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「Act・2 (アクト・ツー)!!」 【第4話】 (創作大賞2025 エンタメ原作部門)

第3話↓の続きです。

※Mはモノローグ

倫生館大学・1001教室

冴島「江波さんに教えてもらうって約束だったんですけど…」
飛鳥「なんでコイツらが、って顔だね(笑)」

ーーーフラッシュバック
梶が部室前でしれっと冴島と江波の会話を盗み聞きしている様子。

ーーー
梶「…….騙された」
飛鳥「江波また胃壊したって」
冴島・梶「ハァ!?」
冴島M「いや待てよ……あの人、この前もめちゃくちゃ吐いてなかったか…?」
あかり「すぐ治るでしょ」
飛鳥「ま、この機会だ」

ざっくばらんに置かれた椅子に腰かける飛鳥。

飛鳥「(真剣な眼差しで)この2人、まだあいつのレベルにはついていけないだろうから」
梶「……は?」
冴島M「俺たちはまだ江波さんの教えを受ける段階にすら達してない、ってことか…いや、俺は分かるけど…(梶を見て)コイツもなのか?」
飛鳥「ま、今日は基礎をやっていこうか!こう見えても劇研のトップなんだからね私」
あかり「ありがたく思え〜!」
冴島M「日置さんは幹事長の舎弟かなんかか」
梶「……今更基礎って….(冴島を顔で指して)コイツのために?」

はー、とため息をつく飛鳥。

飛鳥「分かった、じゃあ梶…(カバンから台本を出す)5分あげるからこのページの『マシュー』の役演ってみて」

やっと来たか、と微笑みを浮かべ台本を受け取る梶。

梶「わかりました」

集中して台本を読みこむ梶。目が文字をすごい速度で追っている。

冴島M「結局コイツの演技を見るのって初めてだな…」
梶「あー、オッケーです。いけます」
冴島M「は!?まだ30秒しか経ってないけど!?」
飛鳥「じゃ、『士長』の役はあかりちゃんに読んでもらうから」
あかり「お願いします」
飛鳥「いきまーす、よーい、」

パン!と手を叩く飛鳥。

梶(マシュー)「士長、それはおかしいと思いますが」
あかり(士長)「私がここにいるのが、か?」
梶(マシュー)「だって昨日はいらっしゃらないとーー」
あかり(士長)「マシュー、君も口答えするのかね?」

冴島M「え、普通に上手くね…..?別にドラマとかにいてもおかしくないレベルだと思うんだけど」

腕組みしながら見ている飛鳥。

梶(マシュー)「次は、誰を欺くのですか」
あかり(士長)「マシュー、君だよ」
梶(マシュー)「ダニエル、ですか……….えっ?」

驚いた表情で台本を確認する梶。冴島ももう一度台本を確認する。

冴島M「ん…..?あかりさんの台詞、『マシュー、君だよ』じゃなくて『ダニエル、君だよ』のはずーー」

梶「(あかりに)あの、間違えました?台詞」

ニヤっと笑う飛鳥。

飛鳥「わざとだよ」
梶「はい?」
飛鳥「あかりにここの台詞を『君だよ』にしてって吹き込んだ」
梶「ふざけてます?」
飛鳥「もし、本当に梶が『マシュー』だったら?」

台本に目をやる梶。

梶「……..」
冴島M「…『君だよ』って言われたのに『ダニエルですか』なんて、返答として意味を成してないよな」
飛鳥「冴島正解!」
冴島「へ!?」
飛鳥「台本にはない、他の行動になるはずだよね?」
あかり「『自分ですか!』って驚いたり、怒ることもあるかも」
冴島「そ、そう思います」
飛鳥「冴島わかってんじゃーん!」
冴島M「心読まれた…..!?」

悔しそうに立ち尽くす梶の顔を、椅子から立ち上がってのぞく飛鳥。

飛鳥「演技プランを短時間で構築できるのはすごいと思う。技術もあるよね。でも、未来のことなんて分からないはずじゃない?」
梶「卑怯だ」
飛鳥「へ〜、じゃあ、もし誰かが本番で台詞をすっ飛ばして違うことを言っても、梶は一挙手一投足台本どおりに進めるわけ?」
梶「……いや」
飛鳥「まずは、相手の話を聞く!それが出来ないとね」
冴島M「(梶を見て)コイツ……」
梶「………」
冴島M「……叱られてやんの!!プププ〜〜〜!!!」
飛鳥「冴島も調子乗らない」
冴島「すみません」
冴島M「飛鳥さんの前で変なこと考えるのやめよ…」

あかり「よし、それじゃ軽くエチュードとかやってみますか?」
梶「あの、コイツと2人にさせてもらっていいですか」
飛鳥「どうした?」
梶「……話、聞きます」
冴島「んあ?」
飛鳥「分かった、行くよ、あかり」
あかり「はーい」

教室を出ていく飛鳥とあかり。

冴島「なぁ、もったいなくねぇか?せっかく幹事長が教えてくれようとしてたんだぜ」
梶「…….なんで、演劇をやる?」
冴島「え?」
梶「まずは、あんたの話を聞くところからだ」


【第5話に続く】

〜ちょっとお喋り〜
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
この作品は2年半ほど前から構想を始めており、実はずっとnoteの下書きにプロットを溜めておりました。

私自身、大学生の頃に演劇と出会い、その沼からいまだに抜け出せなくなりました。でも、社会一般から考えると「演劇」って、なんか怖くないですか!?私もそうでした。なんか怖めの宗教そう。変な勧誘とかされそう。みたいな。
だから、演劇を通じて演劇の面白さを伝えることももちろんできますが、あえて演劇以外のエンタメを通じて演劇の面白さを伝えたい、というのが今作品の大きなテーマです(特に今作品は少年・青年漫画にされた際の見え方を強く意識しています)。面白おかしくていいので、入口を作りたいのです。

さらに、演劇ってどうしても出演者だけにフォーカスが当たってしまいがちですが、私自身ずっと裏方をやってきたということもあり、今後『Act・2!!』ではたくさんの裏方たちにも焦点を当てていこうと考えています。いやー、出てきますよー!たくさん!!構想は練りまくっておりますので、今後良きペースで更新できたらなと思います。(いや、5話はすぐ更新しちゃうかも。)
とっっっても励みになりますので、ぜひ!スキやフォローなどお待ちしております!!

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