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初夏の和菓子「水無月」に学ぶ1灯ライティングでテーブルフォトを撮る方法

※この記事は水無月の撮影をメインとして書いていますが、初心者〜中級者向けのライティング入門としてもお楽しみ頂けます

水無月って和菓子を知ってますか?
京都では、6月に「水無月」という和菓子を食べる習慣があります。

水無月というのは、京都が発祥の伝統的な和菓子のこと。
もっちりとした白いういろうの生地の上に、甘く煮たあずきを乗せて三角形に切り分けているのが大きな特徴です。

水無月狂いのちせ:水無月の生地の食感はもっちりもあれば、つるつるもあるし、ぐにぐにもあるし、もちもちにも粘りがあるかないかで変わるし、一概には言えないんじゃないか
とのことでした。謹んでお詫びの上、訂正いたします。

https://x.com/ChiseKyoto/status/2068909587819012440?s=20

よく「ういろうと何が違うの?」と疑問に思われる方も多いですが、一般的なういろうが生地そのものを楽しむのに対し、
水無月はういろうをベースにあずきを乗せ、宮中で暑気払いとして食べられていた「氷の欠片」の意味を持つ「三角形」に仕立てている点に違いがあります。
この水無月は、毎年6月30日に行われる京都の神事「夏越の祓(なごしのはらえ)」に合わせて食べられる特別な行事食でもあります。
一年の前半に溜まった罪やけがれを祓い、残り半年の無病息災を願うという意味が込められています。

というのが水無月なんですけども、
友人に水無月に対して並々ならぬ執着、狂気を持った人物がいます。

なんか、一昨年は13店舗分18個、去年は16店舗分29個食べたらしいです。
1人でね。
いとおかし。
いと和菓子。←なんかこれ気に入った

はい。
おかしいですよね。お菓子だけに。

ちなみにこの記事を見せたら水無月の解説部分に訂正案がきました。
URLを送って1分後のことでした。

ほんでその水無月に狂った人が、案の定今年もやるらしいんですよ。
食べ比べ。

2026/6/16現在、現時点で12店舗16個食べてるらしい。
ハイペースっすね。
その一助になったのが、「水無月に先駆けて若鮎を撮ってみよう」という企画でした。
前哨戦といいますか。

若鮎を撮影するのと、せっかくだし撮り比べと食べ比べしてみようか〜っていう話だったんです。
流石に2人で大量に食べるのもきついかもだし、もう1人呼ぼう。
といって3人で企画を進めたんですね。

そしたらですね、気がついたらこの有様です。

若鮎 10店舗分 10本
(俵屋吉富、たねや、鶴寿庵、中村軒、平安殿、鼓月、笹屋守栄、布袋菓舗、仙太郎、太極殿)

水無月 3店舗分 9個
(笹屋守栄、俵屋吉富、鶴屋吉信、仙太郎、布袋餅菓舗)

あ、おいしかったれす^q^

ほんで、撮り方的なところを軽く解説はしたのですが、
もうちょっと詳しく書こうかなというのでこの記事を書いています。

ということで、この記事では若鮎水無月両方を使って撮り方を解説していきます。

申し遅れました、京都の四季風景写真を主に撮影しつつ、物撮りカメラマンとして生計を立てています、写真家の稲田と申します。

以前出版しました写真集です。ぜひ一冊どうぞ。




※この記事内に出てくる商品URLは基本的にamazonアフィリエイトリンクです。死んでもアフィリンクを踏みたくないという方は頑張って検索してください。

1.撮影準備

まずは撮影場所を決めます。
料理や和菓子などのテーブルでの撮影は、ストロボの位置を高くしたり低めから当てたりと、被写体によってかなりライト位置を上下させたりします。
なので、ある程度高さのあるテーブルを用意するとかなり楽になります。

僕は以前に購入した折りたたみのキャンプテーブルを使ったりしていますが、天板の安定感を考えるとやはり室内の普通のテーブルのほうが断然使いやすいです。
別の目的で買ったんですけど、使わなくなったので撮影に流用してるだけです。

ちなみにこれ。

できればまぁ、凸凹のない平坦な作業台を選んでください。
ちなみにこのキャンプテーブルは結構高さがあるうえに折り畳めばコンパクトなので、使わないのも勿体無いし使ってます。

今回撮影解説のモデルになってくれるのは、大阪の和菓子屋さん「あさだ」若鮎水無月京都の銘菓である「井筒八ツ橋本舗」の水無月です。

使用しているキャンプテーブルはアウトドア用ということもあり、天板の平面性にはそこまでこだわりのない造りをしています。

中央にどうしても気になる段差があるため、まずはスチレンボードを置いて

その上から背景のベースとなる大きな白板を重ねて敷きます。
これでまぁまぁ水平になりました。

ちゃんとしたテーブルを使う方は白の画用紙などでも代用可能ですので、手に入りやすいもので試してみてください。

和菓子の魅力を引き立てる小道具を使う

今回主役となる水無月は、ういろうの上にあずきが乗った伝統的な和菓子です。

まず、水無月のように少しベタつきのあるものを撮影する際は、直置きを避けてお皿などに乗せるのが良いと思います。

今回は涼しげな初夏の雰囲気を演出するために、新しく硝子のお皿を購入して用意しました。さっそく、硝子のお皿に水無月を乗せてみます。

次に見直したいのが背景です。下地が白のままだと、少し味気ない印象になってしまいますよね。
そこで、水無月が持つ和のテイストを最大限に引き立てるために、背景として白板の上に表情のある和紙を敷くことにしました。

これもamazonです。
別に信者ってわけではないですけど、楽なんですよね、amazon
流石にアフィリエイトリンクを付けたいからamazonで買ってるってわけではないんです。

さて、和紙の質感が加わるだけで、一気に世界観が引き締まります。
これで撮影の前準備が整いました。

まずそのまま室内の灯りで撮ってみます、

まぁこんなもんですよね。
さて、では本題の1灯ライティングに入っていきます。

2.ストロボを使ってライティングを組み立てる

ここからは、いよいよライティングの工程に入っていきます。
最初に、カメラの上に直接取り付ける「クリップオンストロボ」を使って、正面からそのまま撮るとどうなるのか実験してみました。


こんな感じ。
硬い光が正面から「ばちこーん」と当たって、なんかのっぺりした感じですね。フラッシュ焚きました〜って感じ。

まぁこれがアカンとは言いませんけども、
水無月のみずみずしさやら上品さは、引き出せていないですよね。

そこで、今回はより自由な位置から光をコントロールできるオフストロボをメインとして使用します。
オフストロボというのは、カメラから離してライトを使うという意味です。

① Godox AD200 Pro
長方形のコンパクトなストロボです。発光部分が角ばっているのが特徴で、持ち運びにも非常に便利です。

② Godox AD300 Pro

こちらはAD200 Proよりも光量が約1.5倍大きいストロボです。
デフォルトの発光部分が円形(ラウンドヘッド)になっており、より均一で自然な光を広げることができます。
これら2つのストロボに共通する点として、本体の下部分にジョイント部品を取り付け、さらに「ダボ」とか「スピゴット」と呼ばれる金属製の接続部品を介してライトスタンドへと固定します。

また、Godoxのストロボは共通のワイヤレスコマンダーをカメラのホットシューに取り付けるだけで、電波によって遠隔操作で発光させることができます。電波法も問題ないので安心です。
同じメーカーで揃えておくと、カメラを構えたまま手元で光量を変えられるので、楽です。

ちなみにAD300とかAD200が高すぎて手が出にくいって方は、最初はこういうクリップオンタイプの方を買ってみるのも良いかと思います。


ライトスタンドと安全対策

ストロボを支えるライトスタンドですが、ここはケチらずにある程度しっかりとしたものを使うことをオススメします。
というのも、ネットで見かける安くて軽いスタンドは一見良さそうですが、自重が軽すぎたり、ライトを支える支柱が細くて不安定で、簡単に倒れてしまうリスクがあるからです。
私が普段から信頼してよく使っているのが、LPLのライトスタンドです。

その中でも、特に「ブームスタンド」というタイプを頻繁に選択します。
ブームスタンドとは、垂直の支柱から横にアームを伸ばせるスタンドのことです。ただ、LPLのブームアームが販売終了してしまったっぽいので、別のものを紹介しておきます。
所持はしてないですが、smallrigなので安全だと思います。
※また購入して試してみたら追記します

ブームアームはこんな感じで使います

これを使うことで、ライトを極端に低い位置に下げたり高い位置から見下ろすように設置したり、あるいは被写体の真上(トップライト)から照らしたりと、配置の自由度が飛躍的に高まるため非常に重宝します。
ただ、こういった便利なスタンドを使う際は、細心の注意を払わないと大きな事故に繋がることがあります。
常に気をつけないといけないのが、「重心の位置」です。

特にブームを横に伸ばす際、先端に重たいストロボを取り付けるため、全体の重心が大きく外側に移動します。
このとき、横に伸ばしたアームの向きが、ライトスタンドの3本の脚と脚の間の「空間」を向いていると、バランスを崩して簡単にひっくり返ってしまいます。

足と足の間にライト(重心)が来ているとすぐコケます

対策としては、伸ばしたアームの向きとスタンドの脚の1本の向きをぴったりと揃えて重ねることです。

足と足の間にライトがある
ライトの真下に足があって支えられている
赤がライトの重心、青がスタンドの足
伸ばしたライトとスタンドの足が上下で同じ位置

または、スタンドの根元や中心部分に「サンドウェイト」などの重りをしっかりと取り付けることです。
足元をしっかりと重くしておけば、スタンドが不意に転倒することを防げます。

ウェイト


この重心の位置に関しては、細心の注意を払って気をつけないといけません。
ストロボが倒れれば高価な機材が破損するのはもちろんですが、高く上げたストロボが人の頭に直撃して怪我をさせてしまったり、あるいは水場での撮影でストロボが水に浸かってモデルさんが感電してしまったりしたという、恐ろしい事故の話も耳にしたことがあります。
スタジオでも自宅でも、転倒事故への対策は徹底的に行いましょう。

ではここから実際に撮影を交えながら説明していきます。

食べ物撮影の基本「半逆光」

今回はAD300 Pro1灯を使って撮影を進めていきます。
まずは、ディフューザーなどを何もつけず、ストロボの光をそのまま被写体に向けて当ててみましょう。

AD300

さっきのクリップオンストロボとほぼ同じですね。

クリップオン

一般的に、料理や和菓子などを魅力的に撮影する際は、被写体の「斜め後ろ」からメインとなる光を当てるのが基本になります。
テーブルフォトの撮影において最も重要なポイントは、その料理が持つ「質感」や「みずみずしさ」、「美味しそうに見える空気感」、思わず「見て食べたくなる感覚」をいかに引き出すかという点にあります。
いわゆる「シズル感」と言われるやつですね。

今回のように一品料理(単品)を主役として引き立てるためのライティングは、実はかなりシンプルです。
基本的には1灯、または2灯のライトで構成するのが一般的ですが、今回はその土台となるスタンダードな1灯ライティングの組み方を詳しく解説します。

メインライトは「逆光」または「半逆光」のポジションに置く

料理を撮影する際、ライトはカメラの真後ろではなく、料理の「斜め後ろ(半逆光)」または「真後ろ(逆光)」に配置するのが基本です。

このように後ろ側から光を差し込ませることで、水無月の輪郭が際立ち、表面のツヤやあずきの凹凸が強調されるようになります。

ここで、アクセサリーを使ってみようと思います。

ストロボの光質を変えるアクセサリー

今回のAD300 Proを使う大きなメリットの一つが、様々なライティングアクセサリーを装着して光の質をコントロールできる点にあります。
ここでいうアクセサリーとは、光が広がる大きさ(光源サイズ)や光の質を変化させるためものです。

例えば、AD200 ProとAD300 Proを比較した場合、何もアクセサリーを付けない素の状態(ベアバルブや標準状態)であれば、発光部が大きいAD300 Proの方がわずかに光源が大きく、光が回り込みやすくなります。

しかし、ここに、光を前方に集約させる「リフレクター」をそれぞれ装着すると、中心から放たれる光源の大きさはほぼ同等になります。

さらに、そのリフレクターの前面にトレーシングペーパーやユポ紙(半透明の合成紙)を貼って光を拡散させた場合も、照射される光の質感はほとんど同じ仕上がりになります。

ユポ(アートレ)は破れにくいですが、その分お高いです。トレペの方がリーズナブル。

ユポ紙
https://a.r10.to/h56pma

ただし、それぞれのストロボにアクセサリーを取り付ける方法(マウント)には少し違いがあります。
AD200 Proの場合、本体が四角いため、一般的な大型アクセサリーを取り付けるには「S2ストロボブラケット」などの外部ホルダーを使って挟み込む必要があります。

一方、AD300 Proの場合は、ヘッド部分にあらかじめ付いている小型の標準リフレクターを外します。そこに、専用のアダプターである「Godox ML-GB(Godoxマウントからボーエンズマウントへ変換するアダプター)」を付けてから、リフレクターを装着します。

Godoxからボーエンズマウントへ変換するアダプター


ストロボには、さまざまなメーカーの間で広く採用されている「ボーエンズマウント」という世界共通の規格があります。この互換アダプターをAD300 Proに噛ませることで、ボーエンズマウントに対応した大型のリフレクターやソフトボックスをそのままワンタッチで装着できるようになり、ライティングの幅が広がります。

もちろんgodox純正のアクセサリーもあるのですが、ボーエンズマウントのものを選べば純正以外の選択肢も取れるので、かなりの種類のアクセサリを使うことができるようになります。

ということで、今回はリフレクターを使ってみます。


①リフレクター無し

②リフレクター有り

リフレクターの有無

リフレクター有りの方が、影の線がグラデーションになっているのがわかります。リフレクターが無い方は影と黒い部分の線がはっきりしています。

手前にできる暗い影を「レフ板」で起こす
逆光や半逆光だけで撮影をしていると、料理の手前側(カメラに向いている面)に影ができてしまいます。そこで、カメラの横にレフ板を配置します。

後ろから来るストロボの光をこのレフ板で反射し、料理の手前側へ当てることで、暗い影を柔らかく明るくします。
このレフ板の代わりに2灯目のライトを立ててコントロールする手法もありますが、今回は1灯というコンセプトなので、レフ板で明るくすることにしました。

リフレクターがレフ板なし

これはわりとぱっと見でわかりやすく右下が明るくなっているのがわかるかと思います。
しかし、リフレクターとレフ板だけでは今一歩足りない気がします。
そこで、さらに影のグラデーションを弱めるためにデフューザーを使用します。

ディフューザーで「柔らかい光」を作る

今見て頂いたようにストロボの直射光のような強い光(硬い光)をそのまま当ててしまうと、和菓子の表面に不自然に鋭いテカリができたり、境界線のくっきりした真っ黒な影が生まれたりしてしまいます。
例えリフレクターを使って少し光源を大きくしたとしても、和菓子の大きさからすればそこまで光源が大きくないためまだ若干硬い印象を残してしまいます。そのため、ライトの前に「ディフューザー」と呼ばれる光を拡散させる道具を挟んで更に光源を大きくします。

具体的には、ソフトボックスを取り付けたり、ライトの前に半透明のトレーシングペーパー(トレペ)を垂らしたりして、光源の面積を大きく広げます。
光を大きく拡散させて「柔らかい光」に変えてあげることで、水無月の特徴であるういろうのみずみずしい透明感や、あずき一粒一粒の繊細な質感を、しっとりと優しく表現できるようになります。

以前に書いた「百均で買ったグッズでライティング」という記事で作った、百均デフューザーを置いてみました。

ちょっと光が柔らかくなったのがわかりますでしょうか。

とはいえ、やっぱりまだちょっと光源が小さいですね。
ということで、それよりも本格的なデフューザーを使っていきます。

まずはデフューザーの種類をいくつか紹介します。

①アンブレラ

まずは基本中の基本で使われるアンブレラ。
傘の内側の白にストロボの光を当てて反射させることで、光源が傘の大きさになります。反射する分光量が少し落ちますが、手軽に光源の大きさをデカくできますし、反射する分光が拡散するので使いやすい、ライティングの基本になるアクセサリーです。
ただし、使用するにはアンブレラホルダーが必要になります。
AD200やAD300だと、付属するライトスタンドとの接続部品にアンブレラ用の穴が空いているので問題なく使えます。
ちなみにAD200のブラケットにも穴はあります。


②ソフトボックス

ソフトボックスは、ボックスという名の通り箱状になったアクセサリーです。四角形(長方形や正方形)の形状をしていて、光の進行方向を制御したいときに使いやすいです。
前面に配置されたディフューザー(拡散布)を通すことで、グラデーションの滑らかな非常に柔らかい光を作り出します。ボックス状の構造によって横や後ろへの光漏れを防げるため、被写体だけに光を当てて背景を暗く落とすといったコントロールができます。
ボックスの形にもかなりの種類があって、小さいものから大きいものまでピンキリです。

※これはGodoxのS型ブラケットに付けるタイプのものです。S型ブラケット以外には付けられないです


③オクタボックス

オクタボックスは、8角形(またはそれに近い多角形)の形状をしたソフトボックスの一種です。ソフトボックスの「光をコントロールしやすい」というメリットと、アンブレラのような光の広がりが特徴です。
かなり柔らかくなるので、僕は割と好んで使ってます。
人物撮影でも使いやすいボックスライトです。

アクセサリーごとの比較

ここまでの機材を使って撮影したものを見比べてみましょう。
(水無月を食べてしまったため)若鮎を使ってライティングの比較をしました。

リフレクター
アンブレラ
ソフトボックス
オクタボックス

ご覧の通り、ライトの位置がほぼ同じ(アクセサリーの大きさによって若干動かしたりしましたが、基本的には同じ位置になるように調整しました)でも、結構差が出ているのがわかるかと思います。

この辺りはアマチュアカメラマンもよく使う一般的な機材かなとは思うのですが、せっかくなので最後に物撮りの職業カメラマンなどがよく使う機材を紹介します。

これがないとダメってわけではないですが、あると物撮りのクオリティを上げやすくなる機材です。

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