《新NISA5️⃣》「毎月いくら積み立てるか」問題——収入・年齢・目標から逆算する「自分専用の積み立て額」の設計法
「3万円積み立てろ」という画一的なアドバイスが間違いである理由
NISAに関するブログやYouTubeを見ると「毎月5万円積み立てれば老後安心」「月3万円が理想」という言葉が溢れている。
しかしこれは「年収・生活費・目標・年齢・家族構成」が全員違う中で、一つの答えを押し付けているという点で不誠実だ。
正しいアプローチは「自分のゴールから逆算して積み立て額を決める」ことだ。
ステップ1:老後の「不足額」を計算する
まず「老後に自分はいくら必要か」を粗く試算する。
老後の生活費の目安として、総務省の家計調査によれば65歳以上の夫婦2人世帯の毎月の支出は約23〜28万円程度だ(2023年データ)。
一方、公的年金(厚生年金・国民年金)の受取額は個人によって異なるが、会社員の場合は夫婦合計で月15〜22万円程度が目安だ。
差し引きすると、年金だけでは月5〜10万円程度の不足が生じる可能性がある。
これが30年間(65歳〜95歳)続くとすれば、不足額の合計は1,800万〜3,600万円だ。
「老後2,000万円問題」という言葉はここから来ている。
ステップ2:退職までの年数と月額積み立て額を逆算する
必要な老後資金の目標額と、退職までの残り年数から、毎月必要な積み立て額を逆算できる。
【積み立て期間20年・目標2,000万円の場合】
年率5%での複利計算:毎月約4.9万円の積み立てが必要。
【積み立て期間30年・目標2,000万円の場合】
年率5%での複利計算:毎月約2.4万円の積み立てが必要。
【積み立て期間40年・目標2,000万円の場合】
年率5%での複利計算:毎月約1.2万円の積み立てが必要。
長く積み立てるほど、毎月の負担は劇的に少なくなる。これが「早く始める」ことの最大の価値だ。
ステップ3:「出せる金額」との折り合いをつける
逆算した「必要な積み立て額」が、現在の収入・生活費の中で捻出できない場合もある。
その場合に大切な考え方が2つある。
① 完璧を求めず、できる金額から始める
毎月1万円しか出せなくても、始めないより始める方がはるかに良い。1万円を30年間、年率5%で運用すれば約830万円になる。何もしなければゼロだ。
「完璧な金額で始めるまで待つ」は「永遠に始めない」に等しい。
② 生活防衛資金は投資より先に確保する
投資は「余剰資金」で行う。生活費の3〜6ヶ月分の現金(生活防衛資金)は手をつけずに持っておく。これがなければ、相場が下落した際に「生活費のために売らざるを得ない」最悪のタイミングで売ることになる。
積み立て額の目安:収入別のシミュレーション
手取り月収20万円の場合:
生活費を15万円とすると余剰5万円。生活防衛資金が十分なら、月1〜2万円からスタートが現実的。
手取り月収30万円の場合:
余剰資金から月3〜5万円の積み立てが設計できるケースが多い。NISAのつみたて枠(月10万円)の30〜50%程度を活用するイメージ。
手取り月収50万円以上の場合:
つみたて投資枠の上限(月10万円)を満額積み立てる設計も視野に入る。余剰がある場合は成長投資枠との組み合わせを検討。
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積み立て額は「固定」ではなく「昇給・ライフステージに合わせて増やす」
最初に設定した積み立て額は「永遠に固定」ではない。
昇給したとき、子どもの教育費が終わったとき、副収入が増えたとき——そのタイミングで積み立て額を段階的に増やしていくことで、当初の目標額を上方修正できる。
「今はとにかく始める。金額は後から増やす」という姿勢が、長期投資を継続するための最も現実的な設計だ。
このシリーズについて
全10話(本総集編含む)で完結です。
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本記事は投資情報の提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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エビデンス:
総務省 – 家計調査(2023年) : https://www.stat.go.jp/data/kakei/
金融庁 – つみたてシミュレーター : https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html
厚生労働省 – 公的年金シミュレーター : https://nenkin-simulation.mhlw.go.jp/
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