愛せる自分になるまで【3】台風避難で台湾に行く
また夜になった
灯船(ひぶね)で集魚している海面を見つめながら
「いつまで集めんの?魚探に魚影が
ないからやってんだよね」
… …「そもそも魚いないからこうしてるってことは、いないものは集まらないじゃん」
… …「てか、こんな灯りでホントに効果ある??」
… …「もう諦めて寝ようよ、寝させて」
… …「バカなの?」
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心の中でぐちぐち悪態つきながら
本船から網を張る合図が出るのを待っていた
いかんせん18歳、小僧、青2歳だ
しばらくして
「はいやるよ」漁労長が言う
指示が出る前に
マイクを手に握るガチャガチャ音で
「あ、やるな」とわかる
本船から網を入れると指示が出たので
網の一方を繋ぐために
もう一隻の灯船(私が乗船している船とは別)
が本船に近づいていく
本船のとも(船尾)からから伸びた
網の端を灯船のハナ(船首)に走りながら繋ぎ
網を海に流すタイミングを伺っている
今か今かと待っていると
「あーぃレッコー!!」
マイクを使って言うので
集魚している私の船までいちいち指示が
聞こえて来る「あ、やった」
漁労長の合図で
網を本船に固定していた
ガッチャが切り離される
ガチャン!
本船にいる時
ガッチャを叩く先輩がとてもかっこよく見えた
「あの人みたいになりたい」
私の憧れだった
ガッチャ(フックが付いる歯車をストッパーで留めていてそこに網の端のワイヤーが繋がっている
ストッパーの飛び出てる部分を
ハンマーで叩くと外れる金具)
説明下手だなわかりづらい
ま、いいかw
レッコーとは
友達いわく(レッツゴー)がなまったもんらしい
(笑)本当か?まあいいか
そゆことでw上の「あーぃレッコー」を訳すると
「はい、レッツゴー」だ
因みに
農家さんが果物などの収穫物を入れる
黄色や青のカゴ
バイスケ➡︎バスケットが変化
おかずにする魚などを入れる
ロープワークで輪っかを作る時に
使う先の尖った道具
スパイキ➡︎スパイク
前に進むこと
ゴヘ➡︎ゴーアヘッド
親父が「歩け」「早く行け」と促す時に
イライラした感じで「ゴヘ、ゴヘ」と言っていたな
子供の頃は何かわからなかったけど
「行け」ってことだなって感じでわかった
後退すること
ゴスタン➡︎アスターン
がそれぞれなまったものだと教えてくれたw
操業開始
魚を巻き込んで獲るために
本船は大きな円を描き全速力で
集魚していた灯船を囲むようにゴヘ
灯船は逆噴射か!くらいの勢いでゴスタン
本船が巻き込みを終える直前に
集魚していた灯船は全速力で網の(輪)の外に出る
巻き込みが終わり
灯船のもう一方の網の端を
本船に渡して巻き込み完了
網上げだ!
(ここからは私も本船に乗っていた時にやっていた作業)
クレーンの先に付いた大きな太鼓みたいな
ローラーから降りてくる網を8人横並びで手繰る
ある程度上げたら
運搬船が近づいてくる
本船と運搬船を横付けで
前後をもやいを使って繋ぐ
(本船と運搬船は前と後ろが逆向き)
その距離8メートルくらい
網の片方を運搬船に渡し
今度は本船の横のローラーで
締め上げると魚が上がってくる
冬場にさわらがかかるとなかなか上がってこない
さわらは下に下に激しく突っ込むからだ
網のプールに魚がウジャウジャ動いてるが
今回は少ない
魚影が薄い時集魚しても大してかからない
たまにマンタやイルカ、ハンマーシャーク
海亀などが混じる、夏場に多い
まあ逃すんだけど
直径5メートルはあろうかという
大きなタモをウインチで操作して
魚を運搬船の魚倉に入れる
あらかじめ運搬船の乗組員が
魚倉から甲板に出しておいた
氷をスコップを使って
魚と一緒に大量に入れるので
本船から運搬船に若い人が応援に行く
なんで若い人だけか
船どうしを繋いでいるもやいを
猿みたいに手足でぶら下がって
伝って渡るからだ
下は海
うまくない奴や新人は本船のとも(後ろ)から
渡らないと落ちたら
潮の流れは後に向かうように船が向いているからそのまま流されると脅された
いや、本当らしい
反対からなら落ちても網にかかるから
拾ってあげれると
当然私は船首からは行かないw
本船に乗船していた時に
一回も落ちたことはないけど
足がロープから外れて
落ちそうになった事はある
足が外れてぶら下がった時に
漁労長が指示を出すマイクで
「ねこターボもう落ちろ
一回落ちろ!拾うからその方が早い」と笑ってる
「冗談じゃないわ!サメもいるのに」
何よりも
(落ちた)って事実が汚点が残るのが嫌なんだよ!
負けず嫌いなものでw
コンニャローーー!と足をあげしがみつき
そのまま運搬船に無事に?渡って作業して戻った
ここからまた乗船している灯船の話
その日はまた強い台風が来ているから
操業終わったら避難すると言われてた
操業が終わった眠たい
でも寝れない
おっさんや先輩たちが寝ている間に
朝飯を作らなきゃいけないからだ
もちろん舵を持っている人もいるが
朝飯ができたら起こしにいく
「ご飯ですよ」と1人1人、殿様か!
いや、桃屋か!
全員が食べ終わったら
今度は茶碗を洗う
【灯船は6人くらいなので割と楽だけど
本船は30人前だから大変
食事のたびに刺身も作らなきゃ
おっさん達から文句や嫌味を言われる】
いや、なんで漁船に乗ってるのに
毎回刺身食べたいんや
「みかん農家が毎日みかん食うのか!」
とかw
「陸(おか)に上がっても
魚を買ってでも食べる?頭おかしいやろ
俺は肉食いたいわ!」とか
「自分が食べた茶碗くらい洗ってけどんな制度や」
などと
また心の中でぶつぶつ言っている
文句が多いのだw
そりゃ可愛がられんぞ
心だけではなく
言葉でもいちいち反論していたなあ
一個言われたら10?100くらい返してた
生意気だったものでw
いや今もですがw
そんな自分が好きではなかったんだなあと
今はわかりますが
その時はそんな事も考えなかったし
わからなかった
「寝てる人いるのに俺だって眠いわ」
「理不尽やなあ」と思いながら茶碗を洗う
その間も船は走っている
今回の避難先は台湾らしい
上海と台湾の記憶が混ざってて
どっちがどっちなのか曖昧
ま、いいか
記憶に任せて書いてみます
長くなるので台湾の話はまた次回
お付き合いいただきありがとうございました。
感謝いたします。
ねこターボ🐈
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