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窓の外は銀河⑺


第二章 透視した世界で彷徨う

眼の中の眼


最初のエネルギーチャージから2週間が経過していた。黒い玉が顕れたあとも、目の玉からは形を変えて光を浴びていた。困ったことに、彼らはトイレにもお風呂にもやってきた。物体は通過してしまうので、壁や扉などなんの役にも立たなかった。初めてお風呂にやってきたとき、大声で追い返したが、どうにもいうことを聞かすことはできなかった。彼らは浴室の湿気で簡単に膨張した。相手は半透明でリアルな目玉だ。浮き出た毛細血管がより大きく広がった。風同様、湿気の中ではコントロールがしづらいらしく、浴室全体に膨くれあがったこともある、しかもひとつひとつが同じ大きさになるわけではなかった。それらが重なった様子はひどく気持ち悪かったが、ある時点からは慣れっこになってしまった。


 逆に楽しんだのは、他者に対するパワーチャージ。移動があるとき、バスや電車の中で、「彼」が全乗客を守りエネルギーを与える、と意図するとそのようになった。私は公共交通機関を利用しながら、目玉が乗客をパワーチャージするようすを眺めていた。その際、声を出して笑わないよう注意が必要だった。なぜって、目玉は柔らかく変化して、よく人々のお腹周辺や頭にへばりついたりしていたからだ。その位置で、もわ~んと光を放射していたので、それは結構な眺めだった。


それらは通常、地球の大気の中にある、元気(生命)の源を注入するのと同じことなので、そんなに驚くことでもない。しかし、見た目はちょっとどうなんだ、とは思われるだろう。まあ、あなたがそういったものを見ることはたぶんないので心配にはおよばない。


困ったことがあったとすれば、眼の際に、「彼」の粒子が入り込んでしまうことだった。1ミリにも満たないオレンジゴールドの小さな光の粒だったけれど、異物感があり、目がゴロゴロした。それを自分でも処理しようと、霊体除去の正式な作法に則って進めたが、手順の一番初めで浴室同様に、3つほど巨大化してわたしを取り囲み押し合いへし合いするから気が動転し、自前ではできなくなったのだった。

友人たち

状況を打開すべく友人を頼った。ふつうの感覚の人に打ち明けられることではないのは明らかだった。第一に、説明のしようのないことだと思った。


7月に共に学んだ同期生の一人、年下のMちゃん。彼女には肉体を含むエネルギーボディに入り込んだ「彼」の粒子を除去してもらった。

「たくさん入ってきて困っている」と打ち明けると、「うー――ん、確かに上半身に黒くて重たい異物がいっぱい入っていますね」と言われ、可能な限り取り除いてもらった。彼女はビジュアライゼーションの感覚が強い女性だ。頼りの姉はなんといっているのか?と内心追い詰められて笑顔で聞いてみたが、Mちゃんは、「ウミカさんは大丈夫だ、と創設者の方は笑顔でおっしゃっていますよ」と言われて唖然とし、たいそうがっかりした。

先輩にも正式に課金してセッションをしてもらった。

先輩は幼少の頃よりそれは強い霊感に悩まされていた能力者の一人だ。レイキをはじめ、学校以外の資格を10以上は取得していた。行方不明者の報道が流れているTVの横を通っただけで、画面から森の中をさまよう死人の霊魂がひょい、とやってくるのを感知する能力があった。

彼女にことの次第を説明せず、「彼」がセルフエネルギーフィールド内に入って困っている、と打ち明けた。すると慣れた様子で、除去を終え「ウミカさんをフィールド外から見守る、と伝えていますよ。安心してください」といってにっこり笑った。霊感の鋭い能力者に、ボディに入ったのが「彼」だ、と限定されて、やっと私は少しだけ安心したのだった。


姉のメソッドの厳しい決まりに、たとえ高次存在であっても、人間のセルフエネルギーフィールド内に居座ってはならない、人間側も自分の魂の場所を明け渡してはならないという規則がある。だから感応した「彼」が、そのまま自分の範疇に入ってしまったことを少なからず恥じていたのだった。

しかし、こう考えてもらえないだろうか。あなたが中学校の体育館に一人で立っている、とする。自身を取り囲む大気そのものに人格があり、関係性を築いている。そのエレメントは冗談も言えば笑いもするし、ルール違反には怒りもする人間らしい面があるが未知の存在で、覆いつくされ凌駕されているのはこちら側なのだ。あなただったら、その状況で抗うことができるのか? そのような体験をしない限り、ひとが私が抱いていた恐怖をほんの少しでも理解することなど、ないだろうと思っている。


もう一人は、短期コースに編入してきた同年代の男性。ここに至る前に占断練習の相手になってもらっていた。7月末、東京であったとき、なぜか気になり声をかけていたのだ。私は引っ込み思案なのであまり簡単に男性に打ち解けない。当時はよくわかっておらず自然なふるまいでボディタッチもしていた。なぜかわからないが世話をやきたい、という奇妙な欲求がわいていた。恋愛感情ではなく、兄にかまける妹のようにふるまって良い関係を作りたかったようだ。彼、T氏は過去生に三重ブロックがかかっていて記憶を封印している、というのがティーチャーの見立てだった。

黒い玉の悩みが生じる前に、天使の講座で身に着けたオラクルカード占断をさせてもらった。腕試しでも真剣だった。私には疎遠になった兄がいたが、T氏は見た目や感情表現、全体の雰囲気が似ていた。


一つ目の占断

古代エジプト時代。神官男性と養女の妹。妹は神とつながる能力のために王朝の最高神官だった。男性には超能力の発芽がなく、人間が作った役職と規則に固執し超能力者を毛嫌いしていた。血のつながりはなかったが妹は兄を頼り、関係を修復しようと相談を持ち掛けたが神との関係で大喧嘩に発展。直後、不測の事態のためピラミッドの奥で妹が事故死する結末。兄への怒りと無理解に対する悲しみを抱えたまま絶命する、という自分の経験が導き出された。


次に出てきたのが、黒色のヒューマノイド型ドラコニアン。身分の低いサイキック能力者の兄妹。白いレプティリアンの犯罪者集団に拉致されて能力を食い物にされ、平等性を重んじる裕福な白レプ一族の少年を食用に誘拐させられていた。残虐な犯罪に加担した罪の意識に耐えられず、兄に別れをつげて妹は身を差し出した。そしてレプティリアンたちに喰われる様子を兄が見ていた、という内容だった。占断設定が最高善良なので、混同して私が出てきたのではなく必然だった。他者占断をしていて自分が登場人物になったのはいま現在この占断だけである。またカードリーディングは姉の手法とは関係がない。


内容の悲劇性に驚いたものの、自分との因縁については深く考えず「そんなこともあるのだろう」くらいだった。私はイヤだと思うことから回避傾向が強い。該当事項に触れないですます性質がある。だから正直に「なんか私が登場して、確執があったよ」と伝えたのは気にしていなかった、ということだ。そして、神々からの託宣を伝えた。それは彼の癒しと成長のために用意された正当なものだった。



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