我が家にご滞在の猫たち 高貴なツン猫・みるきぃ
茶ぶどう家に滞在してきた5匹のにゃんずをご紹介するシリーズ。
今回は、2匹目の猫、みるきぃの思い出。
まずはみるきぃ様のお姿をご覧いただきたい。

ゴージャス じゃないですか??
みるきぃ様の高貴な魂
ふはふは(©森見登美彦)の白い長毛。
美しい瞳。
さぞや高貴なお生まれなのでは……

実は拾い猫。
近所の子どもたちが拾って、飼ってくれないか、って連れてきた。
私が中学3年生のときのことだった。
そのころもちろん、我が家にはミーヤ姫がいた。
突然現れた白い毛玉にミーヤは警戒感を隠さなかったが、やがて受け入れてくれた。

このみるきぃ、血統書も何もないが、いとも高貴なる魂の持ち主であった。
まあー怒りっぽいこと。
下々の者どもが何か粗相をしようものなら、
「フーッ」
「がっ」
「ケシャーッ」
太い立派なしっぽをバシバシ、床にたたきつける。
鼻息を荒らげる。
怒り・不満の表現は豊富だった。
撫でられるのが嫌い、抱っこはもっと嫌い。
これほど見事な毛並みをお持ちなのに、
それを気安くめでることは許されないのであった。

美しいコートに〇〇を作る
みるきぃには冬になると、あるマークがついた。
こちら。

おわかりいただけただろうか?
ストーブによる、焦げである。
猫はひとところに丸まって落ち着く際に、くるりと回転する生き物である。
みるきぃもストーブの前に陣取るとき、当然くるりと回る。
「くるり」の際にあまりにストーブに近づきすぎると、焦げができてしまうのである。
「ねえーみるきぃがまた焦げてるー」
何度か、「両面焦げ」を作っていた。そうか、回る向きは定まっていないのか……
しかし、熱くないのだろうか。毛が長いから平気なのか。
ご本人は「何を騒いでいるのか人間風情が」というお顔でいらした。
(※原因となったストーブは既に廃棄され、温風タイプが導入されている。
我が家の現役にゃんどもは焦げる心配がないことを申し添えておきたい。)
サマーカットの災難
ある夏。
我々は「サマーカット」なるものを知った。
なるほど、暑いからね。
みるきぃ着ぐるみ脱げないもんね。
近所のトリマーさんで、みるきぃはサマーカットを体験させられた。
その結果がこれ

我々は手を叩いて喜んだ。かわいいかわいい! 別猫みたい。
そして発見してしまった。
みるきぃの下っ腹は特別毛が長いんだと思っていたが、
「これ、おなかの皮だ! おなかの皮がたるんでるー!」
(プライモーディアルポーチ、というらしい。最近知った)
……みるきぃの怒ったこと怒ったこと。
私たちが笑うのを「バカにされた!」と思ったのか、
特大の「ケシャーッ」が出た。
みるきぃ、笑ってごめんね。プライドが傷ついたね。
バカにしてないんだよ、かわいいねってだけだよ。
でもみるきぃ様はご自慢の毛皮を無断で刈られて、笑われて、たいそう不本意だったのだ。
知らない場所で知らない人に長時間触られ、毛を刈られ、とてもとても嫌だったのだ。
なので、みるきぃの「サマーカット」はその一回だけになった。
ツンツンみるきぃの思い出薫る
みるきぃ様には「優しい」感じはなく、始終尖っていらした。
私が高校生のころ、祖母が同居するようになったのだが。
後から来た祖母を完全に下に見ていた。
祖母が歩く際に足に噛みついたり、
膝に乗せさせたうえ、気に入らない姿勢だと手に嚙みついたりした。
「乗せてもらっている」などとは、毛ほども考えないようだった。
「わたくしを膝に乗せられるのを名誉と思って尽くすべし」。
「みるきぃ性格悪いねえ」と言いつつ、祖母を含め私たちはみんな、みるきぃを愛さずにはいられないのだった。

ミーヤがなくなって、2匹の子にゃんがうちにやってきたときも、
みるきぃが穏やかに迎え入れるはずはなく、
まあ、しばらくは怒りの日々であった。
みるきぃにしてみれば、わけのわからない2つの毛玉が自分のテリトリーを侵しているとしか思えなかっただろう。
しかし、かつてミーヤが「そういうもの」としてみるきぃを受け入れてくれたように、
みるきぃもまた、子にゃんどもを受け入れてくれた。
仲良し、にはならなかったが、一緒にソファをシェアする仲にはなった。

みるきぃの晩年、いよいよトイレに行くのも辛くなって、母と私でオムツをつけたときのこと。
みるきぃは盛大に嫌がった。
ものすごい声をあげた。
すると宗次郎が、見たことがないほどしっぽをふくらませ、私の足にパンチをくらわせた。
宗次郎、みるきぃがいじめられていると思って、がんばったの……?
猫たちの絆なのか、常ならぬ様相に気が動転しただけだったのか。
わからないが、私は泣いた。
みるきぃの晩年はそう長くはなく、辛い時期もミーヤに比べれば短かったように思う。
ある日の夜中、みるきぃは家族みんなが見守る中、息を引き取った。
今回、写真を見直して思い出した。
みるきぃは私たちのおなかの上に乗って、ふみふみ するのが好きだった。
グルグルのどを鳴らしながら、至極まじめな顔で、ふみふみ していた。

ツンツンな猫だったけど、その分私たちはみるきぃを愛した。
いつも私たちを(巧まずして)笑わせてくれたみるきぃ。
誇り高いみるきぃ。
もう一度、あの「ケシャーッ」を、聞かせてくれないか。

【猫どものお話し:既刊案内】
②ミーヤ
③宗次郎
