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ギラン・バレー症候群 闘病記⑭ 〜ゼロドロップシューズと、里山のウォーキング

前回(⑬)では、自分の手でにんにくを絞れた喜びや、転倒や腰痛で感じた今の限界など、三連休に一喜一憂したことを書きました。
▼ 前回の記事はこちら


​「足裏の感覚」を取り戻すために

​これまでの厚底ランニングシューズで感じたのは、不整地における不安定さだった。
クッションの厚みは、時に地面を遠ざける。足裏が地面を捉えきれない、あの宙に浮いたような不安が、今の僕には何より心許なかった。
⑫の海岸沿いで感じたあの不安を繰り返さないために、今回はあえて足裏にダイレクトに路面が伝わる、ゼロドロップを選んだ。

里山展望台のイメージ ※Flow で作成

2月28日(土)

3年ぶりの相棒、ALTRAスペリオール5


玄関に用意しておいた一足を履く。 ALTRAの「スペリオール5」。 2022年夏の萩往還を共に歩いた靴だ。累計走行距離は84km。2023年1月のトレイルランを最後に、3年ほど出番がなかった。

普段の「NIKE ペガサス・イージーオン」は、厚いクッションが筋力の衰えを補ってくれる。 だがその厚みは、不安定な路面では地面との「遠さ」になる。足裏が地面を捉えきれないもどかしさは、今の僕には、そのまま『頼りなさ』だった。

NIKE ペガサス イメージ ※Nano Banana Proで作成

対して、スペリオールはゼロドロップ。踵とつま先が完全に水平で、限りなく裸足の感覚に近い、極めて薄いソールだ。 あえてこの靴を選ぶのは、麻痺した足本来の機能を呼び起こしたいという期待があるからだ。

スペリオールは、過度なクッションに頼らず、足裏に伝わる刺激を通じて正しい姿勢を身体に教えるシューズだ。グリップも強すぎない。強すぎるグリップに頼るのではなく、滑りにくい着地を自らの重心移動で探っていく。

ALTRA イメージ ※Nano Banana Proで作成

​250メートルの砂利道から、トレイルへ

自宅から1.5kmのアスファルトを経て、里山の入り口に立つ。 本格的なトレイルまでは、400メートルほどの平坦な砂利道が続く。

トレランシューズの底は、路面の凹凸から足を守るために硬い。 ペガサスの柔らかなクッションに預けていた安定を、自らの足指とこの硬いソールで掴み直す。その刺激が、麻痺の改善への手がかりになればいい。

やがて現れる丸太の階段。 かつての相棒は、今の僕をどう支えてくれるだろうか。


雨上がりの下り、足裏で掴む安心感

​昨晩の雨で、里山の路面はしっとりと湿っていた。

​1.3kmにおよぶトレイル区間に足を踏み入れる。上り坂では、身体の左右差が明確に現れた。右足の踏み込みが左足に比べて明らかに弱く、一歩ずつ、左足の筋力で身体を引き上げるようにして進む。

里山の上り

​だが、下りに差し掛かった時、思わぬ手応えがあった。 雨上がりで滑りやすい箇所が点在していたが、足裏には確かな安心感がある。

厚底で感じた、あの宙に浮いたような恐怖はない。地面の凹凸を足裏が「適度に」拾い、自らの重心で着地を制御している。そんな確かな手応えがあった。

地面を『適度に』拾い、重心を制御するイメージ ※Veo で作成

かつての相棒は、期待通りに僕を支えてくれた。友人の助けを借りることなく、自分の足だけで、濡れた斜面を下りきることができた。

里山の下り
裸足で登場のMさん
里山ラストの下り Kさん、Iさん、Mさん

​今回のウォーキング・データ

  • 距離:5.2km

  • タイム:1:34:23

  • 平均ペース:18:11/km

  • 内訳:

    • ​往路(舗装路〜遊歩道平坦):1.8km

    • ​遊歩道(トレイル区間):1.3km

    • ​復路(舗装路):2.1km

里山展望台からの景色

​診察とリハビリ、身体が返した反応

​ウォーキングを終えて一度自宅に戻り、午前中に耳鼻科の受診も済ませた。慌ただしく動く中で、11時頃には外来リハビリを受けるクリニックに到着した。

​リハビリの前に、ドクターに左後頭部が痛いと伝えた。そこで初めて「後頭神経痛」という言葉を知る。今朝のトレイルで、足元を確認するために下を向く動作が続き、首に負担がかかったのだろう。24日からのデスクワークによる疲労も重なっていたのかもしれない。単なる疲れや凝りではなく、神経由来の痛みだと分かり、どこか腑に落ちる思いがした。リハビリの際にも、その部分を重点的に揉みほぐしてもらった。

​続いて理学療法士さんに身体を預けたとき、自分でも気づいていなかった変化を指摘されることになる。

​「右足のふくらはぎが、使えるようになっているのではないか」
その言葉を聞いて、ゼロドロップに託した試みが、静かに身体に届いていたことを知った。身体は、僕の試行錯誤を、ちゃんと内側で受け止めてくれていた。
​一方で、無意識のうちに負荷もかかっていたようだ。

左足のふくらはぎやハムストリングス、アキレス腱には、強い張りが残っていると告げられた。歩いている時は気にならないレベルだったが、実際には不器用な歩行を支えるために、筋肉が働いていたのだと思う。

​また、手の指の付け根である「MP関節(中手指節関節)」についても、拘縮が残っているとの指摘を受けた。屈曲制限は70度から80度。ここには入念なストレッチが必要だ。

3月1日(日)

後頭神経痛はまだ少し残っている。 少し動いた方が良いかと思い、疲れた身体でクロスバイクを漕ぐことにした。 漕ぎ出すと、大腿四頭筋に昨日の山歩きの筋肉痛をしっかりと感じる。

今回のサイクリング・データ

  • 距離: 13.27 km

  • タイム: 46:24

  • スピード: 17.2 km/h

3月2日(月)

今朝も筋肉痛がしっかりと残っている。 昨日、一昨日と身体を動かした反応が、そのまま足に出ている。


トレイルを含む5km強の道のりは、今の僕にとって「結構鍛えられた」という確かな手応えを残した。
土曜の山歩き、そして日曜の自転車。3月2日の朝、足にしっかりと残った筋肉痛は、自分の意志で地面を掴み、一歩ずつ進んだことの確かな証拠だ。 神経痛や筋肉の張りという新たな課題も、今は「生きた手応え」として、そのまま受け止めたい。この感覚を大切にしながら、また次の一歩を探していこうと思う。

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