黒潮便りへ続く波音【な総島魚#03】/なるほど!総合的な学習(離島の小学校編)/おさかな天国編
ジョナサンへの発表を終えた子どもたちは、次の舞台として「釣り」に出た。
魚を“釣る”という体験を通して、島の豊かさを再発見し、デジタル図鑑づくりへと歩み出す。
その背景には、教師が描いた構想と、子どもたちの主体性を引き出す仕掛けがあった。
今回は、釣りを入り口に始まった探究の設計と、「黒潮便り」誕生へ続く学びの軌跡をたどる。
前回の話👇
※2002年度(平成14年度)離島勤務1年目の「総合的な学習の時間」の実践記録をもとにしています。 ※本文中の地名・固有名詞・氏名などは一部仮名にしています。
今回の対応する本編👇👇
1.島の暮らしから立ち上がった「魚」の題材
ジョナサンへの発表を終え、次に目指したのはデジタル図鑑づくりだった。
しかし、4月に赴任した当初は、島の魅力を「何かパンフレットのような形でまとめる」という、ごく大まかな構想しか持っていなかった。
デジタル図鑑のアイデアが出てきたのは、ずっと後のことである。
この島は、豊かな自然に恵まれた魚介類の宝庫だった。
漁や釣り、漁協の活動、そして家庭の食卓など、島の子どもたちは日常の中で多くの魚に触れている。
彼らにとって魚は特別な存在ではなく、「当たり前にそばにあるもの」になっていた。
さらに驚いたのは、魚介類に対して島特有の呼び名を使っていることだった。
子どもたちはそれを自然に口にしていたが、よそ者である自分にとっては、それが新鮮で面白い発見だった。
おそらく子どもたちは、それを特別な文化だとは思っていなかったに違いない。
この島の自然のすばらしさや豊かさに、子どもたちがあまり自覚的でないのは、彼らにとってそれが「比較することのない日常」だからだろう。
島での生活を重ねるうちに、私はそんなことを何度も感じるようになっていた。
子どもたちと一緒に島内を歩き、釣りや観察を通してふれ合ううちに、「魚」という素材がこの地域を象徴するテーマになり得るという確信が生まれた。
そして、自分たちの身近にある魚介類をあらためて見つめ直し、他者に伝える活動を通して、自分たちのふるさとを再認識する機会にできないかと考えた。
つまり、総合的な学習の流れが見え始めた段階で、私は心の中でこう思ったのである。
・・・この魚を題材にした単元を作れないだろうか、と。
「図鑑」という形を選んだのは、前年に参加したマイタウンマップ・コンクールの受賞作品からヒントを得たためだった。
ただし、最も大切なのは、教師の構想をそのまま子どもたちに“下ろさない”ことだと考えていた。
魚の話題を出せば子どもたちの反応はよく、盛り上がるだろうという確信はあった。
だが、教師の構想を押しつけるのではなく、子どもたち自身が「自分たちで考えて進めている」と実感できることが、主体的な学びにつながる。
そのことを私は、前任校での和菓子プロジェクトの経験から強く学んでいた。
※主体性な学びにつながる教師のいわゆる「仕掛け」はこちらで言及。(和菓子プロジェクトの舞台裏)👇👇
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【完結】離島の小学校で行われた「魚の図鑑づくり」プロジェクトを通して、子どもたちが探究に出会い、学びを深めていく記録をまとめたシリーズです…
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