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路地裏の工房

今日の打ち合わせも予定より早く終わった。
今年ももう残りわずか。
歳を重ねるごとに1年が短くなる。

この街を訪れたのは4回目。
今日もあのオシャレなカフェで少し遅いお昼ご飯にしよう。足は人通りの少ない方へ向く。

メインの通りから二本も裏通りに入ると、すっかり喧騒は遠のき、穏やかな午後が広がっている。

いい雰囲気なのだけれど、一際ひときわ異彩を放っているビルがある。いや、いたって普通のビルで変わったところはない。ただ、おそらく低層住宅地であろうと思われる場所に一棟だけそびえ立っている。やっぱり違和感しかない。

ビルのある方向へと角を曲がって路地裏に進む。

またきんつばを買って帰ろう。『御八堂』お店の名前は気にかけていなかったな。
少し歩くとお目当てのお店『喫茶 花』。
入り口の少し古びた木製のドアを押して中に入る。

カランコロン…

なんとも言えない懐かしい音が響く。
店内はコーヒーの香りに包まれていた。
午後の中途半端な時間帯ということもあって、店内は空いている。
パリッとしたスーツを着た男性と首にヘビを巻いた男性が談笑している……首にヘビ!?
見ちゃいけない見ちゃいけない。
他のお客さんは、テーブル席でパソコンを広げつつオムライスを食べている若い女性が居るだけ。デジャビュの様だ。

「いらっしゃいませ」
落ち着いた雰囲気の、マスターと呼ばれていた女性店員が案内してくれた。
窓際の明るい席に腰を落ち着かせ、備え付けのメニュー表を手に取る。

さてと…
今日もオムライスかな…チラとオムライスを食べている女性客を見ると、期待の眼差しでうんうんと頷いている。
そうね、オムライスにしよう。

オムライスを注文すると、その女性客がサムズアップしている。
なんか、この関係性は楽しい。

あっという間に平らげてしまい、バッグから文庫本を取り出す。
しばらくページをめくっていたが、視界の先に見えるビルが気になる。
…今日も行ってみるか。

お会計を済ませ店を出ると、まっすぐビルへと向かった。
近づくにつれて、見上げるようなビルが一棟だけ。場違い感が際立ってきた。

「ワールドブルー……」初めて立ち寄ってからネット検索してみたけど、調べれば調べるほどよく分からない会社だった。

さてと。今日もビルの一階部分にある書店へ向かった。
あれ?
書店の隣に工房がある。
今まで気付かなかったけど、以前からあったのかな。少し覗いてみるか。

広さは10畳ほどだろうか。
背丈ほどの陳列棚が左右の壁を占め、革小物が並んでいる。
中央には大きなテーブルがあり、作り途中らしい革や道具が広げてあった。
よく分からない道具が色々あるな…

すると、にこやかだけれどもヨレヨレのおじさんが奥から出てきた。

3時のおやつさん作

名札には『蒼 広樹』とある。

「いらっしゃいませ。『ワールドブルー物語』はいかがですか。隣の書店で売ってますよ」にこやかに言う。
革の商品じゃなくて!?って思わずツッコミたくなったけど、ギリこらえて「いえ、大丈夫です」とだけ言う。
途端におじさん顔が寂しげになる。
「そうですか。きっと面白いと思うんだけどなぁ……はい、どうぞ」
どん。

いや、なんでここにあるの!?
「今日はいいです。また今度にします」
「そうですか…残念だなぁ…」
しょんぼりする表情を見て、ちょっと可哀想な気もした。

「そうだ、お客様。たった今、新商品が出来上がったんですよ。1mm厚のヌメ革をオレンジ色のクラフト染料で着色しましてね、一旦乾かしてから更に同じ染料を使ってまだら模様にしたんですよ。これ全部ハケ塗りでね。コレがまたいい感じの風合いになってね。色落ちを防ぐのと保護のためにバインダーを塗ってね」

「どうです。いいでしょう。それから材料をカットしましてね」

「もう、この時点で可愛いでしょ。私はこの鮮やかなオレンジが好きでね。と言っても鮮やかなブルーも好きだし黒も茶も好きでね。茶と言えば私は緑茶が苦手でね、どちらかと言うと紅茶の方が好きなんですよ。レモンよりもミルク派………で、なんのはなしですか」

「それはこっちのセリフですよ」

「あ、そうそう。つい先程、出来上がったんですよ」

「どうです。可愛いでしょ。全部手縫いで、コバ…端面の事ね、染色してからトコノールって薬液を塗って磨いてあるの。ちょっとした内ポケットも付けてある。『ちょうどいいミニトートバッグ』縦が約16cmで横が約19cmだから、文庫本を横にしてすっぽり収まるサイズ。本とお財布とスマホとハンカチやティシュだけでお出かけするには最適です。コチラで買えますからね!」

「でね、それに伴って前回作った『ミニトートバッグ』をお値下げしちゃいました!コチラもぜひ!」

「他にもブックカバーとか売ってるから、ゆっくり見ていってね!」

「もし、こんなブックカバーが欲しい!というものがあればお作りしますよ。また、こんな革小物欲しい!というお声かけもお待ちしてますからね。
あなた専属・・・・・のレザークラフト作家 蒼広樹がお手伝いしますよ!

それから、ZINEフェスでの『なんのはなしですかブース』で、ちょっとしたものも置いてもらえることになったんですよ。そっちにも来て欲しいなぁ」

早口でまくし立てるもんだから、途中からはなんのはなしか分からなかった。

「あと、他にも路地裏にはたくさんのお店があるから、散策してみてね!」


「あ……はい」

「ありがとうございました。また来てね~」
なんだかよく分からないまま、何も買わずに店を出てしまった。

#なんのはなしですか
#なんのはなしです革
#ワールドブルー物語



349話目。
どうも、あおです😄

色々詰め込みました。
詰め込みすぎてよく分からない感じになりました。
が、
書いてて楽しかったので満足です。


#挨拶文を楽しもう



今回は、『路地裏で』シリーズ4回目です。
自分だけが楽しんで、読者を置いてけぼりです。
日々のエッセイを『ワールドブルー物語』に取り入れて、少しづつ物語を進めてみようかなとも思っています。
また、回を重ねる度に少しづつ変化している間違え探し的な要素も取り入れてみたら面白いかなとも。

過去作も置いておきますので、良ければぜひ少しづつの変化をお楽しみください。


という訳で今回は、

新作のミニトートバッグ可愛いよ!

って、お話でした。



物語に登場するお店は架空ですが、実際にBASEで販売していますので、ぜひ。


他にもこんなものを作っています。
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#ステンシルレザー
#VAcraft


コングラボードいただきました!
いつも読んでいただいて、ありがとうございます😆



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ではまた!
あおでした😄

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