昇進したのに、なぜ前より動けなくなるのか
どうも、33歳、3児パパ、1馬力で資産6,000万円を築き、副業で月30万円を稼いでいるトヨタ系会社員です。
普段は、「会社依存を減らし、家族を守りながら、人生の自由度を上げる会社員OS」という考え方を軸に書いています。
会社を辞めよう、という話ではありません。会社しか道がない状態を、少しずつ減らしておきたい。ただそれだけです。
こう書くと、なにか特別なことをしてきた人に見えるかもしれません。でも、実際はごく普通の会社員です。平日は仕事に追われ、家に帰れば子どもの相手をして、休みの日はあっという間に終わっていく。
その生活の合間に、資産形成をしたり、会社の外でも小さく仕事をしてきたりしただけです。だから、うまくいった話としてではなく、「同じように制約の中で試している人間の記録」として読んでもらえたら、と思っています。
さて。今日は、少し言葉にしにくいテーマを書きます。
昇進は、本当に人生の選択肢を増やしてくれるのだろうか。
昇進の話に、素直に喜べなかった夜
昇進や役職の話が出たとき。
うれしいはずなのに、胸のどこかが、ほんの少しだけ重くなる。そんな経験、ありませんか。
僕自身、そういう感覚を持ったことがあります。認めてもらえたのはうれしい。給料も上がる。それなのに、その夜、なぜかすぐには喜べなかった。
これを、贅沢な悩みだと言う人もいると思います。実際、昇進できずに悩んでいる人から見れば、勝手な話に聞こえるかもしれません。
それでも、この「うれしいのに、重い」という感覚には、ちゃんと理由があると僕は思っています。
役職が上がると、任される仕事が増えます。会議で意見を求められ、自分の判断で動かせる範囲も広がる。後輩や部下から頼られることも増える。
給料が上がれば、家計にも少し余裕が出ます。教育費、住宅費、老後の備え。家族を支える立場なら、収入が増える安心は、決して小さくない。
だから僕は、「昇進なんて目指す意味がない」とは思いません。むしろ、積み上げた経験が認められるのは、単純にうれしいことです。
ただ、ここから先に、あまり語られない部分があります。
「責任が重くなるから」だけでは、しっくりこない
昇進すると動きにくくなる理由は、たいてい「責任が増えるから」と説明されます。
これは、間違っていません。担当者のときと、責任者になってからでは、背負うものがまるで違う。問題が起きれば、真っ先に説明を求められるのは自分です。
でも、責任という言葉だけで片づけると、僕はどこか物足りなさを感じます。
増えるのは、責任だけじゃないんです。
収入。社内での信用。人間関係。周りからの期待。ここまで積み上げてきた立場。そういうものが、いつのまにか自分の生活と、静かに結びついていく。
たとえば、収入が上がると、その収入を前提に暮らしが組み替わっていきます。
少し広い家に住むかもしれない。子どもの習い事を一つ増やすかもしれない。年に一度の旅行が、少しだけ贅沢になるかもしれない。
どれも、悪いことじゃない。家族が笑ってくれるなら、なおさらです。
でも、その暮らしを続けるには、今の収入を簡単には手放せなくなる。
職場でも、似たことが起きます。
「自分が抜けたら、残った人に負担がかかる」 「ここまで任せてもらったのに、途中で離れていいんだろうか」
そんな思いが、じわじわと足に絡んでくる。
しかも、誰かに脅されているわけじゃない。むしろ逆で、信頼されているからこそ、離れにくいんです。
会社に縛られる、というと、きつい規則や長時間労働を思い浮かべがちですよね。でも、待遇が悪いから辞められない、とは限らない。
大切にしてもらった。期待してもらった。収入も上がった。だから、離れにくい。
会社とうまくいっているほど、次の一歩には別の重さが乗る。ここが、昇進のややこしいところだと思っています。
増える自由と、減る自由は、たぶん別物
昇進すれば、自由になれる。なんとなく、そう思っていました。
たしかに、裁量は増えます。予算を動かせる。人を配置できる。以前なら上司の判断を待っていたことを、自分で決められる。
これも、まぎれもなく一つの自由です。
ただ、よく見ると、それは「会社の中で使える自由」なんですよね。
一方で、こういう自由もあります。今の働き方を続けるか。別の分野に移るか。仕事の量を少し落とすか。会社の外でも、自分の力を試してみるか。
こっちは、人生そのものに関わる自由です。
この二つ、似ているようで、まるで別物だと思います。
そして厄介なことに、会社の中で動かせる範囲が広がっても、会社の外へ動く余白まで一緒に増えるとは限らない。
むしろ、逆のことが起きたりします。役職が上がって、仕事に使う時間も気力も増える。その結果、外の世界を試す余白のほうは、少しずつ削られていく。
平日は責任のある仕事で埋まって、休日は家族との時間を大事にしたい。そうなると、学び直しや副業に回せる時間は、正直そんなに残りません。
そこで動けない自分を見て、こう思う人がいます。
「もっと行動力があればな」 「本気なら、時間くらいつくれるはずだ」
でも、ちょっと待ってほしいんです。
仕事も家庭も両方抱えている人に足りないのは、意志じゃない。多くの場合、足りないのは、失敗しても戻れる余白のほうです。
時間の余白。お金の余白。気持ちの余白。そして、少しくらい手放しても、暮らしは崩れないという安心。
だから僕は、昇進すると選択肢が減る、という言い方を、少しだけ直したいんです。
正確には、選び直すときに、失うものが増える。
以前なら気軽に試せたことが、今は家族の生活や、部下の仕事や、自分の収入と、しっかりつながってしまっている。
だから、一歩が重くなる。
それは、臆病になったんじゃない。守るものが増えた、というだけの話です。
断るか、辞めるか、の外側にある道
こういう話をすると、「じゃあ、昇進しないほうがいいの?」と聞かれることがあります。
いや、そうは思いません。
昇進しないと関われない仕事もあるし、人を育てたり、組織を動かしたりする経験は、会社の外に出ても効いてきます。むしろ、もらえるものはもらっておいたほうがいい。
僕が気をつけたいのは、昇進そのものじゃないんです。
昇進と引き換えに、人生のほかの道を、知らないうちに閉じてしまうこと。たぶん、見ておきたいのはここです。
だから、任される範囲が広がるほど、自分の価値を社内の肩書きだけで測らないようにしています。
役職名を外したとき、自分には何ができるのか。社内の言葉を使わずに、自分の仕事を人に説明できるか。今の経験は、別の場所でも役に立つのか。
急に答えを出す必要はありません。ただ、責任も生活水準も大きく変わってから慌てるより、変わる前に少しだけ考えておくほうが、あとで動きやすい。
昇進の話が来たとき、「受けるか、断るか」の二択で考えるのではなく、もう一つ問いを足す。
この役割を引き受けながら、ほかの道を、どう残しておくか。
大きな副業を始めなくてもいいし、明日から転職活動をしなくてもいい。
自分の経験を言葉にしてみる。社外の人と話してみる。生活費をいちど見直す。会社の外で、自分の経験がどう受け取られるかを、そっと確かめてみる。
そういう小さなことは、会社への裏切りじゃありません。今の仕事を続けながら、自分と家族の選択肢を守るための、静かな備えです。
上がるより先に、「降りられる」を用意しておく
会社員のキャリアは、よく階段にたとえられます。一段ずつ上がって、役職と収入を増やしていく。
でも、人生は階段だけでできているわけじゃない。
途中で立ち止まりたい時期もあるし、横に移りたい時期もある。家族の事情で、いったん仕事の比重を下げたいこともあります。
本当に選択肢がある状態って、上へ進み続けられることだけじゃなくて、必要なときに、速度を落とせることなんじゃないかと、最近は思うんです。
昇進しても、暮らしを膨らませすぎない。肩書きがなくても語れる経験を持っておく。会社の外とのつながりを、細くていいから残しておく。収入源を、一本に集中させすぎない。家族と、どのくらい働きたいのかを、たまに話しておく。
そういう準備が少しあるだけで、昇進は「もう降りられない階段」ではなくなります。
上がることもできる。立ち止まることもできる。必要なら、横へ移ることもできる。
昇進が、人生を狭くするわけじゃない。狭くするのは、昇進以外の道を、知らないうちに消してしまうことのほうです。
読者のみなさんへ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
もし昇進や出世に、うれしさだけではない感情を抱いているなら、その気持ちを無理に打ち消さなくていいと思います。
それは、責任から逃げたいのではなくて、自分や家族の暮らしを、長い目で考えようとしているサインかもしれません。
今日いちばん伝えたかったのは、昇進が悪いという話ではなくて、「上がること」と「いつでも選び直せること」は、同時に用意できる、ということです。
よかったら、寝る前にでも、一度だけ考えてみてください。
次の役職を手にしたとき、増えるものは何か。反対に、手放しにくくなるものは何か。
すぐに答えが出なくても、大丈夫です。気づいた時点で、もう半分は見えています。
「会社に残るか、辞めるか」の二択ではない働き方や、その考え方を実際の家計や時間にどう落とすかは、別の記事でも少しずつ書いています。もし今日の話が引っかかったら、そちらものぞいてもらえたらうれしいです。スキやフォロー、コメントも、静かな励みになります。
みなさんは、昇進で「増えたもの」と「減ったもの」、どちらを強く感じましたか。話せる範囲で、コメントに残してもらえたら。
今日も、がんばりましょう。
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