“コンペイ”が教えてくれたこと──島の魚図鑑への第一歩【島総①#04】/vol2 お魚天国青波島編/離島の総合的な学習①
前回、子どもたちは釣りを通して島の魚と出会い、海へのまなざしを深めていきました。 すると、「この魚にはどんな名前があるのか」「家ではどうやって食べているのか」など、日常の中に潜んでいた“気づき”が少しずつ浮かび上がってきます。 やがてその問いは、魚を「見て終わり」にしない新たな学びの動きへとつながっていきます。
前回のお話👇
実践したのは、こんな島です。👇👇
離島勤務1年目総合的な学習の時間の実践記録です。
今から約20年以上前の2002年(平成14年)度秋のことです。
※注:本文中の一部地名や固有名詞・氏名等は仮名(かめい)にしています。
1.魚を“撮る”という冒険が始まる
子どもたち一人ひとりにデジタルカメラを配り、島で見られる魚を撮影してくるように伝えました。 今でこそ気軽に使えるデジカメですが、当時としては高価な機材です。 「一人につき一台」はかなりの決断でした。 離島ICT編にも記したように、研究助成金によってようやく購入することができたのです。
【離島のデジタルデバイド編研究助成申請については👇👇👇
子どもたちは釣りで釣れた魚だけでなく、漁で水揚げされる魚介類にもレンズを向け、少しずつ写真が増えていきました。
2.日常の魚が“調べたくなる存在”になっていく
時間は少し前後しますが、夏休みの自由研究では、それぞれが魚に関するテーマを決めて調べました。 より多くの種類の魚を集める取り組みが進んでいく中で、写真や形だけでなく、「名前」に面白さがあることに気付きました。 正式な名称とは別に、この島や近隣の地域だけで通じる“呼び名”があるのです。
子どもたちに聞くと、例えば「コンペイ」という魚がいました。 響きがどこか金平糖を思わせ、かわいらしい印象があります。 調べてみると、これは縦縞のある石鯛の稚魚のことで、普段から子どもたちは当たり前のようにそう呼んでいました。 また、「キンギョ」と呼ばれている魚もありました。 こちらは「ネンブツダイ」というピンク色の小魚です。 島の暮らしの中では、ごく自然な呼び方なのだそうです。

「これは面白い!」と私は思いました。 子どもたちにとっては日常の一部なので、その価値に気付いていませんでしたが、島の魚図鑑にとっては重要な視点です。 私はその発見を素直に伝えました。
さらに魚の話をしている中で、「うちではこうやって食べるよ」「そっちの家ではそんな食べ方するの?」といった会話がいくつも出てきました。 「他にも、みんなが知らない食べ方があるかもしれないよね」と声をかけると、子どもたちは「確かに」と頷きます。 父親が漁師という家庭も多いので、獲り方を含めた“漁の知識”も自然と身に付いています。
3.バラバラの写真が「図鑑」へ変わり始めた瞬間
となると、魚図鑑の構成は「名前」「特徴」「漁の方法」「食べ方」など、いくつもの切り口を持たせることができます。 写真を整理しながら、どんな情報を集める必要があるのかを考える段階へと進む時期が来たことがわかりました。
しかし、「Webページで図鑑を作る」と言っても、子どもたちはまだ十分なイメージを持てていないようでした。 そこで、当時のWeb作品コンテストである「マイタウンマップ・コンクール」の入賞作品を参考にすることにしました。
マイタウンマップ・コンクールについて👇
教室には整備した中古PCが3台あります。 普段の授業は6年生3名と行っていますが、総合的な学習の時間は5年生を加えた計6名です。 週3回の総合のうち、この活動は週1回・2時間で進めていました。1学級で担任として時間を動かせるわけではないため、残りの週1時間の活動は「学級総合」として別のテーマで行っていました。
このため、「2人1組で1台のPC」を使いながら、あらかじめ用意したリンク先の学校Webページを閲覧することにしました。
4.画面の向こうに、自分たちのページが見えてきた
当時の記録を見ると、閲覧用のワークシートを配布していました。 閲覧したページの「良いと思った点」「参考にしたいところ」、そして「自分たちの図鑑へのアイデア」を記入する欄があります。
参照した学校は2校です。 1つ目は2000年度の最高賞(当時は内閣総理大臣賞はまだ始まっていなかった)にあたる文部科学大臣奨励賞・小学生の部を受賞した学校のWebページです。 リンゴをテーマにした総合的な学習活動で、子どもたちの熱意や動きがページから伝わってくるような作品でした。 何年か連続入賞されており、私自身、この学校を目標に掲げていました。

もう1つは2001年度の入賞作品。 私が「和菓子プロジェクト」を出品したのと同じ年に、文部科学大臣奨励賞小学生の部を受賞した、南の島の小学校による「デジタル図鑑」です。 実のところ、今回の活動の構想はこの作品からヒントを得ました。 とはいえ、全く同じことをしても意味がありません。 この作品との差別化をいかに図るかがポイントになると考えていました。
子どもたちは熱心にページを見ながらメモを取り、アイデア欄に少しずつ文字を書き始めていきました。 「何をどう載せるか」という漠然としたイメージが、少しずつ「こういう図鑑にしたい」という形へと輪郭を持ち始めた瞬間です。
今回の解説編👇👇👇
次回05へつづく。👇
前年度の実践 和菓子プロジェクトとは・・・マガジン👇
おさかな天国(離島の総合的学習の時間①)マガジンは👇👇
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