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学び、釣りあげる。【島総①#03】/vol2お魚天国青波島編/離島の総合的な学習の時間①

前回は、名所チームと魚チームに分かれて、デジタルボードを使いジョナサン先生に島の魅力を発表しました。
日本語の説明に、簡単な英語のあいさつや写真を交えて、先生にも楽しんでもらうことができました。
その発表をきっかけに、子どもたちの中に「もっと多くの人に青波島(仮名)のことを知ってほしい」という思いが生まれました。

前回の話👇

私が赴任したのはこんな島です👇👇


離島勤務1年目総合的な学習の時間の実践記録です。
今から約20年以上前の2002年(平成14年)9月の実践です。
※注:本文中の一部地名や固有名詞・氏名等は仮名(かめい)にしています。


1.その一言が波を起こした。

島に月1回やって来るALTのジョナサン先生(仮名)への発表のあと、児童と話し合いを持ちました。
「ジョナサン先生以外にも、もっといろいろな人たちに島のいいところを知ってほしい。」 そんな声が子どもたちからあがりました。

「インターネットのホームページなら、日本中のいろいろな人に伝えられるよ。」と私からアドバイス。
「その人が興味あることなら見てくれるだろう。」
「この島にはいろんな魚がいて、みんな興味があるんじゃないかな。」
様々な意見が出る中で、「島の魚がだんだん減ってきている。だから、魚のことをもっと知ってもらって、大切にできたら……。」という思いがテーマになりました。

そして、島で捕ることのできる魚介類を調査し、ホームページにまとめてデジタル図鑑として公開するというゴールを設定。
こうして、「お魚天国青波島 海辺のデジタル図鑑」プロジェクトが動き始めました。


2.自由研究より熱い、魚トーク。

夏休みには、各自がこの島の魚について調べてくることを課題としました。
魚の種類、料理法、捕り方など、それぞれが自分のテーマを決めて取り組みました。

休み明けには発表会を行いました。
手作りの資料や写真が黒板の前に並び、教室がまるで小さな研究室のようでした。
「うちの父ちゃんの網にはサメが入ったことあるで!」という声に、みんなが笑顔になります。
さすがに魚のことについては詳しい子どもたちです。
夏のあいだに集めたそれぞれの“魚の物語”が、子どもたちの口から熱く語られました。


3.「釣りに行こう!」その一声が学びを動かす。

2学期になりました。
総合的な学習の時間では、今後の見通しを立てるために、これからの計画と来週の活動内容を話し合いました。

1学期に行ったジョナサン先生へのプレゼンを振り返り、名所チームと魚チームに分かれた活動を思い出します。
その後の話し合いで、「島の魚のことをもっと調べよう」という意見がまとまり、 これを2学期の新しい単元「お魚天国青波島 海辺のデジタル図鑑」として進めることにしました。
「どんな情報を集めたらいい?」
「どうやって魚を撮ろう?」
子どもたちは口々に意見を出します。
「釣れた魚の写真を撮りたい!」
「磯の生き物もいるよ!」
ホームページづくりに向けた計画を立てながら、教室の空気が次第にわくわくしてきました。

そして、次回の学習では“まず素材となる魚の写真を撮りに行こう”ということに。
場所は学校から歩いて5分ほどの港と磯。
磯生物班と釣り班に分かれることになり、持ち物や安全確認も入念に話し合いました。
子どもたちは、すでに心は海へ飛び出していました。


4.カメラと笑顔と、今日の潮風。

翌週の午後、いよいよ海辺での調査活動です。
潮風に包まれながら、子どもたちは磯生物班と釣り班に分かれて出発しました。

ワクワク釣り活動に出発

磯生物班は岩場をのぞきこみ、カニやヤドカリを見つけてはデジカメでパシャリ。
見つけたナマコをはじめ、いろんな生物に歓声があがります。
小さな貝は、島では味噌汁に入れて食べるそうです。 私も「へえー」と思うことしきりでした。

釣り班は、波止の先で竿を構え、真剣なまなざし。
さすがに手慣れたもので、近くに見えている小魚も釣り上げていきます。
仕掛けを直す子の横で、「ほら、また釣れた!」と笑顔が広がります。
私もカメラを手に走り回り、釣れた魚をその場で一匹ずつ撮影していきました。

その横では、校長先生がアオリイカを狙っていました。
餌木を投げると、透明な海の中でイカがすーっと寄ってきて、なんと本当に一杯釣り上げました。
「うわぁー!」と子どもたちの歓声。
昼の陽射しの中でイカの体が虹色に光り、みんなの目が釘付けになりました。
私も夜のイカ釣りはしたことがありますが、昼間に餌木を追ってきたイカの様子を見るのは初めてでした。

昼間,釣れたアオリイカ

終わり間際、「先生!あれ見て!」 水面にぷかぷか浮かぶハリセンボンを発見。
「獲るよ!」ある子がなんと器用に本当に引っ掛けて釣り上げてしまいました。
笑い声とシャッター音が港に響き、この日いちばんの盛り上がりになりました。

引っかけたハリセンボン


楽しさの中にも、子どもたちは“記録する・調べる”という目的を忘れずに取り組んでいました。
私が普段から言っている「楽しくなければ総合じゃない」――そんな思いが自然と形になった一日でした。


5.漁が始まる。次の探究も始まる。

島では、次の日から伊勢海老漁が始まりました。
この日までは禁漁期間。 前日の昼に網を仕掛け、翌朝5時ごろには港に網が上がります。
伊勢海老ばかりでなく、タイやカワハギなど、いろいろな魚が一緒にかかっていることもあるそうです。

子どもたちの中には、早朝に港へ行って手伝いをする子もいます。
その子がデジカメで撮った魚の写真を見せてくれました。
ちょうどいい時期に漁が始まり、調べる材料がまたひとつ増えたようです。

潮のにおいを残したまま、写真データがパソコンに集まっていきます。
港の水面に映る朝の光、釣り上げた魚のひかり、磯で見つけた貝の模様。
子どもたちが見つけた“島の宝物”が、少しずつ形になりはじめていました。


今回の解説編03はこちら

離島の総合的な学習の時間①#4 へ続く


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