で、水槽の中にも思いがけない変化が現れ、子どもたちの学びはさらに広がり始めていました。
1.水槽の中の異変
教室の一角に置かれたアワビの水槽に、いつもとは違う気配がありました。
よく見ると、そこには見慣れない生き物がゆっくりと動いています。
ウミウシでした。
子どもたちが世話を続けてきた水槽の中に、思いがけず現れたその姿は、どこか不思議で、同時に小さなざわめきを生みます。
なぜウミウシが現れたのかを考えていくと、原因は自然と見えてきます。
アワビのエサとして入れていた海草に紛れていた可能性が高く、実際、週明けに水槽をのぞくと、海草はほとんど食べ尽くされ、その代わりに大きく育ったウミウシが目に入ったのです。

ウミウシは別名アメフラシとも呼ばれ、海草を食べて生きる生き物です。
アワビとエサが重なる以上、このまま同じ水槽で飼育することは難しいと判断し、伊勢エビなどを入れている別の水槽へと移しました。
気づけば月曜から数えて3匹目の発見であり、小さな水槽の中でも生き物の関係が確かに動いていることを実感させられました。
2.見えない「壁」と向き合う時間
一方、教室ではキーボード練習の一環として取り組んでいる「キーボー島アドベンチャー」にも、それぞれの子どもたちの現在地が見えてきていました。
6年生の中には、初段に挑戦している子が1名、さらに上の段位に挑んでいる子が2名います。
教室には1人1台のパソコンがあり、いつでも練習できる環境は整っています。
それでも最近は、以前ほど積極的に取り組む姿が見られなくなっていました。
何度挑戦してもなかなか合格できない、その繰り返しの中で、見えない「壁」にぶつかっているようにも感じられます。
加えて、この時期はアンケートへの返信作業も続いており、子どもたちの時間と意識はそちらにも向かっていました。
そんな中で、3年生はまだ8級や9級といった段階にあり、目に見えて上達していく実感があるためか、意欲的に取り組む姿が見られます。
同じ活動の中でも、成長の段階によって見える景色が違うことが、教室の中に自然と表れていました。
3.積み重なる「全国」の声
アンケート調査は、その後も着実に広がりを見せていました。
集まった回答は、全国の都道府県にまたがり、気づけば140校から届いています。
画面の中に並ぶ学校名は、もはや単なる文字ではなく、それぞれの場所でこの活動に関わってくれた証でもありました。
届いたメールは都道府県ごとに分類し、エクセルに学校名とメールアドレスを入力していきます。
しかしこの作業は想像以上に手間のかかるものでした。
メールに都道府県名が記されていればよいのですが、学校名だけのものも多く、その都度インターネットで調べながら整理していく必要があったのです。
それでも一つ一つ積み上げていくと、数字としての成果が見えてきます。
countif関数を使って集計すると、140校という数がはっきりと現れました。もともと約600校に依頼していたことを考えると、およそ4分の1が応えてくれたことになります。
4.あと一歩と、その先へ
集計を進める中で、あと一歩届かなかったものもありました。
北は北海道から南は九州沖縄まで返信をいただいたにもかかわらず、全国すべての都道府県から回答がそろう、そんな「パーフェクト」には、あと1県だけ届かなかったのです。
それでも、ほとんどの学校が好意的に協力してくださり、励ましの言葉やメッセージを添えてくれたことは、大きな支えとなりました。
子どもたちは、毎日10通を超えて届くメールに対して、丁寧にお礼の返信を書き続けています。
これから待っているのは、さらに大変な集計作業です。
しかしその過程こそが、数字の向こうにいる人々の存在を感じ取り、学びを深める機会になるはずです。
子どもたちとともに、その意味を確かめながら、次の段階へ進んでいこうとしていました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回に続く・・・👇
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初めて来られた方へ👇👇
本シリーズは、離島の小学校で実践した総合的な学習の記録です。
本作は2003年度、赴任2年目の取組を扱います。
アワビの中間育成・放流を軸に、交流活動やICT活用を重ねながら広がっていった学びの過程を描いています。
前年度には「おさかな天国 海辺のデジタル図鑑」に取り組み、農林水産大臣賞を受賞しました。
▶ 前シリーズ
総合実践のvol2、おさかな天国(マガジン離島の総合的な学習の時間①)
総合実践のvol3、アワビいっぱい編(マガジン離島の総合的な学習の時間②)👇👇👇
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