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不登校・行き渋りの朝、仕事を休めない親御さんへ|泣く子を前にしたときの緊急対応マニュアル

朝、子どもが泣いている。
「学校に行きたくない」と動けなくなっている。
でも、自分も仕事に行かなければならない。

この朝ほど、親の心が引き裂かれる時間はないかもしれません。
私も何度も経験しました。

「本当は休ませてあげたい」
「でも、今日はどうしても仕事を休めない」
「この子を置いて出るなんて、私はひどい親なんじゃないか」
「でも、職場にも迷惑をかけられない」
「もうどうしたらいいのかわからない」

そんなふうに、玄関やリビングで立ち尽くしている親御さんがいるかもしれないと思って、今日はこの文章を書いています。

不登校や行き渋りの記事では、よく
「まずは子どもの気持ちに寄り添いましょう」
「無理に行かせず、休ませてあげましょう」
と書かれています。

もちろん、それはとても大切です。

でも、現実には、そう簡単に休めない朝があります。

仕事がある。
シフトがある。
会議がある。
ひとり親で生活がかかっている。
共働きで、どちらも抜けられない。
職場で何度も急に休むことが難しい。
下の子の送迎もある。
親自身ももう限界に近い。

頭では「休ませた方がいいのかもしれない」と思っている。
でも、現実がそれを許してくれない。

その板挟みの中で、自分を責めている親御さんは、本当に多いです。

私は養護教諭として、保健室でたくさんの子どもたちと関わってきました。
そして公認心理師として、親御さんの相談を受ける中で、こうした「理想論だけでは動けない朝」の苦しさを何度も聞いてきました。

だから今日は、きれいごとだけではなく、
行き渋りの朝、仕事を休めない親御さんが、その場で何を優先したらいいのか
を、できるだけ具体的に整理してみます。

これは、完璧な親になるための記事ではありません。
親子がその朝を少しでも安全に、少しでも傷を深くしすぎずに越えるための記事です。

お忙しい方のために、まずは大切な結論からお伝えしておきますね。

朝、泣く子を前にして仕事の時間が迫っているときは、まずこの順番で考えてください。

①安全確認

②学校への連絡

③今日の見守り先

④親の仕事をどう守るか

では詳しくお話ししていきます。


まず最初に。仕事を休めないあなたは、冷たい親ではありません

子どもが泣いているのに仕事に行く。
この状況だけを見ると、親御さん自身がいちばん自分を責めてしまうかもしれません。

「こんなときくらい、そばにいてあげるべきなのに」
「仕事を優先するなんて、子どもより仕事を選んでいるみたい」
「この子の心に傷を残してしまうんじゃないか」

でも、まずここははっきりお伝えしたいです。

仕事を休めないことは、子どもを大切にしていないことではありません。

生活を守ること。
収入を守ること。
職場との関係を守ること。
親自身が社会の中で立っていること。

それも、家庭を支える大切な土台です。

親が働いていることは、子どもを放っていることではありません。
むしろ、子どもの生活を守るために、必死で踏ん張っている姿です。

ただし、同時に大切なのは、
子どもの安全と心身の状態を見ないまま、無理に置いていくことは避けたい
ということです。

だから必要なのは、根性論ではなく、朝のトリアージです。


行き渋りの朝に最初に見るのは「行けるかどうか」より「安全かどうか」

朝、子どもが泣いていると、親はどうしても
「学校に行けるのか、行けないのか」
を考えます。

でも、本当に最初に見るべきなのは、そこではありません。

まず見るのは、
今、この子は安全に過ごせる状態か
です。

たとえば、次のような様子があるときは、仕事よりも安全確保を優先してほしい状態です。

  • 激しく泣き続けて、呼吸が乱れている

  • パニック状態で、話が入らない

  • 自分を傷つけるような言葉や行動がある

  • 家を飛び出しそうになる

  • 物を投げる、壊すなど危険がある

  • 腹痛・頭痛・吐き気などが強く、体調不良として見守りが必要

  • 「消えたい」「いなくなりたい」などの言葉が出る

  • 小学校低学年など、一人で安全に過ごすには心配が大きい

この場合は、
「学校に行かせるか」よりも前に、
一人にしないこと、見守れる大人につなぐことが最優先です。

仕事に行くかどうかを考える前に、
家族、親族、近所で信頼できる人、学校、医療、相談機関など、使える助けを一つでも探してください。

ここは、親が大げさに考えすぎているのではありません。
子どもを守るための判断です。


未就学児・低学年の場合は、「一人で置いていく」前提にしない

ここは、とても大切なところです。

高学年のお子さんで、ある程度自分で安全を守れる場合と、
未就学児や小学校低学年のお子さんでは、考えるべき優先順位が大きく変わります。

特に未就学児や低学年の場合、
「今日は学校に行けないなら、家で一人で待っていてね」
という対応は、基本的に避けたいところです。

なぜなら、行き渋りの朝は、子どもの心も体も不安定になりやすいからです。

泣いている。
パニックになっている。
お腹が痛い。
不安で判断力が落ちている。
親が出ていったあとに外へ出てしまうかもしれない。
火や刃物、薬、鍵、インターホン、宅配対応など、思わぬ危険があるかもしれない。

そして夏であれば、室内でも熱中症のリスクがあります。

「家の中だから大丈夫」と思っていても、
暑さ、湿度、水分不足、エアコンの使い方などが重なると、子どもにとって危険な状態になることがあります。

だから、未就学児や低学年の場合は、
「学校に行けないなら、どこで安全に過ごすか」
を、登校判断と同じくらい大切に考えてほしいのです。

これは、親を責めるために書いているのではありません。

むしろ、仕事を休めない現実があるからこそ、
“行けなかった朝にどうするか”を、まだ学校に行けているうちから準備しておくこと
が、親子を守る安心材料になります。


「今日は休む」と決めたら、次に考えるのは安全に過ごせる場所

泣いてはいるけれど、少し会話はできる。
「今日は行けない」と言っている。
体調不良もあり、無理に登校させるのは難しそう。

そんな朝は、
学校に行かせることより、今日はどこで安全に過ごすか
に切り替えてよい日かもしれません。

ただし、ここで大切なのは、年齢です。

高学年のお子さんで、ある程度自分で安全を守れる場合と、
未就学児や低学年のお子さんでは、対応は同じではありません。

未就学児や低学年の場合は、
一人で家に置いていく前提にしないこと
をまず大切にしてください。

親族に来てもらえないか。
ファミリー・サポート・センターを使えないか。
ベビーシッターを頼めないか。
学校内で短時間でも過ごせる場所はないか。
地域の一時預かりや子育て支援につながれないか。

こうした選択肢を、事前に持っておくことがとても大切です。

「今日は行けない」
となったとき、次に必要なのは、
子どもを責めることではなく、安全に過ごせる場所を確保すること
です。

行き渋りの支援は、
「学校に行くかどうか」だけでなく、
行けなかったときに、その子が安全に過ごせる場所があるか
まで含めて考える必要があります。


行き渋りが出始めた段階で、地域のサポートを探しておく

行き渋りが始まったばかりの頃は、
「まだ大丈夫かな」
「そのうち慣れるかな」
「大ごとにしたくないな」
と思うこともありますよね。

でも、未就学児や低学年のお子さんの場合は、
“行けなくなってから探す”では間に合わないことがあります。

朝、子どもが泣いている。
親は出勤時間が迫っている。
学校には連絡しなければならない。
でも、預け先がない。
家に来てもらえる人もいない。

この状態になってから探すのは、本当にしんどいです。

だから、まだ完全に不登校になる前でも、
行き渋りが出始めた段階で、地域のサポートを調べておくことをおすすめします。

たとえば、

  • ファミリー・サポート・センター

  • ベビーシッター

  • 一時預かり

  • 民間学童

  • 放課後児童クラブ

  • 児童館

  • 親族や近所で信頼できる大人

  • 学校の別室や保健室での一時的な受け入れ

  • 教育相談センター

  • 子ども家庭支援センター

  • オンライン相談

こうした選択肢を、
“今すぐ使うため”ではなく、“いざという朝の安心材料”として持っておく
のです。

「頼る先を探す」というと、少し大げさに感じるかもしれません。
でも、これは大ごとにするためではありません。

親が仕事を守りながら、子どもの安全も守るための準備です。

親が安心できる選択肢を持っていることは、子どもの安心にもつながります。
だから、まだ学校に行けているうちから、頼れる人や場所を探しておくことは、決して大げさではありません。


家に来てもらう・預ける・学校と相談する。選択肢は一つではありません

未就学児や低学年の行き渋りでは、
「行くか、休むか」だけで考えると、親が追い詰められます。

でも本当は、選択肢はもう少しあります。

家に来てもらう

ベビーシッター、ファミリー・サポート、親族などに短時間来てもらう。

預けられる場所を探す

一時預かり、民間学童、児童館、地域の子育て支援などを確認する。

学校内の別の過ごし方を相談する

教室が難しい場合に、保健室、別室、短時間登校、校門まで、午前だけなどの方法が取れるか学校と相談する。

親だけ先に相談する

本人が動けない場合でも、親だけで学校や外部相談につながっておく。

大切なのは、
“その日の朝に全部決めないこと”
です。

行き渋りがある子の朝は、どうしても親子ともに感情が揺れます。
その場で預け先を探し、学校に連絡し、仕事の調整をし、子どもをなだめる。
これは、親にとって負担が大きすぎます。

だからこそ、まだ少し余裕があるうちに、
使うかどうかわからない選択肢を、先に調べておく
ことが大切です。

選択肢があるだけで、親の呼吸は少し変わります。


玄関で泣く子に、朝かけたい言葉

朝の行き渋りで、親が一番困るのは声かけかもしれません。

つい言いたくなりますよね。

「早くして」
「仕事に遅れるから」
「泣いても仕方ないでしょ」
「とにかく行ってみよう」
「みんな頑張ってるよ」

親も焦っているので、そう言いたくなるのは自然です。
でも、子どもがすでに限界に近いとき、その言葉は余計に固まらせてしまうことがあります。

まずは、短くて大丈夫です。

まだ少し話ができるとき

「行きたくないくらい、今朝はしんどいんだね」

「学校のことを考えると、体が止まっちゃう感じかな」

「泣くくらい頑張ってきたんだね」

「今日は、どうしたら安全に過ごせるか一緒に考えよう」

ポイントは、
行く・行かないを急いで決める前に、しんどさを認めることです。

親が仕事に行かなければならないとき

ここは、きれいごとでは済まないところです。
だからこそ、子どもにうそをつかず、でも突き放さない言い方が大切です。

「本当はずっとそばにいたい。でも今日は仕事に行かないといけない日なんだ」

「あなたのことを置いていきたいわけじゃないよ。どうしたら安全に過ごせるか、今一緒に決めたい」

「今日は学校に行くことより、安全に過ごすことを大事にしよう」

「お昼に一度連絡するね。帰ったらまた一緒に考えよう」

この言い方は、子どもにすべてを納得させる魔法の言葉ではありません。
でも、親の都合だけで突き放された感覚を少し減らすことはできます。


仕事に行く前に確認したいこと

どうしても仕事に行かなければならない朝、
まず確認したいのは、子どもが一人で安全に過ごせる状態かどうかです。

特に、未就学児や低学年の場合は、
「家で待っていてね」で済ませず、見守れる大人や預け先を探すことを優先してください。

確認したいことは、たとえば次のようなことです。

  • 年齢的に一人で過ごせる状態か

  • 泣き方や不安の強さは落ち着いているか

  • 腹痛・頭痛・吐き気など体調不良が強くないか

  • 火、刃物、薬、鍵、窓、ベランダなどの危険がないか

  • インターホンや電話への対応をどうするか決めているか

  • 親と連絡が取れるか

  • 近くに助けを求められる大人がいるか

  • 暑い時期は室温、エアコン、水分補給の確認ができているか

  • 学校や相談先に状況を共有しているか

ただし、このリストは、
子どもを一人で留守番させることをすすめるためのものではありません。

むしろ、
「この状態なら一人は危ない」
と気づくためのリストです。

子どもの年齢や状態によっては、
親だけで判断せず、学校・親族・地域の支援・専門機関につながってください。


学校への連絡は、短くて大丈夫です

朝、子どもが泣いている。
自分も出勤時間が迫っている。
そんなときに、学校への連絡文まで完璧に考えるのは本当に大変です。

でも、朝の連絡で全部を説明しなくて大丈夫です。

たとえば、こんな形で十分です。

「今朝は本人のしんどさが強く、登校が難しい状態です。本日はお休みします。様子を見て、改めてご相談させてください。」

腹痛などがある場合は、

「今朝は腹痛と不安が強く、登校が難しい状態です。本日は無理をさせず休ませます。続くようであれば、学校での様子も含めてご相談させてください。」

仕事でゆっくり連絡できない場合は、

「今朝、登校への拒否が強く、本日は欠席します。詳しい状況は後ほど改めて共有させてください。」

これで大丈夫です。

大切なのは、
その朝に原因を断定しないことです。

「友達関係が原因です」
「先生が嫌みたいです」
と言い切れないなら、言い切らなくていいです。

「本人のしんどさが強い」
「朝の腹痛がある」
「登校が難しい状態」

この事実だけで、まずは十分です。


帰宅後にしてほしい「関係の修復」

仕事に行ったあと、親御さんの心には罪悪感が残ることがあります。

「あんなに泣いていたのに、私は行ってしまった」
「冷たかったかな」
「もう信頼してくれなくなるんじゃないか」

でも、朝に完璧な対応ができなくても、
帰宅後に関係を修復することはできます。

帰ったら、まず責めないでください。

「なんで行けなかったの?」
「今日一日何してたの?」
「明日は行けるよね?」

と聞きたくなるかもしれません。
でも、最初は少し待って大丈夫です。

おすすめは、こんな声かけです。

「朝、しんどかったね」

「お母さんも仕事に行かなきゃいけなくて、苦しかったよ」

「置いていきたかったわけじゃないよ」

「今日どうだったか、話せるときに教えてね」

「明日のことは、少し落ち着いてから一緒に考えよう」

朝うまくいかなかった日ほど、帰宅後の一言が大切です。

子どもは、
「朝は大変だったけど、見捨てられたわけじゃなかった」
と感じることで、少し安心できることがあります。


次の朝を少しラクにするために、前日に決めておくこと

行き渋りの朝は、その場で全部決めようとすると親子で消耗します。

だから、できれば前日の夜や休日に、親だけでもいいので、いくつか決めておくと安心です。

  • 朝、何時までに登校判断をするか

  • 腹痛や涙が強いときはどうするか

  • 学校への連絡は誰がするか

  • 休む場合、誰が見守るか

  • 親が仕事を遅らせられる可能性はあるか

  • 祖父母や親族に頼れるか

  • 地域のサポートを登録しておくか

  • 学校に事前に共有しておくことはあるか

  • 子どもの前で使わない言葉を決めておくか

特に、夫婦や家族で考え方が違う場合は、ここがとても大切です。

「休ませるとクセになる」
「いや、今は無理させない方がいい」

こうした意見の違いは、どの家庭にも起こりえます。

でも、朝の子どもの前でその話し合いが始まると、子どもはさらに不安になります。

だから、できれば子どものいないところで、
朝の対応方針だけでも共有しておくこと
をおすすめします。

目標は、
「絶対に学校に行かせる」ではなく、
「安全を守りながら、その日の状態に合わせて判断する」
でもいいのです。

家族の意思疎通は、子どもにとって大きな安心材料になります。


それでも、うまくいかない朝はあります

ここまで読んでくださった方の中には、
「わかるけど、実際の朝はそんなに落ち着けない」
と思う方もいるかもしれません。

本当にその通りです。

朝は時間がありません。
親も眠い。
仕事もある。
子どもは泣く。
下の子もいる。
電話もしなきゃいけない。
頭ではわかっていても、やさしい言葉なんて出てこない日もあります。

それでいい、とは簡単には言えません。
でも、一度うまくいかなかった朝で、親子関係が全部終わるわけではありません。

大切なのは、あとから修復すること。
次の朝に向けて、少し準備すること。
一人で抱え込まず、学校や相談先につなぐこと。

完璧な対応より、
やり直せる関係を残しておくこと
が大切です。


最後に、仕事を休めない親御さんへ

泣いている子どもを前にして、仕事に行く。
そのつらさは、簡単な言葉では片づけられません。

でも、あなたは冷たい親ではありません。
あなたは、子どもを大切にしているからこそ苦しんでいるのだと思います。

今日の朝、もし全部うまくできなくても大丈夫です。

まずは、子どもの安全を見る。
無理に行かせるより、その日の状態を見る。
未就学児や低学年なら、一人で置いていく前提にしない。
学校には短く事実を伝える。
仕事に行くなら、できる範囲で見守りの手順を作る。
帰宅後に、関係を修復する。

それだけでも、十分に大切な対応です。

行き渋りの朝に必要なのは、
親を責める正論ではありません。

必要なのは、
その家庭の現実の中で、子どもを守るための小さな選択肢
です。

どうか、あなた一人で抱え込まないでくださいね。

「仕事を休めない朝がある」
その現実ごと、支援されていいのだと思います。


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