【AOE2DE】文明メモ(31)シチリア
まだまだ続く歩兵文明シリーズ。シチリアは「西の大公たち」DLCでブルゴーニュとともに実装された。彼にフランドル革命あれば我に第一回十字軍あり、というわけでTCから(当初は)最大50体のセルジェアントが湧き出す様は脅威であった。そちらは大幅にナーフされた一方、ドンジョンRを軸とした様々な奇襲戦法は健在。
文明特性と基本戦術
「歩兵と騎兵の文明」。内政ボーナスはほぼ皆無と言ってよく、先手を取るためにはドンジョンを絡めた速攻しかない。自陣にドンジョン1本建てて資源地を守りつつ、敵陣に派遣したセルジェアントで森裏や金鉱に追加していって制圧。撃退されたとしても相手の内政を遅らせて進化で先行できれば勝機が見えてくる。速く建つ城、ユニテクで湧くmax25体のセルジェアントで一気に押しつぶす……というのはロマンはあるが非現実的。騎士を主力に据えて落ちついた城主戦から兵器を絡めていき、ダメ押し的に城主ユニテクを投入するなどは考えられる。内政ボーナスは長期戦ほど有利に働くので、帝王ユニテク入りの重騎士をメインで出したいところ。大砲対策だけは考えておく必要がある。
ドンジョンの仕様
ドンジョン(50W175S)は塔の一種で2x2マス。暗黒から建てられるが矢を放つのは領主in後から。これが建っていれば戦士小屋を省いて弓小屋や馬小屋を建てられる。また槍兵も出せる他、2025年8月アプデでELセルジェアントや長槍、矛へのアップグレードか研究可能になった。
放火、ギャンベゾン、従士(武者修行)等のアップグレードのためには引き続き、戦士小屋を建てる必要がある。
ユニークユニットと天敵
ユニークユニットのセルジェアント(55F25G、2025年8月アプデ以前は60F25G)は城だけでなくドンジョンでも作成できる歩兵。表記揺れ: サージェント 等。農民に混じって、自分でドンジョンを建てたり補修したりできる。なお、城主進化により自動でスペックが約1.5倍になるため後述の即城主ドンジョンRセルジェアントAll‐Inが成立する。訓練時間は領主で16秒、城主in後は12秒。2025年8月アプデで、ドンジョンでもEL化(800F675G)が可能になった。天敵は、騎士や砲撃手。相手が騎士を出してきたら、ドンジョンから槍兵を出して対抗するのは一つの手。
内政面
開始時に石材+100
……普通はドンジョンに使うから、内政というよりは軍事ボーナス。見張り台に比べ1本あたりのコストが高い埋め合わせだが、ドンジョン1本建ててもまだ石が125残るのでTCが建つ、とは考えられる。
畑のアップグレードで増加する食料+125%
……引き具をいれるだけで食料344にアップ、輪作まで入れると1019まで上がるので47分維持できる≒ゲーム終了までほぼ更新不要。ただし、効いてくるのは畑の更新が遅くて済む=木材の節約という一点のみで時間帯も遅い(領主も後半~城主)。
テクと出せないユニットのメモ
文明ボーナス
ユニットが受けるボーナスダメージ-40%(2025年8月アプデ以前は-33%)
……騎乗ユニットが槍から受ける大ダメージを、多少軽減してくれる。射手/散兵→槍や、剣士→散兵/槍なども同様。兵器と聖職者は対象外。
暗黒の時代からドンジョン(50W175S)を建設可能、見張り台系を代替
……詳しくは上述の通り。
防衛施設(城、ドンジョン、石壁、柵等)の建設速度+50%
……スペインより速く城を建てられるのはシチリアだけ。
TC建設速度+100%
……内政拡大に有利な他、遊牧マップで2歩先んじることが可能。城主ユニテクの第1回十字軍を発動するにも有利となるポイント。
チーム ボーナス: 輸送船の視界+5、コスト-50%
序盤の上陸作戦で有利に働く。最近、輸送船のキャパが無研究でユニット20体になったので戦術の幅が拡がった。
ユニークテクノロジー
城主ユニテク: 第一回十字軍 (400F300G)
最大5つのTCから各5体のセルジェアントを生成する。度々のナーフを経て合計最大25体にまで減った。コストを考えるとそれでもだいぶ得なので、タイミング次第ではハマる。
ユニットの転向抵抗力アップ。「信仰」と同等の効果。
帝王ユニテク: ホーバーク(700F600G)
騎士系ユニットの近接/射程防御+1/+2。ペルシアのサヴァール化より安価で、HPが上がらないとはいえ、ボーナスダメージ軽減もあって重騎士がかなり強力になる。
鉄工所テク
鉄工所テクは弓鎧3のみ研究不可。
出せないユニット・使用不可テクノロジー
戦士小屋……剣士、矛ともフルアップ可能。少なくとも従士(武者修行)だけは研究するために1個建てておきたい。
弓小屋……重石弓があるが弓懸がなく、重弓騎兵もパルティア戦術もなし。砲撃手なし。ヴァイキングに似ている。
馬小屋……ハサー、近衛騎士へのアップグレード不可だがそれ以外はフルアップ。ポルトガルに近いが、槍/矛やラクダ等から受けるボーナスダメージが軽減され、帝王ユニテクで更に防御力アップ。
兵器小屋……大砲がないが3種フルアップで攻囲技術もあり。
聖職者……贖いと活版印刷がないので大砲が天敵になりうる。他に償い、異端、神政等が研究不可。
学問所……強化壁がない7文明の1つ。建築速度ボーナスがあるので人力起重機なし。建築学、砲台研究不可。また、ドンジョンがあるため見張り台系統が存在しない。
内政テク……両引きのこぎり(木こり3)が研究不可。
海軍……機動キャノンガリオン船のみアップグレード不可。他に焼夷兵器研究不可。輸送船が安価かつ視界が広い。詳細は割愛。
即城ドンジョンR戦術
プロの配信や、大会でも稀に見かける戦術。普通に伐採所と粉挽き所で進化するが人数を多めにしておき、自陣の木こりと金鉱を守れる位置にドンジョンを建てる。鉄工所と市場を建てて即城主進化。セルジェアントのスペックが1.5倍に上がるのを活用する。畑はTCの周りの数枚が枯れたら貼り直さず、ひたすら金を掘って肉や石を買い、なんなら農民生産も停めてセルジェアントをひたすら出す。敵陣にドンジョンを建て、更にセルジェアントを出す。相手は死ぬ。大会でTheViperが披露して一流戦術?と認められた。
4戦目 砂丘の泉 ○青/シチリア vs 赤/ローマ● 11:09
— Tamejirou (@Tamejirou) October 6, 2024
赤は石を売って即城主。青は漁場に即ドンジョンRからTCを止めてのオール・インがTCと金鉱に刺さった。赤は騎士で阻止を試みるが敵わず。
有力戦術とはいえ、大一番で「これ」をぶっ込んでくる度胸にシビレる。 pic.twitter.com/Y4E2PY9Pnf
プロトタイプとなった前年の対戦。
1戦目 アラビア(固定)
— Tamejirou (@Tamejirou) August 21, 2023
○赤/TaToH/シチリアvs黄色/TheViper/フン●
斥候戦から赤がドンジョンを仕掛けて農民キル数でリード。黄色は城主inしたものの金を押さえられて軍が全滅していては厳しい。逃げた先の4金と木こりも制圧されてgg。22:19 pic.twitter.com/8ku9hcQhNG
戦績・対策
チーム戦では海マップでピックして6戦全勝。上陸戦が有利になるため、チームの誰かが積極的に攻め込んでくれて知らないうちに勝ってたことも。対シチリア入りチームは20勝20敗で五分。1vs1では登場なし。ドンジョンが絡まなければ石を売る程度しか強みのない文明。射手でも斥候でもいいので隙を探して内政を妨害し、進化で先行させなければ怖くはない。終盤、重騎士の防御力アップに要注意。聖職者による転向や、(あれば)大砲を活用したい。
キャンペーンシナリオ等
シチリアのノルマン王国数代をモチーフにした「オートヴィル家」、全6戦のキャンペーンシナリオをプレイ可能。他に、サラディン(サラセン)のシナリオでティルスに割り当てられている他、バーリ(ビザンティン)では格好の敵役である(後述部分も参照)。
参考動画
こちらは4年前の動画なので細かい数字まわりやユニテクの使用が変化していることに注意。
以上です。ご意見・ご感想はツイッターまで
歴史のうんちく
ギリシアの植民時代に築かれたシラクサが、シチリア島において長らく最大の都市であった。クロニクルDLCでは、アテナイによる遠征が悲劇的な末路に終わる様が描かれる。また、ローマとカルタゴの第一次ポエニ戦争でも重要な舞台になった。共和政時代にローマの属州となって長い間、重要な食料供給地であった。が、帝国末期にヴァンダル人により占拠。その後、東ローマ、ゴート、ウマイヤ朝と主を何度か変え、アラブ系の首長国の割拠状態から物語は始まる。
キャンペーンシナリオ解説
AOE2におけるシチリア文明は、ノルマン人(ヴァイキングの一派)の騎士、オートヴィル家のグィスカルドがビザンティンの基地やムスリムを駆逐して南伊一帯を占拠したことに始まる(キャンペーンシナリオの1戦目)。ゲーム内では東ローマ貴族(ビザンティン)かベネヴェント公(イタリア)のどちらかに仕えることを選択可能。2戦目はルッジェロを主人公としてシチリア島に舞台が移り、サラセンやベルベルの首長たちを打倒して全島を制圧するミッション。首長たちのあるものは軽率に前線に出てきて簡単に倒せたりする。シチリアを拠点としたノルマン人たちは、バルカン半島や小アジアに上陸しての襲撃を行った(3戦目)。ノルマンの騎士たちは一枚岩ではなく、しばしば身内でも勢力争いが起きた様子が示唆される。敵方のビザンティンで登場する将軍コムネノスは後の皇帝である(こちらの記事も参照)。グィスカルドの息子ボエモンは十字軍に参加してアンティオキア公国の防衛に功があった(4戦目、東のボエモン)。2戦目で登場したルッジェロの息子は、シチリアを中心に南伊~北アフリカまで広く征服し、あるいは同盟してシチリア王に即位しルッジェーロ2世となった(5戦目、世に知られしもの)。孫のグリエルモ2世の代で嫡流が絶えたため庶流のタンクレーディが継承。彼はリチャード獅子心王の遠征途上、彼の妹ジョーン*をひどく扱っていたため怒りを買った。
*先王グリエルモ2世の未亡人であった。その後、兄の遠征に帯同してキプロスでまたも虜囚となる。詳細はブリトンの記事を参照。
その後のシチリア
タンクレーディの没後は幼い息子が王位を継ぐが、ルッジェーロ2世の娘コスタンツァとその婿神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世(フリードリヒ1世バルバロッサの嫡子)に侵攻されて滅亡。この夫妻から生まれた孫がフリードリヒ2世(在位1198-1250)。第6回十字軍で交渉により聖地巡礼の安全確保を達成するなど型破りであったが、教皇権と対立し本国であるドイツでの支配も揺らぐ。彼の死後、フランスの介入を受けてシチリアのノルマン王国は滅亡してしまった。
民族の象徴は1174~82年、グリエルモ2世の時代に建立されたモンレアーレ大聖堂。

シチリアの晩鐘とマフィアのおこり
1282年、フランスの王弟シャルル・ダンジューの支配するシチリアで農民たちが蜂起、フランス軍を殺戮した。彼の東方遠征の野心のために過酷な徴税が行われたこと、またフランスの騎士により島民の女性が暴行を受けたことがきっかけとなった。この時に立ち上がった人々が後のシチリアマフィアの起源の一つであるという。この反乱をきっかけにシチリアはアラゴン(後のスペイン)の支配下となった他、オスマン帝国から逃れたアルバニア人が多数移住してきた。18世紀に入るとサヴォイア家、ハプスブルク家、スペイン・ブルボン家と主を変える。南伊へ進出したナポレオンのフランス軍に対抗して英国に占領されたこともある。1816年に両シチリア王国が成立。19世紀後半、南伊一帯を征服したガリバルディがサルデーニャ王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世に領土を献上したことで近世イタリアの統一が成った。しかし南北の経済格差は依然として大きく、北米等への移民を多く出す。移住先で結束を強めた背景にマフィアもあり。イタリア系マフィアはハリウッド映画等でもたびたび描かれるモチーフである。第二次大戦ではシチリア島は早々に連合国軍によって占領され、イタリアの南北を分断する内戦状態となるがそれはまた別の話。
こちらの記事も参照: 【AOE2DE】文明メモ(33)イタリア
