🌙巡る想い① ささやきの滝
この物語は、チュチュ・テイルの世界を旅する記録です。
シルエットで描かれた猫たちや動物たちが暮らす、やさしい世界。
白いうさぎの旅人 エトワール の旅日記として綴っています。
はじめての方は、ぜひ固定記事からご覧ください🌙
パチン。
小さな泡が、ぼくのすぐそばで、
はじけました。
「……ごめんね」
声は、水音のあいだに、
ふわりと落ちていきます。
振り返っても、誰もいません。
――その声を聞いたとき、
胸の奥が、ほんの少しだけ揺れました。
段々に重なるように連なる、幻想的な滝。
やわらかな光をまとった水が、静かに流れ落ちています。
その先は、海へと続いていました。
あたりには、大小さまざまな泡が、
静かに漂っています。
パチン。パチン。
はじけるたびに、声がします。
「うれしい」
「げんきになって」
「ほんとうはかなしいんだ」
どの声も、切なくて、それでいて、あたたかさを残していました。
――なぜか、
どれも、他人のものとは思えませんでした。
まるで、
どこかに置いてきてしまった言葉のようで。

──ぼくは、エトワール。
白いうさぎの旅人です。
雲の上に浮かぶ島、フルール島を、ひとりで歩いています。
さきほどまで、フローラの森の「春のめぐみ祭」の賑わいの中にいました。
星の泉から飛んできた願いの光が、夜空のシャワーのように降りそそぐ祭りです。
その賑わいから少し離れたくて、ぼくは、魔法の花園へと続く花の道を歩いていました。
誰もいない、静かな空気を、ゆっくりと吸い込みます。

そのとき、森の奥から、かすかな水の音が聞こえてきたのです。
気になって、花の道をそれて、奥へ足を進めました。
水の音が、少しずつ大きくなります。
急に、視界がひらけました。
──段々に重なるように、
小さな滝が連なる場所。
やわらかな光をまとった水が、静かに流れ落ちています。その先は海へと続いていました。
その光景に立ち止まっていると、ぼくのすぐそばに、透明な泡が、ふわりと近づいてきました。
パチン。
「……ありがとう」
はじけた瞬間、声がしました。
とても小さくて、どこか切ない響きです。
泡たちは、滝の流れへと、静かに沈んでいきます。
そのまま、滝の流れへと、静かに沈んでいきます。ぼくは、その光景から目を離すことができませんでした。
流れていく言葉たち。
ここは、なんだか特別な場所なのかもしれません。

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