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アンコールワットと同じくらい行った方がいい山猫堂でフレットレスベースとダンスの協奏に浸る|「too folk tourーー”re quiz then talk at”」in 泊まれる古本屋山猫堂(岩手県陸前高田市)

フレットレス・ベースの荘厳な低音が空気を打つ。身体は、静かに、滑らかに、肩、腕、そして全身で波を描くようにしなる。仄暗い空間。息を殺すかのように辺りを見回す人々の合間を縫うように、身体は空間を揺蕩い始める。椅子に座る。立ち上がる。

音楽を閉じ込めた円盤が並ぶ壁の前、身体はワニの剥製を手にして、対面する。静と動が出会う。しなやかに脈打つ身体とともにワニは躍動する。生命を取り戻したように。ぐるり、ぐるり、ぐるりぐるりと身体とともに宙を回る。ワニはフレットレス・ベースと対面し、見つめ合う。そして机の上で身を休めた。

フレットレス・ベースの音が弾ける。ドゥドゥ、ドゥッ。ドゥドゥ、ドゥッ。空気を叩くような音が、身体を鼓舞する。滑らかに空間を漂っていた身体は、激しさを増す音楽に呼応するように、鋭く、激しく畳の上を、絨毯の上を進む。スッハッ。スッハッ。ドゥツドゥ、ドゥ。タッタッ。軽快な音が空間を埋め尽くす中を、身体は軽快に歩んだ。

身体は回る。腕を大きく振るい、足を跳ねさせ、軽やかに舞う。そして虎と出会う。虎は身体とともに部屋を歩き、フレットレス・ベースと出会い、口づけを交わした。室内に人々の笑い声が芽生える。虎と別れ、身体は再び室内を軽やかに舞い始める。間もなく、獅子と出会った。獅子はフレットレス・ベースを睨みながら、空間を上下に揺蕩う。

フレットレス・ベースの視線は獅子へと向いた。刹那の無音。ドドドドドドドドド。音が高鳴る。空間が震え、身体は音に叩かれるように小刻みに振動する。肩が跳ねる。腕が跳ねる。膝が跳ねる。全身という全身が脈打つように激しく舞った。その後、フレットレス・ベースの前へと歩みを進める。

背を椅子に預け、落ちる。床に崩れ落ちた身体はすぐに立ち、体勢を整えて軽妙な踊りを再開。再び部屋を歩み進む。椅子の裏を歩き、机の上を歩き、フレットレス・ベースの前を通って、部屋を駆ける。梁を掴み、椅子に腰を落とし、本が並ぶ机の前を通り、歩く、歩く、歩く。チカチカチカチカ、ランプが灯り、消え、灯る。

フレットレス・ベースが滴るような甘い音色を奏で、身体はそれを耳にしながら水を飲み、フレットレス・ベースの音色が軽快に、陽気になっていくのに合わせ、身体は腕を振り、膝を跳ね上げ、声を上げる。椅子から腰を上げ、床に腰を落とし、また室内を滑らかに舞い漂う。泳ぐように、何かを探すように。

フレットレス・ベースの音が弾ける。身体は指を鳴らす。応えるようにフレットレス・ベースは、踊るような音色を鳴らす。ドゥルドゥルドゥル。ドゥル。ドュン。ドゥル。ララルル。体は踊る。舞う。フレットレス・ベースと向き合う。フレットレス・ベースの弦の動きとシンクロするように舞う。

ドゥ。ドゥ。ドゥ。燻る煙のように、うねる波のように、身体は舞う。部屋を満たす空気をかき分けながら、フレットレス・ベースの音色を手繰るように、舞い、踊る。トゥーン。トゥーーン。フレットレス・ベースが鳴く。体はいななくように跳ね、舞う。命。上へ下へ。回る。舞う。フレットレス・ベースの音と鼓動を重ね、相まみえ、セッションを終える。

※2日目の様子。


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フレットレス・ベースとダンスの協奏を江戸末期に建てられた古民家で楽しむ|「too folk tourーー”re quiz then talk at”」in 泊まれる古本屋山猫堂(岩手県陸前高田市)

2026年6月19日。岩手県陸前高田市の泊まれる古本屋山猫堂で、フレットレス・ベース奏者の織原良次 氏とダンサーの荒悠平 氏によるパフォーマンスユニット「floor girl」の公演とトーク「too folk tourーー”re quiz then talk at”」が開催された。荒悠平 氏によるパフォーマンスは、2月以来となる。

公演は、即興のパフォーマンスが行われており、フレットレス・ベースによる音楽とダンスのセッションが展開された。トークは「floor girl」の公開収録として行われている。参加者は、公演とトークの2本立てによる濃厚な時間を楽しんだ。

アンコールワットくらい行った方が好い泊まれる古本屋山猫堂で生活の持つ重要性を語り合う|「too folk tourーー”re quiz then talk at”」in 泊まれる古本屋山猫堂(岩手県陸前高田市)

「floor girl」の公開収録は、参加者の笑い声が止まない温かな時間が流れた。冒頭で、「too folk tour」の名称の由来が語られ、アーティストトークに進んだ。

ダンスとかアートやっているみたいなので、視野が狭くなってっちゃうていうか、自分がやっていることは至上のことである、素晴らしいものであるっていう風に思おうとする力が結構あると思うのね。これこそ素晴らしいんだ。これに全部賭けるんだみたいな。(中略)この舞台が終わったら死んでもいいくらいの感じで、臨んでいた時期もあったんだけど、そこにそういうことじゃないんじゃないかなみたいな気もしてきたときがあって、舞台をやってどんなにいい舞台をやってもどんなにダメな舞台をやっても翌日からも生活が続いていくわけじゃないですか。そこを切り離したときに、あんまり届いている感触がなくなっていくっていうか、見てくれた人にも、自分が昨日も生きていて明日も生きている人間だっていう状態で舞台に立つことの方が、もしかしてお互いに幸せなんじゃないかなって感覚。

「too folk tourーー”re quiz then talk at”」

ダンサーの荒悠平 氏は、フレットレス・ベース奏者の織原良次 氏と出会う前のダンサー・アーティスト活動を振り返り、全部を捧げる姿勢で舞台に臨んでいた中で感じた違和感について語った。穏やかな音楽がアンプから流れる会場内で、参加者の多くが頷くように声を漏らす。

銭湯っていうすごく生活、人が生活する場所で踊る、演奏する。それこそ切り離さずに、生活が芸術と精神のインターフェースみたいなハブっていうか、繋がる接触面になればいいなみたいな感覚は結構あって、だから陸前高田まで移動してきて、話しながらやって来て、『あーすごいっすね』とか織原さんがこの場所について言って、そのテンションそのままで本番やって、切り替えることなくトークに入るみたいな、そういう風にやりたいなって状態にだんだんなってきた。

「too folk tourーー”re quiz then talk at”」

荒悠平 氏は、続ける。生活と芸術、精神のつながりの大切さ、「too folk tourーー”re quiz then talk at”」の構成の話に繋げる。

言葉を選ばないで言えば、あんまり神聖化しないというか、ステージであるとかパフォーマンスを神格化、神聖化、特別なものというよりは、日常の……。

日常的な特別さというか、ここに僕ら来ている特別さとここに見に来てくれている人の特別さに優劣は全くないじゃないですか。そこを勘違いしがちだから。
(中略)
バリアフリーでいたい。精神的っていうか望み方がね。(中略)我々の「floor girl」のパフォーマンスであるとかPodcastっていうのは、身軽でいられる。そういう意味で、バリアフリー的な状態に持っていくのは楽かもしれないですね。

「too folk tourーー”re quiz then talk at”」

アーティストと観客はフラットである。荒悠平 氏と織原良次 氏は、アーティストと観客との関係性の在り方について意見を交わしつつ、「floor girl」の在り方について語る。その関係性ーー上下や差はないーーにまつわる考え方、内容は、参加者たちの胸を打つ。

その後、織原良次 氏がフレットレス・ベースを始めたきっかけ、26年間やってきた中で考えてきたこと、生き方にまつわる話を展開し、参加者たちは時折笑い合いながら、深く頷きつつ、感嘆した。その後、荒悠平 氏と織原良次 氏と参加者同士で意見を交わしながら、言葉を笑みを交わす楽しい時間を過ごした。このときの様子は、Podcast「floor girl」での配信を心待ちにして欲しい。

泊まれる古本屋さんということですけど、こうあったらいいよねとかこうあったら素的だねとか色々あると思うけど、ここでしかできないこの立地とこの建物だからできることっていうのを、僕はここ初めて来たけど

感動的ですよねここ。山猫堂は、皆一回は来た方がいいと思う。アンコールワットくらい行った方がいい。一回くらい行った方がいい。アンコールワットと山猫堂は。

「too folk tourーー”re quiz then talk at”」

また、荒悠平 氏と織原良次 氏の二人が感激した泊まれる古本屋山猫堂をぜひ一度訪れて欲しい。

「too folk tourーー”re quiz then talk at”」の会場
織原良次 氏(左)と荒悠平 氏(右)
織原良次 氏が持ち運んで使用しているアンプ、それを見つめるワニ・虎・獅子

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