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【ショートショート】彼とあくびと恋の行方

 あくびから始まる恋があることを、私は知った。

 窓際で大きな口を開けて、口の中が見えることもお構いなしに、自由を吸い込むように大きなあくびをする彼に、私の目は釘付けになった。

 切れ長の目に見つめられると、体がしびれた。

 甘い声を聞くと、耳が幸せを訴えた。

 彼に触れられると、生まれてきたことに感謝した。

 ただ、彼が私に興味があるかはわからない。ふらっと私の部屋に来たかと思えば、疲れているのか私のベッドに直行して、私に見向きもせずにそのまま眠ってしまう。

 彼のごはんを真心こめて作っても、彼はおいしいの言葉もなく、ただ黙々と食べ続ける。そして、またあくびをひとつして寝てしまう。

 私は彼の連絡先も知らない。彼の気が向いたときに、気ままに部屋にやってくる。そんな関係。なにより、私は彼の名前すら知らない。

 何度となく口にした言葉が、今日も私の口から溢れ出る。湿気を含んだ部屋の空気が、彼と私の間に薄く膜を張っている。

「ねえ、あなたの名前は?」

 彼はあくび混じりに、気怠げに返事をする。


「にゃーお」


 私は彼の背中に顔を埋めると、彼の気持ちを全て感じとるべく大きく息を吸い込む。日なたに干したお布団のような匂いが鼻腔をくすぐる。

 私の一方通行の思いをまるで知らないように、彼は体をよじり抗議の声をあげる。するりと私の手から抜け出すと、彼は窓の隙間から出ていった。 



MV作るの楽しいけど時間がかかって仕方ない。でも楽しい。でも時間が……

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