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孤島状態の48時間【島小②#10】/離島の小学校編Season2 10

交歓学習から戻ったその週末、島に台風が近づきました。
「時化舫(しけもやい)」という言葉をご存じでしょうか。
台風に備え、漁船を港内で並べてつなぐことをそう呼びます。
やがて防波水門が閉まり、連絡船も止まりました。 島は、完全な孤島状態になります。

交歓学習の話👇

◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)

今から約20年以上前、2002年(平成14年)4月、県で唯一の離島にある小学校に赴任しました。
車も信号もなく、連絡船は1日3往復が命綱の島でした。
海の荒れる日は、移動そのものが大きな出来事になります。
島の仕事や暮らしは、天候と船の都合に大きく左右されていました。

少ない職員で学校を回し、小中の宿舎で生活をともにする日々が続きました。
予定通りにいかないことが、特別ではなく日常です。
また、島にはインターネット接続はなく、デジタルデバイドは広がっていくばかりでした。(※離島のデジタルデバイド編参照
そんな中でも,総合的な学習の時間で子どもたちに自信をもたせてやりたいと考え,取り組んできました。(※離島の総合的な学習の時間編①参照
そんな背景となるこの島での小学校編では、授業や行事だけでなく、島ならではの工夫や出来事、ここでしか味わえない体験の数々を、小さな学校と暮らしの記録として綴っていきます。

いよいよ2年目2003年の、Season2(2年目)5月のお話です。

離島の小学校編Season1(1年目の記録)マガジンはこちら ※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。


1. 水門が閉まるということ

週末がやってきたと思えば、時季はずれの台風接近でした。
本来なら土曜日に自宅へ帰る予定でしたが、このぶんでは帰れそうにありません。
港では漁船が港内に「時化舫(しけもやい)」といって並べてつながれ、夕方には防波水門が閉まりました。
水門が閉まるということは、出ていく船は絶対にないということです。
まさに孤島状態でした。

台風に備えてぎっしりとつながれた時化舫。

連絡船は金曜の2便から欠航。台風接近は明け方とのことで、翌日は確実に欠航です。
もし土曜の3便でも出ればいいかなと思いつつ、最悪の場合は日曜に食料調達のため少しだけ帰ることになりそうだと考えていました。

日中は雨こそ降らなかったものの風が強く、先日生まれたウコッケイのヒヨコ3羽と雌鳥を段ボール箱に入れて校舎内へ避難させました。
花のプランターも校舎内へ入れました。


2. 台風の夜のつきあい

仕事がたまっていたので学校で作業をしていると、電話が入りました。
漁協の組合長さんをはじめ漁師さんたちが旅館で飲み会をしているので来ないかというお誘いでした。
台風で漁に出られないため、一杯やっているとのことでした。

誘われたからには断るわけにもいかず、参加させていただきました。
いろいろな話を聞き、こちらも話し、台風の夜は更けていきます。
別に義務感で行っているわけではありませんが、こうしたつきあいをすればするほど地域のことが分かり、人間関係も築けます。
郷にいれば郷に従えと言いますが、仕事とプライベートをきっちり分けることが難しい場面もあります。
それでも、それが結果的にいろいろな面でプラスになると私は思っています。


3. 足止めの1日と、つながらない回線

結局、土曜日は、水門が1日中上がらず、赴任後初めて休日を丸1日島で過ごすことになりました。
金曜日に出張していた養護教諭の先生以外は全員島に残っており、小中すべての教員が足止めです。
私は午前中学校で仕事をし、その後は宿舎でDVDの映画を見るなどして過ごしました。
他の先生方も部屋で静かに過ごしていたようで、島全体がしんと静まり返っていました。

今年3年目になる先生に聞くと、過去2年間で土日に船が出ず帰れなかったことはなかったそうです。
珍しい週末だったわけです。

しかし、何より困ったのはインターネットが使えないことでした。
土曜日も運用しているという話も聞いていましたが、やはり学校ではつながりませんでした。
環境が整っていれば情報収集もできるし、何かとするべきことも進められます。
メールのチェックは携帯電話のリモートメール、天気情報はiモードという状況で、かなりパケット代がかかったのではないかと思います。
当時の通信事情では、これも仕方のないことでした。


4. 唯一の往復と、本土の便利さ

最初にも書いた島の防波水門は、台風時に漁船を避難させて閉じる設備で、開閉には30分以上かかります。
これができる前は台風のたびに漁船を本土まで持って行っていたそうです。

今回の台風でこの水門は金曜日夕方に閉まり、開いたのは日曜の朝8時でした。
当然1便は欠航。
頼みは2便です。

閉まる途中の水門。最初の時化舫の画像と比べてみてください。

台風通過後は冬型の気圧配置となり、北西の風が強く吹いていましたが、なんとか2便は出ることになりました。
2便で島を出て用を済ませ、3便で戻れそうです。
これだけでも、まだラッキーです。

ところが船に乗ると、外は真冬のような波でした。
ドーン、ドーンと船底に波が当たります。
それでも何とか本土へ到着しました。

実家に寄り、自宅へ戻り、PCでメールをチェックしてからプロバイダのサーバー上のメールを削除しました。
島でも確認はできますが、すべて自宅のメールソフトに残す設定にしてあるからです。
その後、島では見られないsonystyleや価格.comなども確認しました。
わずかな時間でしたが、家族とも話をして、醤油やシャンプーなど不足分を補給し、食料も調達。
港へ向かう前に銀行にも寄りました。

3便に間に合うよう港へ行くと、2便は島へ戻っていないとのことでした。
つまり、この日動いた船は1往復だけということになります。

帰りの船内は荷物でいっぱいでした。
新聞は2日分。
わずかな滞在でしたが、やはり週に1日は帰らないと何かと用があります。
あらためて、本土の便利さを実感した週末でした。


※ 次回に続く・・・👇

離島の小学校編Season2(2年目2003年度)はこちら👇👇

離島の小学校編Season1(赴任1年目2002年度)はこちら👇👇👇

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