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「甘い塩ですね」に驚いた【島総③#15】/総合実践の記録vol4 塩物語編/離島の総合的な学習③ 

2004年12月。
ようやく完成した自分たちの塩は、50g100円で販売することに決まりました。
でも、「おいしい塩です」と自分たちで言うだけでは、本当に買ってもらえるとは限りません。
それなら、実際に食べてもらえばいい。
3人は、自分たちの塩を持って町へ出かけ、本当の感想を聞いてみることにしました。


1.「おいしい」を確かめに行こう

前回、3人は自分たちの塩の「ウリ」を考えました。
おいしさや作り方、苦労して作ったことなど、それぞれの視点から商品のアピールをまとめてきました。

ところが、いざ「どんな味ですか」と聞かれると困ってしまいます。
3人も自分たちで作った塩を食べてみました。
でも、「からい」ということくらいしか思いつきません。
普通の塩とは少し違う気はするのですが、「どんなふうに違うの?」と聞かれると、うまく言葉にできませんでした。

その様子を見ながら、ふと思いました。
子どもたちよりも、これまでいろいろなものを食べてきた大人の方が、味の違いをもっと細かく感じ取って、それを言葉にしてくれるのではないか。
それに、実際にこの塩を買ってくださるのも大人の人たちです。

「だったら、大人の人に食べてもらって、味を聞いてみたらどうやろ。」

そう3人に投げかけると、「試食してもらったらいいんじゃない?」という声が返ってきました。

それなら、町の人たちに食べてもらおう。

こうして、次にやることが決まりました。
自分たちだけで「おいしい」と言うのではなく、実際に食べてもらい、その人がどう感じたのかを聞いてみることにしたのです。

2.町の人たちの声を聞きに行く

試食アンケートに出かけたのは、夕方16時過ぎでした。
島の組合の購買部には、ちょうど買い物に来る人たちが集まり始める時間です。
3人は小さな容器に入れた塩とアンケート用紙を持って、少し緊張した表情で歩き始めました。

島なので、声をかける相手はほとんどが知っている人たちです。
それでも、自分たちが作った塩を食べてもらい、「どうでしたか」と感想を聞くのは少し照れくさそうでした。
「ちょっと食べてみてもらえますか。」
そんな一言にも、少しだけ勇気がいります。

でも、お願いすると、みなさん本当に気持ちよく協力してくださいました。
指先に少し塩をのせ、じっくり味わってから、
「これはうまいなあ。」
「ちょっと書いてみるわ。」
とアンケートを書いてくださいます。

中には、
「昔は私も塩を作ったことがあるんよ。」
と懐かしそうに話してくださるおばあちゃんもいました。

試食をお願いしたつもりが、いつの間にか昔の島の暮らしの話になっていきます。

購買部だけではありません。
道で出会った方にもお願いすると、立ち止まって試食し、感想を書いてくださいました。
島だからこそできる、温かなアンケートでした。

3.「まろやか」という言葉

アンケートを読み始めると、3人は驚きました。

一番多かったのは、「まろやか」という感想でした。
「普通の塩よりまろやかだった」
「味に深みがある」
「こくがある」
「思ったより白くできている」
「島の塩らしい味がする」
など、自分たちでは思いつかなかった表現が次々と並んでいます。

さらに驚いたのは、「甘い」と書いてくださった方がいたことでした。
私たちは塩は「からい」ものだと思っていましたが、人によっては甘みを感じるというのです。
一方で、「苦みがある」という感想もありました。

同じ塩を食べても、感じ方は人それぞれです。
でも、そのどの感想も、自分たちだけでは気づけなかった大切な言葉でした。
子どもたちはアンケート用紙を何度も読み返しながら、
「こんなふうに感じる人もおるんやな。」
と話していました。

4.答えは、町の人たちが持っていた

この試食アンケートをして、一番大きかったのは、「おいしい」という一言だけでは伝わらないことが分かったことでした。

私たちは、自分たちで作った塩だから、そのよさを知っているつもりでした。
でも、それは作った側の見方です。
実際に食べた町の人たちは、「まろやか」「深みがある」「こくがある」「甘い」など、自分たちにはなかった言葉で塩の味を表現してくださいました。

その一つ一つが、自分たちの塩の新しい魅力になりました。
売るために都合のよい言葉を考えたのではありません。
実際に食べてくださった方の率直な感想だからこそ、自信をもって伝えられる言葉になったのです。

試食アンケートは、味を調べるためだけの活動ではありませんでした。
作る側だけの思い込みではなく、相手がどう感じるのかを知るための時間でした。

そして、その声は次に作る商品のラベルへと生かされていくことになります。


ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回に続く👇

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初めて来られた方へ👇👇

本シリーズは、離島の小学校で実践した総合的な学習の記録です。
本作は2004年度、赴任3年目の取組を扱います。
島の人たちのために,ウミブドウを栽培し,お祭りで食べてもらうつもりでした・・・。
この年は,台風の襲来が多く,実践にも大きな影響がありました。

マイタウンマップ・コンクールで内閣総理大臣賞を受賞した感動の実践「塩物語」です。

「お魚天国海辺のデジタル図鑑」から始まる離島の総合実践3部作の最終作です。


離島の総合的な学習の時間3年目(最終年度)の実践「塩物語編」👇

総合実践のvol2、お魚天国デジタル図鑑編(マガジン離島の総合的な学習の時間①)👇👇

総合実践のvol3、アワビいっぱい編(マガジン離島の総合的な学習の時間②)👇👇👇

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