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湯上がる銭湯で奏で躍る即興パフォーマンスの熱気を浴びる|floor girl「too folk tourーーcasa and noon more out」 in 友の湯(宮城県気仙沼市)

風呂上がる人々が去った後の銭湯で、フレットレス・ベース奏者の織原良次 氏とダンサーの荒悠平 氏によるパフォーマンスユニット「floor girl」の公演がある。そんな話を耳にして、宮城県気仙沼市の銭湯「友の湯」を訪れました。「友の湯」を訪れたのは、昨年の11月26日、「いい風呂の日」以来です。

「floor girl」の公演は、「too folk tour」の一環で、昨日は岩手県陸前高田市の泊まれる古本屋山猫堂を会場に「re quiz then talk at」が行われています。昨日は古本屋、今日は銭湯。通常ではあり得ないシチュエーションで行われる即興パフォーマンスに頭が上せそうになるほど、胸がワクワク高鳴ります。


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風呂上り銭湯でフレットレス・ベースの音色とダンスパフォーマンスの熱気を浴びる|「too folk tourーーcasa and noon more out」in 友の湯(宮城県気仙沼市)

『東北ツアーってことで、昨日は陸前高田市の山猫堂でやらせてもらいました。今回は気仙沼の友の湯ということで、floor girl……、floor girl、風呂上がるということでーー。元々お風呂で始めたユニットということで、僕も縁があって、ダンサーの荒さんを窓口にしてやりとりしてたんですけど、絶対にここでやりたいんだってことで、今回協力頂いて、この場を迎えることができました』

ほんのりと熱気が漂う脱衣所に入ると、「floor girl」による「too folk tour」の主催ーー山猫堂のオーナー・越戸氏の挨拶が始まりました。続いて、織原良次 氏と荒悠平 氏の挨拶が始まります。織原 氏がユニットの説明をし、その間、湯から漂う蒸気のように、荒 氏のパフォーマンスが、ほんのり、ほんのりと動き出しました。

荒 氏の指の動きに合わせて、脱衣籠がくるくるくるくると回り、止まるやいなや荒 氏が浴場へと入っていきます。洗面器を叩く音、ついで洗面器で湯面を打つ音が場内に響きます。ドン、ドン、ドン。バンバン、バンバン。ズドン。カラカラ。アンプから鳴る厳かなメロディーが漂う中、乾いた打撃音が、何度も何度も、何度も何度も鳴ります。

音楽が曲調をわずかに変化。応じるように、荒 氏の肩、腕、足がくゆる湯気を彷彿とさせるゆったりさでうねり、その後また洗面器への打撃が始まります。かと思えば、荒 氏の全身が回り、腕や脚で弧を描きながら浴場の出口へ。ガタガタ、ガタガタ扉が鳴らされ、刹那、観客が浴場内に閉じ込められました。観客たちの笑みがこぼれる中、窓越しに脱衣所で踊る荒 氏。

フレットレスベースの軽やかな音が脱衣所から窓を通して浴場へと鳴り、一度扉が開いたかと思えば、再度閉ざされ、すぐに開けられます。『女湯に監禁されるのは面白すぎる』そんな観客の声がこぼれる間も、荒 氏のパフォーマンスは進み、織原 氏のフレットレス・ベースが軽快なメロディーを奏で続け、公演は熱を増していきました。

コツン。ドゥン。ミョーン。トゥトォン。ドゥドゥ。ガタンガタン。ドンドン。フレットレス・ベースの音色に脱衣所にある小物やロッカーの扉の音が重なり、カオスな音楽が即興で生まれ、かと思えば再び浴場に向かう荒 氏。浴場から椅子を持ち出し、脱衣所で、女湯の中にいる観客を見つめる彼の姿に、観客が笑います。

観客を巻き込んだ劇場型パフォーマンスは、目も耳も離せなくなる一方で、自然と笑いが込み上げ、純然たる楽しさを掻き立てました。穏やかに重厚なサウンドを鳴らすフレットレス・ベースが、観客たちの感情を支え、パフォーマンスの熱を高めていきます。荒 氏が浴場に向かうと、彼の背を押すようにサウンドは徐々に激しさを灯していきました。

床の上の水滴を蹴るように小気味良い音を鳴らしながら、するすると何度も弧を描き、荒 氏の身体は浴場内を舞います。ときにシャワーで水を撒き、ときに洗面器を楽器に見立てて、フレットレス・ベースと音楽を奏で、かと思えば洗面器とともに踊ります。まるで息継ぐ暇のない物語が展開されているかのような目まぐるしいパフォーマンスに、観客たちは息を呑み、また固唾を呑んで見守ります。

ドドド、ドドドド、ドド、ドド。荒 氏が脱衣所に戻ると同時に、フレットレス・ベースが激しい鼓動のような音を鳴らし、荒 氏が驚きの声を上げつつ、フレットレス・ベースと対話を始め、ボルテージが最大まで高まった瞬間、ともに歌いました。次の瞬間、空間に満ちた音楽が湖底のように凪ぎます。荒 氏は浴場内へ。一度ヒヨコと戯れ、浴槽の縁の上で舞います。

ゆったりとしたフレットレス・ベースの音色に合わせ、全身をくねらせ、ゆったりと、くゆりと、うねり、ぬるりと揺蕩い、舞います。ほんのりと影を落とす灰色の浴場内で、ゆったりと舞う荒 氏の姿は、まるで今にも消えそうな陽炎のようで、目が離せません。舞い、屈み、手足で床を進み、脱衣所に戻る荒 氏。

ドドドドドドドドド、地を這うような重苦しいフレットレス・ベースの音が、脱衣所で荒 氏を迎えました。ゆらゆらと、ぬらぬらと荒 氏の背が弧を描きます。荒 氏の指が一瞬フレットレス・ベースの音を止め、再度舞う。その都度、荒 氏の舞いは種類を異にしていきました。ときに激しく、ときにゆったりと。目まぐるしく変化する舞い。

『しゃれになんねえ』

荒 氏は椅子に座り、織原 氏に指示をします。

『見せつけてやれ』

楽し気に指を弾く織原 氏。フレットレス・ベースの曲調が激しくなり、椅子から立ち上がった荒 氏が激しく舞いました。まるでうねる荒波のような舞いです。肩が、手が、足が、優雅に、それでいて小気味よく空間を切り裂いていきます。フレットレス・ベースの音色のように。明るいテンポの曲調に合わせて荒 氏は浴場へ。観客の一人を壁に押しやり、デュエットするように舞います。右へ左へ右へ左へ。観客とともに踊りました。浴場に響く笑い声。

洗面器を被り、指を鳴らし、湯を汲み、バシャバシャと湯を湯舟を落とし、『1・2・3・4……ウホホホホホホホ』重厚なサウンドに合わせて、荒 氏が歌い、湯舟の回りを歩き周り『友の湯、友の湯、友の湯、脱衣所の方が涼しい』即興の歌が奏でられます。

『あっち熱いですか? 脱衣所の方が熱いですよ』

織原 氏が荒 氏に問い、浴場に向かいました。『こっちの方が熱い。こっちで踊っていたら熱いわ。動いているのはヤバい。お湯を張ってやることはないんですよ、我々は』会話によるセッション。

https://www.instagram.com/reel/DZ0ETZhPbUl/?igsh=bmY3aXB5cGJ6ZHFl

グルーヴの熱い音楽に合わせて、グルーヴの熱いダンスが再開。直後、荒 氏の休憩。パフォーマンスはクライマックスへ向かいます。

『じゃあ、向こうから踊りながらゆっくりやってきて、最後黄色い桶ポンと叩くので、それを今日のフィナーレ』

『フィナーレって言葉選びがダサい』

『僕用意していたんですよ、そこの単語を……僕が向こうからゆっくりやって来て、黄色い桶をパパンと叩いたら、それを今日の風呂上りにしましょう』

浴場で荒 氏の踊りがゆっくり、ゆったりと始まります。宙を泳ぐかのように、空を手繰り寄せるように、肩、背、腕、脚を滑らかに動かし、脱衣所へと少しずつ、少しずつ、進みます。フレットレス・ベースの曲調に合わせながら動く様子は、そのものシンクロしているようです。

荒 氏が脱衣所の中へ。フレットレス・ベースのハイテンポの曲と同調する荒 氏のハイテンポなダンスが、室内のボルテージを上げていきます。ドゥッドゥッ、ドゥッドゥッ、ポン。一度の桶叩きでは終わりません。駆け引きのようなセッション。ダッダ、ダダ、ポン、ダッダ、ダダ、ダダポンポン。

『ありがとうございます! ありがとうございます! 織原良次、荒悠平、友の湯、山猫堂さん、小野寺さん、気仙沼、陸前高田、ありがとうございます!』

友の湯
「too folk tourーーcasa and noon more out」
アンプ、フレットレスベース、脱衣所
織原良次 氏、荒悠平 氏
風呂上り

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