地方の文化資本「泊まれる古本屋 山猫堂」で読書を満喫する冬の3連休の過ごし方|岩手県陸前高田市
冬の東北は、春~秋ほどに彼方此方に出かけるのが難しい。雪があまり降り積もらず、内陸部に比べて比較的温暖な岩手県沿岸南部~宮城県沿岸北部でも同様である。昔ほど雪が降り積もらず、路面の凍結が減った昨今であっても、日によって、場所によっては難しく、やはり外出を控えるのが無難。そんな環境である。
もっとも、多くの人々が北国に抱く雪国のイメージとは比べ物にならないほどに、岩手県沿岸南部~宮城県沿岸北部は雪国のイメージがない。2025年に平成以降最大の山火事に見舞われた岩手県大船渡市の2月の降水量(降雪量)は、東京よりも少ないほどである。そのため、極端な話、岩手県釜石市以南(大船渡市や陸前高田市、気仙沼市など)は、冬でも観光できる。
東京などに比べれば寒さが厳しいにしても、内陸部と異なり氷点下10℃を下回るような極寒にはならず、精々が氷点下3度前後ほどである。だから寒さを感じるにしても、決して厳しくはない。雰囲気だけ冬の東北を味わいたい。冬の東北を旅行したと言いたい。そんな希望を持った人々にとって、冬の東北の中では、観光地として選びやすい土地だと思われる(但し交通の便は考えないものとする)。
閑話休題。二十歳の集いに名称が変わりつつある成人式が各地で行われる1月11日を挟んだ3連休。若干の偶発性を伴いつつも、3日間を泊まれる古本屋「山猫堂」(岩手県陸前高田市)で過ごした記録をつらつらと書こうと思う。といっても、泊まったわけでない。そのため、今回書く内容は普段と変わらず、過ごした記録である。
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理想的な読書空間の山猫堂は地方の文化資本である
2026年1月1日0時から1時の滞在を含めてカウントすると、1月12日までの間で山猫堂を訪れたのは6日間である。山猫堂が開いていたのは、長期休暇を挟んで7日間なので、9割がた訪れていたことになる。と書いていて、そんなにも行っていたのかとドン引きしている自分が居る。さすがに暇なおっさん過ぎるのでなかろうか。当然ながら山猫堂で働いているわけではないので、山猫堂に行けば筆者が居るわけではない。
山猫堂を訪れるのは、偏に本を読むためである。本を読むなら家で読めば良いと思われると愚考するけれども、普段借りている部屋で仕事をしている身なので、休みの日まで部屋に居るのは何だか気が休まらない。昨年までは犬が居たので、面倒を見るために実家に居る時間を確保していたが、犬が亡くなった今となっては、やはり実家にも居心地の悪さがある。
かと言って喫茶店で長時間滞在するのは気が引けるし、何より雑音が多過ぎて本を読む気分になれない。そんな折に出会ったのが山猫堂であり、先日noteに書いた通り、本を読む環境として理想的に想えたので、以降、取り立てて用事のない休日や気仙沼市から帰る道すがらに立ち寄っては本を読んでいる。などと書くとやはり暇な独身中年味が凄い。年は取りたくないものだ。独身も考えものである。
山猫堂から金品を頂いて書いているPRではないと前置きした上で、山猫堂の素晴らしさを幾らか書き述べると、心地好い音楽が流れる本に囲まれた静謐な空間で、ゆったりと座れる椅子に身を埋めてひたすら読書に浸れる。ときに博学な店主の方や明晰なスタッフの方、多識な常連の方々と文学やアート、音楽、哲学などについて語り合い、知見を得られもする。元気な子供の姿も見られる。
店を運営している方々、訪れる方々でお互いを育て合う様子は、何だか鶴見俊輔が語るところの”家”のようでもある。歴史ある古民家を場としている山猫堂である。その意味においてはまさに”家”と言えるかもしれない。そこに親和力が働いているのは間違いない。
昨今、東京に比して地方には文化資本がないといった思慮に欠けた言葉を目にする機会が少なからずあるけれども、山猫堂は文化資本の宝庫なのだ。そのような空間で本を読めるのだから、これほど理想的なことはない。文学、アート、音楽、哲学、地域ーー多種多様な文化が山猫堂には詰まっているのだ。それらを求めて海外から宿泊に訪れる方々も多いのも頷ける。
1月10日~1月12日には、映画や車の運転、郷土芸能、山火事などについて話を交わしつつ、方言に関する気付きを得られた。こうした気付きを得られる機会は、日々何気なく過ごす中ではそうそう得られるものではなく、感謝の念が湧いてくる。お勧めの本を紹介いただけるのも嬉しいものだ。繰り返しになるが、山猫堂から金品を頂いてPRしているわけではない。ちなみにそんな山猫堂では、2025年の暮れからアーティスト・イン・レジデンス企画を展開している。
2026年1月31日には、アーティストによるトークイベントも実施予定である。古本や雑貨、古着を探している人、古本屋で宿泊したい人のみならず、空き家をテーマにしたアートに興味がある人もぜひ訪れて欲しい。
写真で見る山猫堂と雪






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