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空を夢見る魚 第三夜


月を見ていたら、人魚がやって来た

「あなたっていつも月を見てるわ」


人魚は僕の上に登る

「綺麗ね」

人魚は反り返って月を仰いだ

「私も、お月様好きだな」


びしょ濡れにされながら僕が聞いた

「星の名前は知っている?」

「知らないわ」


人魚が僕の顔を覗き込み、すぐさま降りてきた

「東の低いところで大きく赤く光っているのは
ゼラフィ」

「夜中、空をまっすぐ横切る蒼い星はカフリエ」

「あれは星々を司るキリオス」

「あとはケルン…」


人魚がぽかんと口を開けて僕を見ている

丸い目がさらに大きくなって
きらきら輝く水面を思わせた

「他の星々を司る星なんてあるの」

「あるよ」

人魚が食いついた

「どうして?星はそこにあるように輝くでしょ」

「それとも、
好き勝手に地上に降りてきちゃったりするわけ」


なんだか問い詰めるような口振りに、僕は笑った


「星にはそれぞれ役割がある」

「勝手な事はしないけど、ちょっと統率してくれる星があると、皆がやりやすいんだよ」

「ふぅん」

人魚は身を引いて、僕から星へと目線を移した

その時、カフリエがすーっと走り
月の近くに止まって月に挨拶した


人魚がもっと目を丸くして星を見つめた

よく磨いたアクアマリンが落ちそうだ


「流れ星って、
そのまま消えてしまうものだと思ってた」


腕を伸ばし、指先でカフリエをつつく素振りをした


「月は何て言うの」

「マーテルミ」

「良い音」

人魚が言った


「私もそう呼びたいな」

「でも誰にも伝わらないな」


人魚が首を傾げた


「月ってあなたに似てない?」

「そうかな」


空が赤くなってきたのを見て

人魚はまた海に帰っていった



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