「Act・2 (アクト・ツー)!!」 【第3話】 (創作大賞2025 エンタメ原作部門)
第2話↓の続きです。
※Mはモノローグ
ーーー倫生館大学演劇研究部・通称「倫生劇研」。
75年という歴史を持つこの倫生劇研は、今も映画・舞台・ドラマなど第一線で活躍する俳優やスタッフを多く輩出。
倫生劇研でチャンスをつかみさえできれば、多数の事務所・劇団から声がかかり、将来安泰とも言われているーーー
梶M「ーーそんな倫生館でなら演れると思って入った、のに」
オーディション課題が書かれた紙を凝視する冴島。
冴島「待ってくれ、全く意味がわからない…」
倫生館大学演劇研究部・部室
地べたに座る冴島と梶。台本の読み合わせをしているが、全く進んでいるようには見えない。
冴島「だってこれ、どういうこと?」
冴島が見ている課題が書かれた紙のアップ。
『2分のシーンを完成させよ。
ただし、最初は
A「あ、そのスマホ、私のです」
B「そうですか?」
から始まり、
A「やっぱりオムライスが一番だなぁ」
B「君は、本当におもしろいなぁ」
で終わるように。』
冴島「オ、オムライス…?」
梶「アンタ、エチュードもやったことねえのかよ」
冴島「エチュ……何?」
呆れた様子でため息をつき、立ち上がって帰ろうとする梶。
冴島「どこ行くんだよ!」
梶「帰る」
冴島「ちょ、オイ!」
バタンと部室のドアを閉め、立ち去る梶。
ポツンと部室に残される冴島。
冴島「なんなんだよアイツ…」
部室のドアが開く。江波がそろーっと入ってくる。
江波「あ、お疲れ様……」
冴島「お疲れ様です」
ゴソゴソと自分の荷物をあさる江波。
少しの気まずい沈黙。
江波「僕はね……冴島くんの方が100倍演劇愛してると思うよ」
冴島「は、はい?」
江波「(小声で)あっごめん消えるね…….」
冴島「俺は、演劇何もわからないんですよ」
江波「………」
冴島「それに、梶に完全にバカにされてるんです」
江波「んで、梶を見返したいんでしょ」
冴島「….はい」
フハハと笑い出す江波。
何もおかしいことを言っていないけどと思う冴島。
江波は普段の暗い感じと違い、突然自信に満ち、凜とした雰囲気。
江波「…..ここ入ったとき、父に『演劇やる』って言ったら『死んでも観に行かない』って言われた。ただただ見返したかった。んで、最初半年は無駄にした」
冴島「どういうことですか」
江波「覚えてるよ、冴島くんのこと」
冴島「え」
冴島の方をしっかりと向く江波。
江波「僕はあのとき初めて、もう死んでもいいと思ったね、楽しくて」
江波の迫力にゾクっとする冴島。
江波「だから感謝してるんだ」
冴島「……..俺に…ですか?」
江波「考えてみて。そもそも演劇なんて世の中に必要?じゃあ、なんで2000年も続いてる?」
冴島「そんな難しい質問されても….」
江波「簡単だよ。楽しいから」
冴島「楽しい?」
江波「見返すために演劇は選ばれない。ただ、楽しいからやる、そんだけ。……(だんだん普段の暗さに)あ、ごめんうるさかったね……ゴミカスが邪魔してごめん….稽古戻らなきゃ」
いそいそとカバンからペットボトルを取り出して部室を出ようとする江波。
冴島「……教えてください」
江波「(振り向き)え?」
冴島「俺に演劇、教えてください」
真剣な表情の冴島と、表情からは感情が読み取れない江波。
遠くから学生たちの喋り声がかすかに聞こえる。
西陽が入り逆光になる部室。沈黙が広がるーー
倫生館大学・1001教室 (翌日)
冴島「……あれ…?江波さんは…?」
空き教室を使って稽古を始める冴島と江波。
だったはず、だが…
飛鳥「さ〜〜て、この2人はどうなるかな〜〜!?(肩を回す)」
あかり「今年の注目ポイントですよ〜!」
梶「(気まずそうに床を見ている)」
冴島M「なぜ、こうなった?」
【第4話に続く】
読んでいただきありがとうございます!ぜひ、スキやフォローしていただけますと励みになります。
