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図書館で80冊、島は極寒、夜は残業【島小②#32】/離島の小学校編Season2 32

新しく就航した船にも、すっかり慣れてきました。
気づけば、島で迎える2度目の冬が近づいています。

前回の話👇

◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)

約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。 予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。

そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。

このシリーズでは、当時の日記をもとに、島での仕事の大変さと、その中にあるささやかな温かさを綴っていきます。

2年目2003年の、Season2(2年目)2学期のお話です。

※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。


1.段ボール2箱分の「これから」

2003年も晩秋から冬を迎えようとしていました。
県の総合部会への出張に向かう朝、私は少し早めに家を出て、県立図書館へ立ち寄りました。
目的は、古い図書の譲渡です。

島の学校には、十分な予算があるわけではありません。
図書も決して豊富とは言えず、子どもたちにとっての“本との出会い”は、まだまだ限られていました。
だからこそ、こうした機会は逃したくありませんでした。

ちょうどその日が譲渡の初日でした。
初日を逃せば、残り物の中から選ぶしかなくなります。
大学院時代に司書教諭の講習を受けたこともあり、「どうせ行くなら自分が選ぼう」と、出張のついでとはいえ少し気合いを入れて臨みました。

結果として選んだのは、およそ80冊。
段ボールにして2箱分です。
初日ということもあって、種類も多く、本自体も思っていたより新しいものが残っていました。

ただ、そこからが大変でした。
持ち帰るためには、すべての本の番号と書名をリストにしなければなりません。
時間は限られていて、一本一本を手書きで写していく作業は、まさに必死でした。

なんとかリストを仕上げ、台車を借りて駐車場まで運び出し、ぎりぎりで出張に間に合わせました。
慌ただしさの中にも、「いい買い物をした」(買い物ではないですが笑)という手応えだけは、しっかりと残っていました。


2.島に戻ると、冬が待っていた

翌日、新しくなった船のダイヤで、私は段ボール2箱の本とともに島へ戻りました。
以前より少し早い時間の便になり、その分、朝は早くなりましたが、1日の使い方としては悪くないように感じます。

船を降りた瞬間、空気の冷たさに思わず身をすくめました。
島の冬の風は、やはり独特です。
強く、鋭く、時には体ごと持っていかれそうなほどで、ただ寒いという言葉だけでは足りません。

宿舎に戻ると、迷わずこたつを出しました。
こうして準備を整えると、「ああ、2回目の冬が来たのだな」と実感します。

今年は、イカ釣りにもほとんど行っていません。
時間をつくって出かけても、釣れずに帰るあの帰り道の風の冷たさを思うと、どうしても足が遠のいてしまうのです。

島の楽しみのひとつではあるのですが、それでもあの寒さには、なかなか勝てません。


3.中学校文化祭と、つながる学び

数日後、島の中学校で毎年恒例の文化祭が開かれました。
小学校は給食なしで、子どもたちと一緒に発表を見に行くのが通例です。

体育館では、中学生たちの学習発表が続きます。
今年は、3年に1度の修学旅行の報告がありました。
さらに、この地域特有のユリの保護活動の発表、そして本土の中学校と合同で取り組んでいる人権劇のビデオ上映と、内容は多岐にわたっていました。

発表を聞きながら、ふと考えました。
これだけ小さな島で、それぞれが同じ地域を題材に学んでいるのであれば、いずれ小学校と中学校が一緒になって文化祭をつくる時期が来るのではないかと。
別々にやる意味もあるが、「つながる」ことで見えてくるものもあるはずです。

そんなことを思いながら、私は一つ一つの発表に耳を傾けていました。


4.誘いを断って、夜の学校で

夕方になり、中学校から連絡が入りました。
文化祭の模擬店で出た食べ物が余ったので、宿舎で食事会をしませんか、という誘いでした。
おそらく打ち上げも兼ねていたのでしょうが、小学校にも声をかけてくださったようです。

正直、少し心は揺れました。
しかし、そのとき私の頭の中には、明後日に控えた2005年の会でのポスターセッションのことがありました。
どうしても準備を進めておかなければなりません。

結局、その誘いは遠慮することにしました。

夜の職員室で、文化祭の残りのフライドチキンとポテトをつまみながら、資料づくりに向かいます。
時計を見ると、気づけば22時前。
それでも、完成にはまだ届いていませんでした。

一区切りをつけ、残りは明日自宅に帰ってから仕上げることにしました。

島の夜は静かです。
けれど、その静けさの中でも、仕事だけはまだ終わりを迎えていませんでした。

次回に続く・・・👇


離島の小学校編マガジンSeason1👇

離島の小学校編Season2👇👇

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