見出し画像

探し求めた本を読める理想的な場所|泊まれる古本屋 山猫堂 in 岩手県陸前高田市

本を読める場所を探していた。

なんて言えば、『どこでだって本は読めるだろう』と彼からも彼女からも彼方の人からも思われそうなものだーー確かにそうかもしれない。自分の部屋だろうと、他人の部屋だろうと、喫茶店であれ、フードコートであれ、公園でだって墓園でだって本は読める。

椅子さえあれば、いや椅子なんてなくても、本を読む意思さえあれば、本は読める。けれど筆者は駄目だった。実家の部屋にしても賃貸の部屋にしても、あまりにもノイズが多くて本を読むには煩さすぎた。煩わしすぎた。血の通った情報の量が多すぎる。

血の通った情報ーー記憶とか思い出とかしがらみとか。部屋に刻まれたものすべてがノイズだ。自分が部屋で過ごした時間という時間が、本を読む行為の前に立ちふさがる。通せん坊が読ません坊になって本のページをめくる手の動きを止めるのだ。

それだけじゃない。電子機器から放たれる何もかもが本を読むのを邪魔してくる。世の中を見渡せば、デジタルデトックスなんて概念がまことしやかに語られている。それがどの程度の効果を発揮するのかは分からないけれども、電子機器がもたらすノイズが多いのは確からしい。

というかストレスが大きい。電子機器は利便性を与えてくれるけれど、同時にストレスをも与えてくる。電子機器ハラスメントなんて言葉は寡聞にして聞いたことがない筆者だが、それはとどのつまり、ハラスメントを具現化したものが電子機器で、大きすぎて誰の意識にも留まらないからでないかと思う。

部屋が駄目ならば喫茶店に行けば良いと考えるかもしれない。喫茶店は、駄目だ。あそこは長く滞在するのに向いていない。世の中にはコーヒー1杯で2時間でも3時間でも過ごす豪胆で業腹な者もいるそうだけれど、それだけの強者になれるのは極僅かだろう。

ならば図書館はどうか。そう指摘するだろうか。確かに図書館は本を読むのに適している。疑いようがない。けれど、図書館に置かれた椅子は、座り心地が悪く、居心地が悪い。誰もが中々に長々と過ごす場所にもかかわらず、長い時間過ごせるようになっていないのだ。

本を読むには、座り心地の好い椅子がなくてはならない。読書は腰を痛めてまでする行為でないし、痛みのせいで話の腰を折られたとあっては読書が読書として成り立たない。本を読みたいのであって、腰を痛めつけたいわけでないのだ。

だから、本を読める場所を探していた。けれど見つけられずにいた。いっそ空き家を購入して快適に本を読める場所の創造主になろうか。そんな考えが頭をよぎるくらいに、心地好く本を読める場所が欲しかった。探し続けていた。そうした折に出会ったのが、岩手県陸前高田市にある「泊まれる古本屋 山猫堂」である。


※広告です。興味が湧いたら手に取って読んでみましょう!



泊まれる古本屋 山猫堂|築180年の古民家を活用した泊まれる古本屋で理想的な読書時間を過ごす

「泊まれる古本屋 山猫堂」は、岩手県陸前高田市で2023年3月に開店した古本やレコード、古着、雑貨などの販売と宿泊を提供しているお店だ。本が犇めき合う空間で素泊まりができる(問い合わせはInstagramのDMあるいはAirbnbから)。

創業者は、陸前高田市のNPO法人で家財整理や遺品整理を行っていた越戸氏。そうした仕事の先で生まれた山猫堂の店内には、家財整理などで引き取られた様々な商品たちも並ぶ。謂わば、誰かが残したもの、残されたもの、次の持ち主を必要としたものたちが集まっている。

山猫堂は本やアートに関するイベントの企画・運営も行っており、岩手県陸前高田市を拠点に新たな文化の創造拠点にもなっている。アーティスト・イン・レジデンス「モグAIR」や「Bungakuサロン」など、他では体験できない感性を刺激する数多くのイベントから、餅つきなどの地域の人々と共創するイベントまで、幅広く取り組んでいるのが特徴だ。

山猫堂
住所:岩手県陸前高田市竹駒町字仲の沢60(BRT竹駒駅より徒歩10分)
※仙台朝市店:新仙台駅前ビル810号室(仙台駅より徒歩3分)
営業時間:Instagramを参照 ※フォロー推奨
2026年5月から:こちら
定休日:火曜日、水曜日(陸前高田市)
※仙台朝市店:毎月第1・第3金土日月に営業
PayPay利用可能です

InstagramGoogle Map

本を探し、本を買い、本を読み、本とともに泊まれる理想的な空間「泊まれる古本屋 山猫堂」

「泊まれる古本屋 山猫堂」と出会った筆者は、いたく感動した。感動し、感激し、感涙こそしなかったものの感情の昂ぶりに身を震わせずにはいられなかった。まさに探し求めていた本を読むのに理想的な空間がそこにあったからだ。

背中を任せられるクッションの利いたふかふかの椅子、無音という雑音を消してくれる心地好い音楽、程よく感じられる他人の気配。喉の渇きを感じたときに手に入れられる飲み物が用意された環境。それに、読む本がなくなったらすぐに仕入れられる。何せ古本屋だ。本には全く困らない。

蔵書は一度の来訪で見切れないほどの数がある。しかも屋内のあちこちに本が置かれているので、その全てを隈なく見切るのは難しいし、隈なく見ようとすると自然宝探しをするかのような、冒険心をくすぐられる面白味がある。読書の息抜きにとても好い。

置かれている本は、映画やアート、音楽、純文学・詩集、政治・思想・哲学、民俗など、一般的な書店にはあまり置かれていない本が目立つ。表紙を見ているだけでも心がくすぐられるし、好奇心が掻き立てられる。本好きでなくても楽しめる。まるでとびきりわくわくする玩具が詰まった玩具箱だ。

築180年の建物をそのままに近い状態で利用しているところも好い。リノベーションし過ぎた空間は、綺麗すぎて、整理されすぎていて、心が落ち着かない。素朴で自然な古民家は、まるで自宅を彷彿させる。それでいて自宅でない。この上なく理想的な空間だ。

本を読める場所を探してようやくたどり着けた場所だが、本を読む以外にもPCで作業するのにも利用できる。電源もWi-Fiもある。お客様の中には、持参した娯楽を楽しんでいる姿も見られた。空間として素晴らしいだけに、ここで自分の好きなことを楽しみたいと思うのだろう。

岩手県陸前高田市で営業しているだけに、このnoteを読んで行きたいと思ったけれども行けないと感じる人も多いかもしれない。そう感じるのは早計だ。山猫堂は宿泊ができる。海外から訪れる人々の姿がよく見られるほど、とかく遠方から訪れている人々が目立つ。それだけに、あなたもいつだって安心して訪れられる。ぜひ一度山猫堂という刺激を味わって欲しい。

写真と共に見る山猫堂

入り口前の看板。趣と分かりやすさが同居している
駐車場
入り口。蔵と納屋の二段構え
玄関。築180年は面構えがひと味もふた味も違う
ギャラリー。野生じゃない方の鹿が歓迎してくれている。入る際にはスタッフに相談
懐かしさが垣間見える空間
情緒のある看板
玄関から入ってすぐ賑やかな案内ボード(イベントなどへの出店やイベントを開催している)
本は屋内のあちこちでアーティスティックに並んでいる
一般的な書店ではあまり見られない本が多い
古民家をほぼそのままの状態で使っているのに、家の中とは思えないアーティスティックな空間が広がっている
古本だけでなく雑貨も多い
CDやレコードといった音楽も充実しており、音楽目当てに訪れる人々も多い
読書や作業が許容されている。赤べこの絵は匠の技
陸前高田ドライビングスクール生を含む学割
ドリンクはジュース、炭酸飲料、紅茶などから選べる

山猫堂の店内はアップデートされる

2025年12月、山猫堂の廊下の雑貨空間が整理、品揃えが強化された。併せて見て回る空間にゆとりが生まれ、従前よりも見やすさが増している。このように店内はアップデートを重ねている。そのため、何度訪れても飽きが来ない。

山猫堂関連のnote一覧

今後も増やします。


ぜひフォローをお願いいたします。

以下はふるさと納税の広告です。ぜひ購入して陸前高田市を応援しましょう。

いいなと思ったら応援しよう!

気仙沼の掲示板|本の紹介と地方のくらし私記 皆様のサポートのお陰で運営を続けられております。今後もぜひサポートをいただけますようお願い申し上げます。