泊まれる古本屋山猫堂で過ごした一年をイベント記録とともに振り返る|岩手県陸前高田市
泊まれる古本屋山猫堂(岩手県陸前高田市)を初めて訪れたのは、2025年8月10日。空き家の件で同年4月に店主の越戸 氏、スタッフの木津谷 氏に会ってから4カ月程度経った頃のことだ(厳密に言えば、木津谷 氏にはそれ以前に会っている)。
以前から、本を読むのに適した場所を探し続けていた。在宅勤務をしている関係上、部屋に一人でいると休まらず、外に出ざるを得ない一方で本を読む時間は取りたかったためだ。そんな中で山猫堂に出会い、以降一年に渡って通っている。
今回、一年を一つの区切りとして、山猫堂で過ごした一年の中で参加したイベントを振り返ろうと思う。山猫堂では、数々のイベントを企画・運営・提供・協力しており、多種多様な人々が訪れては、楽しみ、考え、語らいを交わしている。その一端を知ってもらえると嬉しい。
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泊まれる古本屋山猫堂で過ごした一年間の日々を振り返る|岩手県陸前高田市
泊まれる古本屋山猫堂(岩手県陸前高田市)で過ごした時間を振り返ろうと思うけれど、その前に、お店の様子について知りたい方々のために、写真をまとめたnoteを紹介する。山猫堂は、第一・第三金曜日~月曜日を中心に仙台店の営業も行っている。仙台店の様子も掲載する。
それでは、2025年8月から順にイベントについて振り返ろうと思う。主に、店舗で行われたイベントを振り返るため、「ブックランドさんりく」などの店外でのイベントは含めない。
焚き火
2026年は天候の都合でまだ開催できていないけれど、山猫堂では焚き火イベントが行われており、2025年は何度か参加した。
8月か11月にも参加した記憶があるけれど、noteの記録がないので、恐らく書いていないのだと思う。焚き火には、その都度、様々な人々が訪れては、各々火を前に自由に過ごしている。店内の照明に照らされた広い庭でゆらゆらと揺れる火は幻想的で、見ているだけでもとても心地が好い。
怪談会
山猫堂は毎年怪談会を開催している。2026年で4回を数える。例年8月開催を軸に企画・提供されているけれど、2025年は10月開催となった。パンダと巨大な人形が印象的な会だった。
ちなみに偶々だと思われるけれど、昨年・今年ともに雨だった。また、怪談を語る怪談サークル・厄用妖冥宗(やくようようめいしゅ)のメンバーの一人とは、山猫堂で津波警報の夜を共に過ごしている。懐かしい。
石巻劇場芸術協会「~ねんねこ夜会~」
シアターキネマティカ(石巻劇場芸術協会)の方が中心となり、猫好きによる猫好きのための猫についての朗読や語らいが行われた猫尽くしのイベントである。2DAYSのイベントだったけれど、片方に参加できなかったのが悔やまれた。とてもゆったりとした愛に溢れる穏やかな時間だった。
年越し
皆で食べ物を持ち寄って年越しを過ごしている。本に囲まれた空間に集まり、各々自由に過ごす時間は新鮮で、とても好ましいものだった。新しい形の地縁を感じられた温かな時間である。音楽の話が中心だった気がしないでもない。最後には除夜の鐘をついた。
アート・イン・レジデンス「モグAIR」:安村卓士 氏、山田悠 氏、荒悠平 氏、アオキミユキ 氏
例年山猫堂を拠点としたアーティスト・イン・レジデンス「モグAIR」が行われており、一人目の安村卓士 氏の滞在が終えた後、山田遥 氏による「残されたものたち」のトークイベントが行われている。
東日本大震災による壊滅的な被害を受けた陸前高田市において残されたものたちが持つ意味を感じ、考えさせられるしっとりとした時間だった。これまであまり考えたことがなかったため、ありがたい機会に感じられている。
「モグAIR 2025」は空き家をテーマに制作が行われており、ダンサーの荒悠平 氏はダンスと音楽で空き家を表現している。精密に構成されたパフォーマンスは圧巻の内容で、何度も何度も驚き、また見入った。
「モグAIR 2025」の4人目は、アオキ ミユキ 氏で、空き家をテーマにした演劇が行われている。大橋奈央 氏を主演に迎え、空き家から見た世界が表現された。空き家の側から考える空き家は、未知の思考が呼び起こされ、そうか……と溜め息混じりに考えさせられる時間だった。
Bugaku サロン
山猫堂では、本をテーマにした企画として「Bungaku サロン」を展開している。2026年2月には、ダンサーの荒悠平 氏を2026年5月には俳優の横道毅 氏をゲストに迎え、それぞれ本にまつわるトークや演劇を楽しんだ。一冊の本をテーマに様々な切り口から言葉が紡がれる時間は、新しい形の本の楽しみ方を感じられ、それはそれは素的なものだった。
山猫堂 3周年クロストークイベント「割れたまちに潜る」
山猫堂3周年のイベントとして、越戸 氏と木津谷 氏によるクロストークが行われた。昨今、SNSによって世界が歪みつつある中、対面で話すことの大切さが東日本大震災など未曽有の自然災害に対峙することを絡めつつ語られている。
直近、熊本県において大震災が起こっていることに鑑みて、改めて聴けて好かった話だと思うし、「割れたまちに潜る」を聴いて感じ、考えさせられことは多く、今なお思い出しては自身の在り方について考え続けている。2026年で最も影響を受けた時間にも感じられる。
mujoh motel「あたりまえの反戦」
戦禍というものについて、どこか軽視され、戦争に向かうことが半ば当たり前とすら考えられつつある昨今、それでも理性的あるいは感情的に反戦を掲げて声を上げる人々がいるのがある種世界の救いになっているようにも思える。
そんな反戦、声を上げるということについて、画家であり作家であり、一般社団法人NOOKにおいて災禍のあった場所を巡り人々の話を聴き、記録し、表現する活動している瀬尾夏美 氏を迎えてトークが交わされたイベントである。
記録を残す行為の尊さや重要性について改めて考えさせられる時間でもあり、一人の記録者として、記録とは何かの一つの答えを垣間見るような大切な機会に感じられた。
劇団「横綱チュチュ」小笑SHOW公演「サヤエンドウじいさん」
劇団「横綱チュチュ」による小笑SHOW公演「サヤエンドウじいさん」が、山猫堂の庭で行われた。子どもだけで10人以上が訪れ、とても幸福な世界が広がった。
子どもを日常的に見られる陸前高田市の好さのようなものも感じられる時間で、普段の山猫堂のテイストとは異なるけれど、地域の中に存在している書店を感じられる点で山猫堂らしさも感じられ、とても素的な時間だった。
floor girl「too folk tourーー”re quiz then talk at”」「too folk tourーーcasa and noon more out」
フレットレス・ベース奏者の織原良次 氏とダンサーの荒悠平 氏によるパフォーマンスユニット「floor girl」の公演とトークが行われた2DAYS。古本屋と銭湯。二つの大きく異なる会場を使い、フレットレスベースとダンスが溶け合う素晴らしいパフォーマンスを見られる刺激的な時間だった。
そうそう見られない奇跡の瞬間に立ち会えた気分に浸れており、心から再び見たいと強く感じる時間である。またいつか、この奇跡の時間に出会いたいものである。
リーディング・ナイト「手をつなぐ」
山猫堂の選書した本を読む、新感覚のサイレントブッククラブイベント。初の試みとなる。選書した本を読む時間を通じて、山猫堂がどのような考え、想いで販売する本を選んでいるのかを知られる体験型のイベントでもあった。
ゆったりと本を読める時間も素的だったし、本を読む行為を通じて山猫堂の思想に触れられる体験型のイベントとしても素的で、今から次回が楽しみで仕方ない。皆も山猫堂で本を読もう。
朗読会「八月六日の未来の君へ 2026」
原爆詩や戦争にまつわる詩、物語の朗読を通じて、かつて人の手によって生み出された過ちについて考える時間を持っている。戦争や原爆被害は、どうしたところで当事者以外にとっては歴史の中の一つの出来事として消化されがちである。
当事者たちによって紡がれた詩や物語を人の声によって直接的に触れることで、自分事として過ち、悲劇、悲鳴に触れ、改めて災禍の重さを感じ取れる時間だったように思う。忘れないことの大切さについて考えられる時間でもあったように感じている。
Other:宿泊記録
2026年4月から、想うところがあって、山猫堂に宿泊して料理を作っている。なお、夏季につき7月は宿泊していない。8月は宿泊したい気持ちはありつつも、諸事情で予定を立てにくいため、未定となっている。9月に泊まれたら好いなあ。
泊まれる古本屋山猫堂に行こう!
泊まれる古本屋山猫堂には、一般的な書店ではあまり見られない本や、古道具、古着、レコードなど様々な物と出会える。また、ここまで書いたような考えに考え抜かれた様々なイベント、取り組みも行われている。
山猫堂は泊まれるので、遠方から訪れても帰り時間に困らずに済む。電動自転車の貸し出しも行っているので、山猫堂を拠点に陸前高田市を観光するのも可能だ。ぜひ訪れて、山猫堂の世界観、そして陸前高田市を楽しんで欲しい。
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