神明崎ふくふくの拠点・喫茶ふくふくプレオープン|気仙沼市の明日にいい風を吹かすプロジェクトの息吹を感じる
『明日もいい風、吹きますように』
祈りにも似た言葉を掲げたプロジェクトーー「神明崎ふくふく」が、宮城県気仙沼市で息吹を上げている。
クリエイターと神社。異色の組み合わせによって取り組まれる、気仙沼の地域文化とコモンズの再生を思い描くプロジェクトである。2025年5月23日の金曜日には、その拠点となる喫茶店「喫茶ふくふく」が開店する。
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神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)ーー神社と地域、コミュニティを再構築するプロジェクトがスタート
全国的に多種多様な地域課題が生まれ続けている中で、気仙沼市もまた数多くの地域課題を抱えている。それは少子高齢化及び人口減少であったり、自然環境の変化だったり、多岐にわたる。神明崎のある気仙沼市魚町地域もまた、そうした数多く地域課題に苛まれているエリアの一つだ。
『地域コミュニティとして長く続いてきたことを次世代に継承することが難しくなってきている』
神明崎に建つ五十鈴神社の禰宜(ねぎ)である神山氏は、そう語る。一つの例として、東日本大震災によって氏子が散り散りとなり、それまで行われてきた神社のお祭りが途絶えてしまったことを挙げた。
『このままでは神社仏閣を守っていくことも難しくなる。五十鈴神社がすべきこと、また五十鈴神社を守っていくことを考えて何かしなければならないと考えていた』
神山氏は、地域の未来、そして地域と共に在り続けてきた神社の未来を守るため、今すべきことは何かを考え続けてきた。その中で決断したのが、いすずやの起業、神明崎ふくふくプロジェクト拠点・喫茶ふくふくの立ち上げである。
「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」は気仙沼市の観光文脈で牽引する存在を目指す
「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」は、神明崎に建つ五十鈴神社の社務所の隣に開かれる喫茶店である。2年ほど前、この場所では「五十鈴茶房」というカフェが期間限定で行われていた。

気仙沼市の復興、そして観光において、大きな拠点となっている内湾エリアを望むこの場所は、朝日が昇り、夕陽に照らされ、夜が訪れるまでの空の移り変わり、そして内湾エリアの彩りの変化を見届けられる場所である。
また、気仙沼市を訪れた船が漁へと旅立つ出船の様子を目にできる場所でもあり、気仙沼市が誇る生業という景観を肌に感じられる場所でもある。そんな場所で始まる「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」だからこそ、神山氏は語る。
『観光文脈でも気仙沼市を引っ張っていけたらと思っている』
もともと、「気仙沼まちなかエリアプラットフォーム」という気仙沼市の街中の魅力を向上させる取り組みの中で、「気仙沼まちなかエリアビジョン」の一つに神明崎は位置づけられていた。
また、神社は地域の住民とともに在る存在であり、地域の住民とともに発展していく存在だと語る神山氏である。「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」だけを発展させるのではなく、「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」を通じた地域観光の増進により、地域全体を発展させたいという志しの表れなのだろう。
そうした想いは、「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」の提供するメニューにも表れている。メニューは大きく分けて2種類。まずは”恵比寿どら焼き”だ。


神明崎に建つ恵比寿様の焼き印が押された”恵比寿どら焼き”。その皮は、気仙沼市の老舗・紅梅が製造している。またコーヒーは、地元のアンカーコーヒーと共同開発したものである。
加えて、開店以降提供される祭りの日の塩むすびには、その具として気仙沼市の多種多様な商品が用いられるとされる。そのコンセプトは、ハレの日の思い出とローカルフード、そしてスローシティに指定されている日本で数少ない自治体である気仙沼市ならではのスローフードである。
つまり、「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」は、ありふれたカフェタイムを提供するのではなく、気仙沼市という地域の食文化を提供する。文化拠点としての文脈を持ち、以って観光文脈において気仙沼市を牽引する存在なのだ。
「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」プレオープン|プロジェクトのこれまでとこれからについて温かな話が飛び交う
2025年5月17日に開催された「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」のプレオープンでは、プロジェクト全体の説明やこれまでの取り組みの経緯が語られている。こちらについては、一部先日の「空き家開き」でも語られていた。
また、「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」を店舗としてオープンするための取り組みとして、周囲の景観づくりや建物のリノベーションが行われた話が、温かな想い出のように愉し気に語られた。

それはまさに温かな地域をこれから創っていく想いが込められているようで、とても心地よい話の数々だった。「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」を訪れた際、関係者と会うことがあれば、ぜひ伺って欲しい。
「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」の場作りにあたっては、地域で眠っていた数々の素材が再利用されている。たとえば床材がそうである。地域で使われなくなった木材が多く利用されている。

また、手づくりのベンチは、船の艫板が使われており、漁船が行き交う気仙沼市らしさが感じられるものになっている。このように「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」は、ただ新しい喫茶店を作ったのではなく、気仙沼市のこれまでを再利用して未来につなげるアップサイクル型の喫茶店であることが分かる。
「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」のプレオープンの終わりには、参加者との懇談が行われた。その中で神山氏は、今後について、神社主導で何かをやっていけばやらされ感が出てしまい、継続が困難になることに触れた。
その上で、雰囲気を醸成し、住民主導でお祭りなどが行われていく形になっていくことへの願いを語っている。それには、何十年、何百年とかかるかもしれないが、将来的によいものができるように努めていくと語る目には、確かな希望と強い覚悟のようなものが窺えた。
「神明崎ふくふく(喫茶ふくふく)」はこれから始まる物語である。その一方で、気仙沼市のこれまでの文脈の中で生まれた一つの物語でもある。今後どうなっていくか。また、これからどんな人が関わり合っていくか。期待に胸を弾ませながら、多くの人々が訪れることを願ってやまない。

5月23日。開店後に訪れた感想は以下のnoteで伝えている。
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