見出し画像

【連作ショートショート】勇者の屍を越えていけ ②勇者と竜王

     ◁◁  ②  ▷▷

 暗く深い森の奥、天まで届きそうなほどそそり立った山の頂上に、その主はいる。

 魔王と双璧を成す人類の脅威、それが竜王だ。


「ついに、ここまで来たな」

「ああ、竜王の眷属ひしめく森を抜け、いつ辿りつくとも知れない山を登った。もう、目の前だ」

「この伝説級に美味しいお肉を渡せば、竜王も仲間になってくれますよね!」

「ああ、この日のために世界中から美味いと評判の牛を探し出し、交配させ、10年かけて辿り着いた、至高のお肉だ。竜王も首を縦に振るしかないだろう」

「持ってるだけでヨダレが止まらないぜ」

「さあ、行こう。今日が人類解放の第一歩だ」

 勇者は雲の中の頂を見上げる。

 その瞳には希望の光が瞬いていた。


「ワシはベジタリアンだ。愚かな人間どもよ、滅びよ」

 竜王の炎に焼かれながら、勇者は至高の肉に文字を刻んだ。後世の希望のために、我が子を抱きしめるように、その肉を守った。

 こんがりと焼けた至高の肉に、焼き印のように勇者の言葉は刻まれた。


 ※顧客のニーズを理解しない提案は、ただの自己満足です。 ──勇者


つづく


     ◁◁  ②  ▷▷

いくつかアイデアが浮かんだので、連作ショートショートにしてみました。
あといくつか続く予定です。

シリーズをまとめました。


#ショートショート
#短編小説
#掌握小説
#創作
#ファンタジー

 

いいなと思ったら応援しよう!