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《ファンダ解剖4️⃣》決算書の「化粧」を見抜け。Big TechがNon-GAAPで数字を盛る合法的メカニズム

「調整後EPS」という魔法の言葉

決算リリースを読んでいると、必ずと言っていいほど2種類のEPSが並んでいる。

「GAAP EPS:$1.20」
「Non-GAAP EPS(調整後):$1.85」

同じ企業の同じ四半期の数字なのに、なぜこれだけ差があるのか。

そしてメディアやアナリストは、なぜ決まってNon-GAAPの方を「実績」として報道するのか。

ここには、米国決算の「構造的な非対称性」が潜んでいる。


GAAPとNon-GAAPの定義

GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)は、米国証券取引委員会(SEC)が定めた会計基準だ。すべての上場企業に適用が義務付けられており、企業間の比較可能性を担保するために存在する。

Non-GAAPは、GAAP会計から特定の項目を「除外」した数字だ。企業が任意に定義する。法律的な強制力はなく、除外する項目も企業によって異なる。

重要なのは、Non-GAAPは企業が「自分たちの業績をより良く見せるための数字」として設計することができるという点だ。


よく除外される項目:何を「なかったこと」にしているか

Non-GAAPから除外される代表的な項目を整理しよう。

株式報酬(Stock-Based Compensation): 従業員にストックオプションや制限付き株式を付与する費用。「現金支出がない」という理由で除外されることが多い。しかし株主の持ち株比率は希薄化されるため、実質的なコストだ。

のれん償却(Amortization of Intangibles): M&Aで取得した無形資産の償却費。「現金支出がない一時的な費用」として除外されるが、M&Aを繰り返す企業では継続的に発生する。

リストラクチャリング費用: 人員削減・事業再編に伴うコスト。「一時的」として除外されるが、「毎年一時的なコストが出る」企業も多い。

M&A関連費用: 買収のための法務・デューデリジェンス費用など。

これらを積み重ねると、Non-GAAP EPSがGAAP EPSの1.5〜2倍になることも珍しくない。


「株式報酬をコストと見なさない」問題の深刻さ

特に深刻なのが、株式報酬の扱いだ。

シリコンバレーのテック企業は、優秀な人材を引き付けるために大量の株式報酬を支給している。これはGAAPでは費用として計上される。

しかしNon-GAAPでは「現金コストではない」として除外され、見かけ上の利益が大きく膨らむ。

問題は、株式報酬が支払われるたびに株式が増加し(希薄化)、既存株主1株当たりの価値が下がるという現実だ。

「現金は出ていかないが、あなたの持ち株の価値は薄まっている」——これはコストだ。

S&P500のテクノロジーセクターでは、Non-GAAPとGAAP EPSの差が最も大きく、一部の企業では差が50%以上に達することもある。


プロが決算を読む際に「GAAPに戻す」理由

機関投資家やバリュー投資家の多くは、Non-GAAPを「ウォームアップ数字」として見た後、必ずGAAP EPSに戻して分析する。

理由は2つある。

第1に、企業間の比較可能性を担保するためだ。Non-GAAPの定義は企業によって異なるため、異なる企業のNon-GAAPを横並びで比較することはできない。

第2に、「除外された費用の実質性」を評価するためだ。「一時的な費用」として除外されたものが本当に一時的か、それとも繰り返し発生する構造的なコストかを見極める必要がある。

決算を読む際の実践的なアプローチとして、GAAP EPSとNon-GAAP EPSの差額を「除外コスト」として認識し、それが時系列で増加傾向にある場合は要注意と判断することを勧める。


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「良い除外」と「悪い除外」を見分ける目

Non-GAAPが全て悪いわけではない。本当に一時的な費用(工場火災による損失など)を除外してビジネスの実力を見せることは、投資家にとって有益な情報になりうる。

問題は「常習的に除外される費用」だ。毎年リストラクチャリング費用を除外し、毎年株式報酬を除外し、毎年「調整後」の高い数字を示す企業は、実態として「常に稼げていない」可能性がある。

Non-GAAPの数字を見たら、まず問え。「これは本当に一時的か?それとも毎年続くコストを毎年消しているだけか?」


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