見出し画像

建築の完成度は、光が握っている。

ハウスメーカーの電気図面を見ていると、どうしても同じ感想を抱いてしまいます。

電気関係は、後回しにされている気がしてなりません。


構造、断熱、気密、外観、間取り。

建築には検討すべき要素がたくさんあります。

その中で、電気や照明は「最後にまとめて決めるもの」として扱われているように感じることが多いです。

もちろん、間違っているわけではありません。

打ち合わせ時間が限られていることも重々わかっています。

法律は満たしていますし、生活に支障が出るような計画でもありません。

ただ、完成した空間を想像したとき、光が、空間を仕上げきれていない。

そんな家を僕は、何軒も何軒も見てきました。


最近、電気図面を診断するサービスと照明プラン図を作成するお施主様向けのサービスを始めました。

はじめてまだ日が浅いのですが反応が多く、提出された電気図面・照明プラン図に不安を感じている方が思っていた以上に多いことに気づきました。

不安の多くは、専門的な数値や難しい知識に関するものではありません。

もっと感覚的な部分です。

夜のリビングは、落ち着くだろうか。

ダイニングは、明るすぎないだろうか。

本当にこの照明プラン図で、SNSで見たようなおしゃれな空間になるんだろうか。

こうした問いは、実際、図面上では簡単に処理されてしまいます。

照明器具の記号と、コンセントやスイッチの配置。

それで「照明計画」は一旦、完了します。

提出された電気図面を自力で見直しても、イメージは何となく出来るけど、お施主様には正解がわかりません。

当社の事務所。
朝方はこの一灯が心地良いです。

建築家やインテリアコーディネーターの中にも、照明デザインが得意ではない方は少なくありません。

これは能力の問題ではなく、領域の違いなのかなと思っています。

建築やインテリアは「形」を扱う仕事です。

一方で、照明は「感覚」を扱います。

想像で完成図が描きにくく、正解も見えにくい。

ましてや、電気は恐くて苦手。

だからこそ、後回しにされやすい扱いづらい存在なんだと思います。

その結果、整ってはいるけれど、どこか当たり障りない代わり映えのない家が生まれます。

写真を撮っていても、似た感覚を覚えることがあります。

構図や被写体が整っていても、光が決まらなければ、写真は完成しません。

建築も、よく似ていると思います。

光が「設備」として扱われ、空間の価値を決定づける「要」として認識されていないからかもしれません。

揺らぎを楽しむ照明も好きです。

光は、空間の居心地を決め、空間の奥行きをつくり、人の行動を静かに誘導します。

同じ間取りでも、照明の扱い方ひとつで、まったく別の建築になります。

完成度の高い建築とは、すべてが主張している建築ではありません。

ただ間違いなく「建築の完成度は、光が握っている」と、僕は思っています。


静岡県浜松市を拠点に「光を描き、光を灯し、光を写す」をコンセプトに照明デザインスタジオを営んでいます。

事業内容|照明空間デザイン・電気工事・竣工写真撮影

「写真家で培った視点」で、光と空間をデザインしています。

light office  ~ LIGHTING DESIGN STUDIO ~


いいなと思ったら応援しよう!