島で読むDr.コトー診療所【島小②#38】/離島の小学校編Season2 38
2004年1月、離島の小学校で勤務していた頃の話です。
週末は本土に戻り、週明けにまた島へ渡る。
そんな生活の中で、連絡船の上で漫画『Dr.コトー診療所』を少しずつ読み進めていました。
医者のいない島で描かれる物語を読みながら、目の前の現実や自分の仕事のことを、自然と考えていた記録です。
1 校長先生の風邪と、この島の診療所
校長先生が、週明けに島へ来た朝から風邪で調子が悪いようでした。
熱は38度以上あると聞き、宿舎に戻って寝てもらうようにすすめることになりました。
この島には常駐の医者がいません。
診療所に医師が来るのは週に一度、木曜の夕方だけです。
それ以外は看護師さんが対応してくださいますが、いざというときに「すぐ診てもらえる」環境ではありません。
教頭先生は朝の2便で本土の病院に行くよう勧めに行ったそうですが、校長先生はどうしても医者には行きたくないらしいのです(笑)。
結局、薬ももらわずに宿舎で休み続け、養護の先生が食事を運び、周りが静かに支える形になりました。

夜には少し熱も下がったようで、ひとまず安心しました。
家族と離れて一人で暮らしているときの病気はやはり大変です。
でも、同じ仲間の先生方がいろいろと気を遣ってくれているのは有り難いことです。
こういう場面になると、それがよく分かります。
2 コトー先生と、自分の場所
そのとき、ふと思い出したのが「Dr.コトー診療所」でした。
「Dr.コトー診療所特別編」が放送されていたのですが、録画していてすぐには見ていませんでした。
ネット上の感想など(今でいうネタバレですね)を先に見てしまうのが嫌で、せっかくならちゃんと見たいと思い、すぐには見ないようにしていました。
その一方で、本編は見ていて、離島に赴任した医師の姿が、どうしても人ごとには思えませんでした。
もちろん私は医者ではなく、小学校の教師です。
それでも、離島で働くという一点だけで、重なる部分は確かにあります。
この島に来てから1年9ヶ月。
車が走っていないことよりも、インターネット環境の遅れの方に強い衝撃を受けました。
世の中がブロードバンドだ光ファイバーだと言っている中で、この島ではアナログ回線すら安定しない。
このままでは取り残されてしまう。
そう思って、授業だけでなく地域にも働きかけながら、小さな実践を積み重ねてきました。
不便さも多いですが、その一方で、人との距離の近さや自然の豊かさは、ここでしか得られないものです。
そうした日々の中で、自分の立ち位置を少しずつ考えるようになっていました。
コトー先生の奮闘に勇気をもらっていました。
3 連絡船の上で読む漫画
その後、原作の漫画『Dr.コトー診療所』を、12巻までまとめて購入しました。
とはいっても、すぐに一気に読めるような状況ではなく、発表プレゼンの準備などもあって、最初は1巻さえなかなか進みませんでした。
結局、読むのは週末に本土の自宅へ戻るときの連絡船の中になりました。
行きと帰り、その限られた時間の中で、少しずつページをめくっていくことになります。

これまでテレビでしか見たことがなかったのですが、原作の漫画を読んでみると、人のやさしさの出方が少し違うように感じました。
1巻はテレビで放送された内容とほとんど同じで、船上での盲腸手術やウチばあさんの手術など、思い当たる場面を比べながら読むことになりました。
一気に読むというよりも、船に乗るたびに少しずつ進んでいく感じで、読み終えるまでに2週間ほどかかりました。
その時間の流れも含めて、この漫画の世界に引き込まれていたような気がします。
4 読み終えて残ったもの
最後のほう、11巻と12巻ではタケヒロの心臓手術の話が続きます。
大学病院での手術ということで、かなり緊張感のある展開でした。
その中で印象に残ったのが、コトー先生の言葉でした。
「離島医療が自分を成長させてくれた。」
もちろん、医者と教師はちがいますが、なんとなくわかるような気もするんです。
この島では、数少ないスタッフで、子どもだけでなく学校や地域のことまで、いろいろな面から見ていかなければなりません。
不便なこともありますし、思うようにいかないこともあります。
少なくとも、この離島で勤務してみないと分からないことがあるのは確かです。
そう考えると、ここでの毎日の勤務も、自分にとっての貴重な経験なのだと思います。
今こうしてここで過ごしていること自体が、有り難いことなのだとあらためて思っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回に続く・・・👇
前回の話👇
◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇
約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。
そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。
▶ 離島の小学校編Season1〜教室とくらしの物語
マガジンこのシリーズでは、当時の日記をもとに、島での仕事の大変さと、その中にあるささやかな温かさを綴っていきます。
2年目2003年の、Season2(2年目)2学期のお話です。
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。
離島の小学校編Season2👇👇👇
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