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【毎週ショートショートnote】古墳症

村の広場の真ん中に、小さな古墳がぽつんとあった。
子どもが登ればてっぺんに立てるくらいの高さしかないそれは、村のシンボルのような存在だった。

さてその頃、村では「古墳症」という奇妙な病が流行っていた。
かかった人は咳をするとき、必ず

「こふん、こふん」

と音を立てる。

それだけなら笑い話だけれど、この病にはもう一つ不思議な特徴があった。
誰かが咳をするたび、広場の古墳がほんの少しだけ高くなるのだ。

最初は気のせいだと思われた。
けれど何人かで試すと、確かに高くなっている。

「こふん」

にょき。

「こふん、こふん」

にょき、にょき。

村人たちは面白がり、みんなで古墳の前に集まった。

「せーの」
「こふん!こふん!」

古墳はみるみる高くなっていく。
やがて家より高くなり、森の木々より高くなり、ついには雲を突き抜けた。

「すごいぞ!」
「もっとやれ!」

興奮の最中、誰かが言った。

「これ、太陽まで行けるんじゃないか?」

村人たちは顔を見合わせ、目を輝かせた。
もし本当に届いたら、とんでもない偉業だ。

そこで全員で息を合わせる。

「こふん!こふん!!こふん!!!」

古墳はぐんぐん伸びていく。
空は暗くなり、てっぺんはもう見えない。

そのとき、周囲が突然、赤く染まった。
ついに先端が太陽に触れたのだ。

古墳はたちまち真っ赤に焼け、どろりと溶け出した。
下で見上げていた村人たちも、熱に包まれて一瞬で影も残さず消えてしまう。

あとには、溶けて歪んだ古墳だけが残ったそうな。

(606文字)

前回のお題はこちら⇩


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