【エッセイ】金曜日(後編)
パパさんのサッカー観戦中、わたしが手に取った本は【BUTTER】だ。
世界中に愛読者がいる、柚木麻子先生の大人気小説。
この小説を買って数ヶ月。まだ半分も読めていない。
言うまでもなく、面白い。
面白いのだが、いろいろ重たいのだ。
この話にはたくさんのバターを使った料理が登場する。その料理を食べる描写があまりにも濃厚で、読んでいるだけで胸焼けしてしまう。
少し読んでは閉じ、少し読んで閉じを繰り返していた。
その横でパパさんは雄叫びをあげたり、ため息をついたり、表情をコロコロ変えながら、サッカーを楽しんでいる。
わたしも、その声につられてちょこちょこ観戦してしまった。
(でも、小説、半分到達!)
サッカーの試合が終わり、パパさんの感想戦を右から左に聞き流して、ランチを食べに行った。
パパさんが以前から食べたいと言い続けていた、お蕎麦屋さんへ。
金曜日は天ぷらのセットがいつもより安く食べられる日だった。
パパさんはおろし蕎麦+天ぷら。
わたしは温かいお蕎麦+天ぷら。
細麺のお蕎麦はツルツルとしていて、噛むと蕎麦の風味が口いっぱいに広がった。
つゆは、ホッとする優しい味。一口、また一口と味わってしまう。
揚げたての天ぷらは、オクラ、なす、かぼちゃ、エビ。
艶やかでサックサクで瑞々しい。
お蕎麦に少し浸して食べると、サクサクからふわふわへ変化する。2つの食感を楽しむことができた。
あぁ、極上の味だ。
と、【BUTTER】の真似っこをした。
(ダメだ。自分でやってみるとわかる。柚木先生の描写力は半端ない)
ランチ後は、イオンへ向かった。
夜ご飯の買い出しと、夏服を見に行くことにした。
うどん
「ねぇ、ゆっくり服見たいし別行動しよ」
わたしはイオンに着くと同時に、そう言った。
パパさん
「なにそれ。ひどくない?」
別にひどくない。
わたしたちはいつもそうしている。
付き合っているときから、お買い物デートはほぼしなかった。
パパさんの欲しいものがあって、見立てて欲しいのならいくらでもお付き合いする。
しかし、わたしはお付き合いいらない。
自分で決めて勝手に買う。
レディースの服を見てまわるのは退屈だろう。わたしも気を遣ってゆっくり見られない。
同じB型の親友とのショッピングも、入り口で解散していた。各々ぶらぶらして、満足したら落ち合う。気に入った服をお互い報告、相談してお買い上げ。
時間を効率的に使う。実に合理的だ。
うどん
「服、見終わったら連絡ちょうだい」
わたしはレディースファッションがある2階に上がるため、エスカレーターに乗った。
そして、お店の前を通り過ぎ、真っ直ぐトイレに吸い込まれた。
‥‥おなか、限界でした。
去年の9月も2人でモツ煮込みうどんを食べに行った。その後、モツがお腹の中で暴れだした。
今回はお蕎麦が暴れだしたのか?それとも天ぷらか?
そうならないように、温かいお蕎麦をチョイスしたのに。
はっ、まさかつゆを全て飲んでしまったから?
しかし、パパさんに【ママ、いっつも腹壊してるな】と思われるのは避けたかった。
よし、うまくごまかせたはずだ。
(ばばぁだけど、女ですもの)
トイレで大幅なタイムロスがあり、服を見る時間は減ってしまった。ちゃちゃっと気になるブランドのセール品を確認したが、これといって欲しい服はなかった。
うどんLINE
「終わったー。どこー?」
パパさんLINE
「肉見てる」
パパさんは、とっくに服を見終わり、肉を見始めていた。(待たしてすまぬ!)
永い話し合いの結果、夜ご飯は炒飯に決まった。お土産にアップルパイを子供たちとパパに購入。
(わたしはおなかに優しい?小さなチョコパン)
お家に帰ったら、早起きと興奮と運転の疲れでパパ爆睡。
わたしもつられて爆睡。
そんな2人の、なんでもない金曜日。
ちなみに、もつ煮込みうどんのエッセイ。
# 1番にしてくれて
# ありがとう
