時間をかけないと言葉は曖昧になる
ここまで、いくつもの便利な言葉をほどいてきた。
感覚が鈍い。
疼痛あり。
持久性低下。
協調性が悪い。
見守りレベル。
ADL低下。
やる気がない。
どれも、時間をかけて向き合えば、もっと具体的に言えた。
タイトルだけ見て、時間をかけない人が悪い、
という話かと思ったかもしれない。
でも、言いたいのは逆だ。
具体的に書くには、時間がいる。
「バランス低下」を、
「いつ・どっちに崩れるか」まで考え言語化するには、
その人一人と落ち着いて向き合う時間がいる。
そして、その時間さえあれば、
あなたはちゃんと具体的に言語化するはず。
なぜなら、
現場に立つまでに、そして現場に立ってからも
理学療法士としての視点や
そこから生まれる言語化能力に
磨きをかけてきたのだから。
曖昧に書いてしまう人の多くは、
能力が足りないのではない。
時間をかけられないだけだ。
問題は、その時間が、どこにもない、ということだ。
朝から、何人もの患者さんを担当する。
一人が終われば、次が待っている。
その合間に、カルテを書く。
書ききれないまま、次の時間になる。
会議が入る。
書類の締め切りがある。
電話が鳴る。
気づけば一日が終わって、たまったカルテを、
閉室間際に、まとめて書く。
その状況で、一人ひとりの「バランス低下」を、
「いつ・どっちに崩れるか」まで考えて書けるだろうか。
現場を仲間をみて想像するに無理だ。
しっかり言語化しようとすれば、一人分で何分もかかる。
それを担当者数だけ繰り返す時間は、どこにもない。
だから、手が「バランス低下あり」で止まる。
時間をかけたくても、かける時間がない。
だから、言葉は曖昧なところで止まる。
曖昧な言葉は、あなたが雑だから生まれるのではない。
時間をかけられないほどの負荷が、
思考の具体化を止めさせている。
多忙な現場ほど曖昧な言葉が増えるのは、
書き手が怠けているからではなく、
構造がそうさせているからではないだろうか。
この記事は、現場で使ってしまう
「便利だけど、何も言っていない言葉」を、
一つずつほどいていくシリーズ
「曖昧なことばのほどき方」の一本です。
このシリーズでやってきた"ほどき方"を、
どんな言葉にも使える
「四つの問い」の型に一枚化しました。
忙しい現場で、カルテの手が止まった
数十秒のためのテンプレートです(書き込みワークシート付き)。
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——学生が黙り込んだとき、どう問いかけるか。
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