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肺 old are you?

健康診断を受けてきました。

心は若いつもりでも、身体はそうはいきません。

あと、今年は僕、本厄ですからね。

しっかりと身体と向き合ってまいりましたので、そのレポートを書いていきたいと思います。


ーーこれは、僕が健康を証明するための物語だ。


待合室

朝8時に病院に到着し、受付を済ませる。

この病院は、今回初めてである。

待合室には、同じタイミングで健康診断や人間ドックを受ける男たちがひしめいている。

ちなみにこの病院は、男女で空間が分かれているため、周りには同性しかいない。

彼らは、これから健康状態を丸裸にされる同志であり、ライバルでもあるのだ。

健康診断ですか?
それとも人間ドック?
バリウム?
それとも胃カメラ?

そんな会話はもちろんどこからも聞こえてこないが、男たちは静かに、自分の番号が呼ばれるのを待っている。

僕は、心の中でみんなに語りかける。

今日はがんばろうね!
みんなで一緒に合格しよう!
そして、絶対健康になろうな!

そんな妄想を膨らませる。

「4014番の方〜」

呼ばれた。

僕の健康診断が、ついに始まるのだ。


身体検査

身長と体重を計る。

身長は縮んでいなかったので良しとする。

体重は、しっかり64キロ台を維持できていた。

ふ、ここまでは想定内だ。


視力検査

僕はICL手術を受け、先日も定期検診を受けたばかり。

問題はないはずだ。

まずは右目。

大きいランドルト環(=cのこと)から小さいランドルト環まで的確に当てていき、1.5を確認できたところで終了。
2.0まではやらないタイプか。

次は左目。

右目と同様、順番に片付けてやろうと思った矢先・・・いきなり1.5のランドルト環が表示されたのだ。

な、なんだとッ・・・!

大きいランドルト環が表示されると思って油断していた。

僕は40代。

手術のおかげで遠くを見えるようにはなったが、ピントが合うまでは、ちょっと時間がかかる。

く、待ってくれ、ピントが合わない・・・ひ、左か!?

続いて同じサイズのランドルト環が表示される。

きっと、左ではなかったのだ。

落ち着け、落ち着くんだ・・・
見えろ、見えろ、見えろッ!!

下?

「はい、両目とも1.5ですね〜」

危なかった!ギリギリだった!

それにしても、なぜいきなり小さいのを表示したのか・・・
効率化の一環なのだろうか・・・?


血圧・採血

血圧は正常範囲内。

採血は、現時点で話せることは特になし。


肺機能検査

スパイロメーターと呼ばれる検査機器を使って、「肺にどれくらい空気を出し入れする力があるか」を調べるという検査だ。

スパイロメーター(イメージ)

この検査、今まで引っかかったことはないのだが、実はいつも緊張している。

理由は、試されているように感じるからだ。

舞台俳優でもある僕の肺機能を。

果たしてどうか・・・

「はい、ではこちらを咥えてください」

鼻をクリップでつまみ、手渡されたマウスピースをくわえて、2〜3回呼吸を繰り返す。

そして、大きく息を吸う。

「一気に吐いてください」

検査員さんの合図に合わせて、息を吐く。

ホォーーーーーーーーーッ!!

丹田に力を込め、強く長く、息を吐いていく。

「まだです、吐き切ってください、まだです」

ーーーー・・・ッ!!

出し切った。

少し、息の吸い込みが甘かった気もするが。

まあ、悪くはないんじゃないか。

そう思って、席から立ち上がろうとした時、スパイロメーターのモニターが目に入った。


『肺年齢:54歳』


な、ナニィィィィッ!?

実年齢プラス13歳!?

え、ちょ、ちょまっ、それはヤバイって!

僕の身体は、僕と一緒に生きてきたんです!

肺だけ、肺だけが僕の遥か先を歩んでるなんて、そんなことありえない!!

「はい、次はX線検査です」

いやいやいやいや、そんなスルッと促さないで!

僕、舞台とかやってたんです、こんなはずじゃないんです!

もう一度、もう一度やらせてください!!

・・・とは、言えなかった。

受け入れ難い結果に動転し、言葉が、出なかった。


内視鏡検査(胃カメラ)、他

それからのことはあまりよく覚えていない。

胃カメラは、まあ多少は辛かったけど、耐えられないほどではなかった。

自分の胃の中は、ツヤツヤときれいなピンク色で、お医者さんの見立てでも、全く問題ないとのことだった。

ただ、そんな話は全然入ってこない。

僕の頭の中は肺のことでいっぱいだったから。

同志たちよ・・・すまない。

僕のことは気にせず、健康に生きていってくれ。

僕はもうダメだ。

肺、確実に引っかかる。

・・・いや、むしろ引っかかって欲しい。

要再検査になって、もう一度リベンジさせて欲しい。

僕は舞台俳優でもあるんだ。

あの検査機器を息でぶっ壊せるぐらいの肺活量があるはずなんだ。

もう一度、もう一度チャンスを・・・


新宿の路上

支払いを終え、僕の健康診断は終了した。

結果が出るのは3週間後。

その日の新宿の空気は、少し苦い感じがした。

舌ではなく、肺がそう感じているようだった。


その後

だが、僕は。

どうしても現実を受け入れられなかった。

そして気づけば、新宿の路上で肺年齢について調べていた。

そうして辿り着いたのが、肺年齢の計算式(男性の場合)である。

肺年齢 = (0.036 × 身長(cm) − 1.178 − FEV1) ÷ 0.028

これを見ると、重要なのは、『FEV1』であることがわかる。

では、『FEV1』とは何か。

簡単にいうと、「最初の1秒間に吐き出せた空気の量(1秒量)」である。

最初の1秒・・・だと?

さっき僕はこのように書いた。

『丹田に力を込め、強く長く、息を吐いていく。』

そう、強く『長く』、息を吐いた。

・・・『長く』じゃダメなの!?

最初の勢いが大事ってこと!?

ちょ、先に言ってよ〜!!
(多分言ってる)

僕はこの検査のやり方を間違えていたのだ。

今までの健康診断でもずっと。


その後自宅に戻り、試しに昨年の健康診断の結果を引っ張り出してきて計算してみた。


『肺年齢:58歳』


今年より悪いんかい!!


でも僕は、心のどこかでは、ほっとしていた。

僕の肺は、もっと若いのかもしれない。

そう、思えたからだ。


今年の健康診断の幕は降りた。

だが、僕はここで宣言する。

来年の健康診断の肺機能検査では、最初の1秒に全てをかけると!

僕が健康を証明する物語は、まだ始まったばかりなのだーー


というわけでみなさん。

あなたの肺年齢は何歳?
(肺 old are you?)



初めましての方はコチラ(自己紹介記事)▼

ぜひ、こちらのエッセイも覗いてみてください▼


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