【毎週ショートショートnote】狐火バーベキュー
狐火が出るという廃墟に、YouTuberのグループが撮影に行った。
夜が深まると、どこからともなく若者の集団が現れ、バーベキューを始めた。
狐火の噂を話すと、遠目に見た人が焚き火を勘違いしたのだろうと言う。
生配信を続けながら、YouTuberたちも輪に加わった。楽しげな様子に、視聴者もコメントで盛り上がった。
だが、少しずつ違和感が湧いてきた。
焼けども焼けども、尽きない食材。
YouTuberたちは誰かと話しているようだが、会話の音質は悪く、画面には誰も映らない。
「誰と話してんの?」「誰が肉渡してんの?」
コメント欄がざわつきはじめたのに、彼らは気づかない。
いつしか焚き火は真っ青になっていた。
言葉が少なくなり、ギラギラした目で火の中の肉だけを追う。
火傷しそうな熱さのはずなのに、手づかみで肉を貪っていく。
「やばいって」「誰か止めろよ」
視聴者が必死に止めても、もう誰も読んでいない。
口の端から肉片がこぼれ落ち、笑い声はいつしか噛み潰す音に変わっていく。
気がつくと、彼らの体がじわりじわりと小さくなっていた。
噛みしめるたび、背後の火に投げ込まれる肉が一つ増え、また一つ増えた。
カメラも徐々に地面へと近づいていく。
ついに土と同じ高さになったカメラには、青白い狐火がゆらゆらと揺れていた。
配信はまだ続いていたが、もう音も声もなかった。
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