タイミー⑫|アラフィフ、初めてのホテル清掃に挑戦。3時間の仕事で見た知らない世界
タイミー、もう少し続けたいな。
前職をやめて、
「自分に合う仕事」を探すために始めたタイミー。
でも少し前に新しいパート先も決まり、
このままタイミーも卒業しようと思っていました。
でも、タイミーの現場で出会った人や経験は、
私にたくさんの学びや新しい視点をくれました。
正直そんな体験を、
もう少し続けてみたいとも感じていました。
無理しない程度に、
パートをしながらでも続けていこうかな。
少し前向きに思い始めたころ、
ビジネスホテルの清掃の募集が目に留まりました。
いつもは利用する側だけれど、
その裏側を少しのぞいてみたくなったのです。
これからは、
気になる仕事の裏側をのぞきに行ってみよう。
そう思った私は、人生で初めて
タイミーのホテル清掃の仕事に挑戦してみることにしました。
これは私が45歳から“100の人生初”に挑戦している
『ミケチャレ』シリーズの第51弾。
心配性で考えすぎてしまう私が、
勇気を出して一歩踏み出すリアルな体験談です。
駅前のビジネスホテルへ
今日の職場は、
新幹線も停車する駅前のビジネスホテル。
週末の9:30〜12:30、
3時間のお仕事です。
仕事内容は、
チェックアウト後の客室の清掃でした。
ホテルまでは車で40分。
今日はいい天気だな。
タイミーを始めたころは、
新しい場所へ向かうだけでも緊張していました。
それが今では、
道中のドライブを楽しむ余裕まで出てきたことに
自分でも少し驚きました。
マイボトルと傷だらけのエレベーター
ホテルに到着し、
フロントスタッフに声をかけると、
事務所へ案内されました。
初めて入るホテルの裏側。
それは意外な光景でした。
事務所のデスクにはたくさんの書類が積み上がり、
脇には備品が無造作に置かれています。
ホテルの洗練されたインテリアとは対照的に、
そこはたくさんの物があふれていました。
みんな忙しいんだな…
そんなことを考えながら、
案内されたロッカーに荷物をしまいました。
持参した室内シューズに履き替え、
指定された5階へ向かいます。
「飲み物は持っていってくださいね。」
そう声をかけられ、
マイボトルを持って従業員専用のエレベーターに乗り込みました。
エレベーターはお客様用のものとは違い、
いかにも業務用という感じで一切の装飾はありません。
そして、
壁にはたくさんの傷がついていました。
──私はこの時はまだ、
マイボトルを持つように言われた理由と、
その壁の傷の意味を知りませんでした。
名前を読んでくれた
5階に到着すると、
廊下はシーンと静まり返っていました。
人の気配はありません。
すると奥にひとつだけ、
ドアが開いた部屋がありました。
近づいてみると、
中から掃除機の音が聞こえます。
「あの、お忙しいところすみません…」
部屋の入口から恐る恐る声をかけると、
40代くらいの女性が顔を出しました。
「あ、◯◯さんですね!よろしくお願いします!」
女性は柔らかい笑顔で迎えてくれました。
え、名前覚えてくれてる…
私は驚きました。
今まで行ったタイミーでは、
「タイミーさん」としか呼ばれたことがなかったからです。
自分の名前を呼んでもらえたことが、
なんだかすごく新鮮で嬉しく感じました。
「◯◯です!よろしくお願いします!」
私も笑顔であいさつを返し、
早速仕事に取りかかりました。
想像以上に重かったシーツ
まず私に任せられたのは、
ベッドや枕のリネンをはがす作業でした。
はがすだけなら簡単そう。
最初はそう思っていました。
でも、
ぴんと張られたシーツは固く、
想像以上に力が必要でした。
はがしたリネンも、
なかなかの重さです。
けっこう重たいな。
そのリネンを両手で抱え、
廊下にある回収袋まで運びます。
赤、青、黄色の大きな回収袋には、
ベッドシーツ、タオル、バスローブを
種類ごとに分けて入れるようになっていました。
あれ?シーツは赤でよかったよね?
先ほど説明を受けたばかりなのに、
もう何色だったか自信がなくなってしまいました。
適当に入れてしまっては、
後々迷惑がかかる。
そう思った私は、
記憶力の衰えに少し落ち込みながら、
忙しそうにユニットバスを掃除する女性に尋ねました。
「ごめんなさい、シーツは赤の袋で良かったですか?」
女性は忙しいのに嫌な顔ひとつせず、
「合ってますよ!ありがとうございます!」
と笑顔で教えてくれました。
その後は、部屋中に掃除機をかけ、
エアコンと空気清浄機のフィルターを取り外し、
カウンター周りのホコリを拭いていきます。
次のお客様が快適に過ごせるよう、
ひとつひとつ丁寧に掃除しました。
暑い。のど乾いた…
涼しいはずのホテル内なのに、
最初の一部屋が終わる頃にはもう汗だくでした。
ああ、だからマイボトルが必要だったんだ。
移動のわずかな合間に
バックヤードで飲む一口のお茶が、
とても美味しく感じられました。
汚れたグラスを洗う
今度は、
備品や冷蔵庫周りのチェックです。
備品は紛失がないかを確認し、
定位置へきちんと並べ直します。
冷蔵庫は忘れ物がないかを確認し、
ティーバッグやお砂糖なども補充します。
意外な事に、グラスやカップは、
どの部屋でもほとんど使われていませんでした。
へー、みんなお茶飲まないんだ。
私は無料のお茶があれば
絶対飲んでしまう派。
でも、飲んだ形跡がないのに、
ティーバッグやお砂糖はなくなっている。
みんな持って帰ってるんだ。
私と同じだ。
そんなことを考えながら、
補充をしていきました。
すると、
次の部屋では使われたグラスがありました。
新しい替えのグラスはありません。
「このグラスはどうしたらいいですか?」
ユニットバスにいる女性に聞いてみます。
「洗面台で洗って、白いダスターで拭いてください。」
……え?!交換しないの?
少し潔癖症の私は、
ちょっとギョッとしてしまいました。
本当にそれでいいのかな…
半信半疑で水洗いし、
水滴が残らないよう拭き上げました。
ちゃんと洗ったし、
ピカピカだから大丈夫だよね…
自分に言い聞かせながら、
次の作業へ移りました。
次泊まる時は、
洗ってから使おう。
そう心に決めました。
傷だらけのエレベーターの理由
「次は上の階へ移動します!」
まだ掃除が終わっていない部屋もありましたが、
次の階へ移動することになりました。
チェックアウトが済んだ部屋から、
どんどん作業を進めていくようです。
私たちは掃除道具の入ったキャリーを引き、
上へ下へと何度も慌ただしく移動しました。
キャリーがエレベーターの壁にぶつかるたびに、
傷だらけになった理由が分かった気がしました。
その後も、
扉が閉まる時間さえ惜しいほど、
慌ただしく作業は続きました。
疲れた…
想像していた以上の体力を使い、
終わる頃にはもうへとへとでした。
見えないところまで整える
「あれ?ちょっと待って!」
終業時間までもう少しというところで、
女性は突然立ち止まりました。
「私ってテレビのチャンネルのこと説明しましたっけ?」
首を横に振る私。
部屋掃除の最後には、
テレビのチャンネルをホテルの案内画面に
戻しておく必要がありました。
こんなところまで、
整えてくれているんだ。
見えない心配りに感心しながら、
私たちは今まで掃除した部屋を
ひとつずつまわり直しました。
そして、
無事にすべての部屋を整えたところで、
タイミーの終了時間になりました。
笑顔で送り出してくれた女性
「今日はありがとうございました!」
初めての仕事だったので、
ユニットバス掃除やベッドメイキングなど、
女性が担当していた作業をほとんど手伝うことができませんでした。
「初めてで、あまりお力になれずに申し訳なかったです。」
私がこう言うと、
女性は優しい笑顔で返してくれました。
「とんでもないです!今日来て頂けて本当に助かりました。」
「もし来ていただけなかったら、私ひとりでやらなきゃいけなかったので!」
え?!うそ…
これをひとりで?
女性はこの後も15時まで、
担当階の部屋掃除を行うそうです。
いつもは、
何も考えずに宿泊していたビジネスホテル。
裏側では、
こうして部屋を整えてくれている方がいる。
ありがたいなあ。
じんわり感謝の気持ちが湧いていました。
私は女性に改めてお礼を伝え、
事務所へ戻りました。
わずかに残ったマイボトルのお茶を飲み干し、
心地よい疲れと満たされた気持ちで家に帰りました。
✨️相手の良いところを言葉にしたい
ホテルの裏側をのぞきたい。
そんな気持ちで挑戦したタイミー。
その中で一番心に残ったのは、
女性が時折かけてくれる言葉でした。
私は途中で何度も質問をしたり、
やり忘れてしまったこともありました。
それでも女性は嫌な顔ひとつせず、
「大丈夫です!それでいいですよ!」
「初めてなのにすごいです!」
「ちゃんとできてます!」
と、できているところを探しながら、
何度も褒めてくれました。
私は、その女性とは正反対でした。
いつも「できていないこと」や
「マイナスなこと」に目を向けてしまいます。
そんな癖があるからか、
人を褒めるのがあまり得意ではありません。
でもその女性は、
自然に相手の良いところを見つけ、
褒めながら前向きな気持ちにさせてくれました。
そして、
その姿がとても素敵に見えたのです。
私も、相手の良いところを
自然に伝えられる人になりたい。
できていない事ではなく、
「できていること」に目を向けて。
これからは、
小さなことでもちゃんと言葉にして
伝えていきたいと思いました。
最後まで読んでいただき
ありがとうございました!
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