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画面の向こうに、ちょんまげが現れた【島総②#04】/vol3 アワビいっぱい編/離島の総合的な学習② 

前回は、神戸の少年から届いた手紙をきっかけに、学びが外へ広がる可能性について書きました。
島にいながら、外とつながるということの意味を、あらためて感じた出来事でした。
今回は、その続きです。
2003年、まだ珍しかったテレビ会議を使い、県の東端と西端の学校を結びました。
画面越しの出会いは、思いがけずユーモラスな場面から始まりました。

前回の話 離島の総合的学習の時間②#03👇

本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)

本シリーズは、県内で唯一の離島にある小学校に赴任して2年目、2003年度(平成15年度)に行った総合的な学習の時間の実践記録です。
交通も通信も限られた島で、子どもたちにどんな力を身に付けさせたいのかを考えながら、地域と関わる学びやICTを活用した取組を進めてきました。

1年目には、島の海の魚介類を調べてまとめた「おさかな天国 海辺のデジタル図鑑」に取り組み、マイタウンマップ・コンクールで農林水産大臣賞をいただきました。 ▶ おさかな天国(離島の総合的な学習の時間①)

本シリーズ「アワビいっぱい編」では、年度後半のアワビの中間育成・放流の実践を軸にしながら、そこへ至るまでの前半の学びとして、他地域との交流、ICTスキルの定着、発信に向けた準備段階も含めて、2年目の1年間を通した取組を記録しています。
単元単位ではなく、「学びが形になるまでの時間」そのものを描いています。

※本文中の地名・学校名・人名等は仮名を使用しています。


1. 初めてのテレビ会議、画面越しの出会い

5月中旬、今月末に予定している交歓学習の打ち合わせを兼ねて、校内研修で相手校の先生方とテレビ会議を行いました。
当日の確認だけでなく、本校職員にとってはテレビ会議そのものを体験してみるという意味合いもありました。
私も含め、実際に会議を行うのは全員が初めてでした。

2003年当時、テレビ会議はまだ一般的なものではなく、学校現場で日常的に使われるような環境ではありませんでした。
ましてや離島や山間部の小学校で、画面越しに他校とつながるというのは、少し大げさに言えば「未来の道具」に触れるような感覚でした。

約束の時間になると、プロジェクターの画面に向こうの部屋が映し出されました。
画面に人影が動いた瞬間、教室に小さなどよめきが起こりました。
「本当に映ってるぞ」という空気です。

そこへ現れた相手校の校長先生が、なんとちょんまげ姿でした。(笑)
偶然にも本校校長の後輩にあたる方だそうですが、いきなりその姿で登場されたのにはさすがにびっくりしました。


こちらも負けてはいられません。
校長先生がその場で皿回しを披露し、画面越しに拍手が起こりました。
初対面のはずなのに、いきなり距離が縮まった感じがしました。
なるほど、校長先生の特技はここに生かされたのか・・・と思いました。

実はこのテレビ会議には、もう一つ理由がありました。
隣の中学校が衛星通信のテレビ会議システムを持っているのですが、その使用期限が今年1年限りと聞いていたのです。
どうせなら今年のうちに小学校でも使ってみたいという思いがありました。

そこで、交歓学習前日に子ども同士でもテレビ会議を行うことを決めました。実際に会う前に顔を合わせておけば、当日の緊張も少しはやわらぐはずです。
限られた時間をできるだけ活動に使いたいという思いもありました。
同じ県内とはいえ東と西の端同士です。姿を見ながら話ができただけで職員が感動しているのですから、子どもたちにとってはなおさらの体験になるはずだと思いました。

2. 交歓学習前夜、仕事と準備のあいだで

それから約2週間が過ぎ、交歓学習の前日を迎えました。
その間に私は身内の不幸があり、島を離れることもありました。
予定外の休みは仕事を確実に滞らせます。
机の上には処理しなければならない書類が山のように積み上がっていました。

ちょうど理振台帳が新しくなる時期でもあり、その書き換え作業に追われていました。
翌日の交歓学習で本土へ出るついでに市教委へ提出しなければ締切に間に合いません。
19時頃に一度宿舎へ戻って食事をとり、その後再び学校へ向かい、結局22時過ぎまでかかって仕上げました。

そんな慌ただしさの中でしたが、前日のこの日は、子どもたちはテレビ会議で事前の顔合わせを行っていました。
必然的に時間的制約があるので、できるだけ明日の活動の時間を確保したいという思いもありました。
実際に会う当日は移動だけでもかなりの時間を要しますから、できる準備は先に済ませておきたかったのです。


相手校はテレビ会議の経験が何度かあるようでしたが、本校の子どもたちはまったく初めての体験でした。
画面越しの自己紹介では、かなりの硬さが見えました。
それでも、顔を合わせておくだけで当日の空気はきっと違うはずです。
人数も同じで、低中高学年のバランスもちょうどですから、活動そのものはきっとうまくいくと感じていました。

テレビ会議の様子

明日は7時発の連絡船に乗り、帰りは18時頃の予定です。
遠い道のりですが、その分、得るものも大きいはずだと静かに思っていました。

3. 県の東端から西端へ

5月29日、県の東端にある本校から西端の学校まで、文字通り県を横断しました。
本年度の交歓学習の相手校に、あえて県の最西端の学校を選びました。

せっかくならテレビ会議やBBSを通じて常時の交流を行うつもりでしたので、単発で終わる形式的な交歓学習にはしたくありませんでした。
距離が離れているからこそ、テレビ会議やBBSでつながり続ける意味があると思いました。


朝7時の連絡船に乗るため、子どもたちは5時半には起きていたはずです。
本土の港に着くとマイクロバスが待っていました。
市内は通勤時間帯と重なり少し渋滞しましたが、高速道路に入ると順調で、予定通りに到着しました。
前日にテレビ会議で顔を合わせていたこともあり、完全な初対面とは少し違う空気がありました。
あいさつやプレゼント交換、名刺交換や仲良くなるためのゲームを重ねるうちに、少しずつ表情がやわらいでいきました。

せっかくの機会ですので、近くのキャンプ場のある高原にも一緒に出かけました。
自然の中で一緒に遊ぶ時間は、教室の中よりも距離を縮めてくれます。
それでも、もう少し時間があればと思うところで、活動は終了となりました。

近くの高原の遊具で遊ぶ

4. 手を振る光景のその先に

青空の下で弁当を食べ、帰路につきました。
学校の前を通ると、相手校の子どもたちや先生方が外に出てきて手を振ってくれました。
その姿をバスの窓越しに見ながら、子どもたちも名残惜しそうに手を振り返していました。


帰り道はトイレ休憩を兼ねてハイウェイオアシスに立ち寄り、無事に港へ戻りました。
連絡船にも間に合い、夕方、島へ帰ってきました。遠くて疲れはしましたが、行ってよかったと素直に思いました。

ただ、今回の交歓学習は、これで終わりにするつもりはありませんでした。
実際に顔を合わせたからこそ、次は画面越しのやり取りが生きてくるはずです。

テレビ会議やBBSを通じて、これからも定期的に交流を続けていこうと、子どもたちとも話しました。

東の端と西の端。
距離は簡単には縮まりませんが、つながりは、続けてこそ深まるのだと思います。
この日の出会いが、一度きりの行事ではなく、日常の交流へと育っていくことを願いながら、私は次のテレビ会議の予定を頭の中で思い描いていました。


次回に続く・・・

総合実践のvol3、アワビいっぱい編(マガジン離島の総合的な学習の時間②)👇👇

総合実践のvol2、おさかな天国(マガジン離島の総合的な学習の時間①)👇👇👇


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